こんにちは。寺子屋生の水上です。
先週に続き、第2回の今回は「心」についてまとめます。
第二回 「心」
上焦に属する 小腸と表裏をなす
生理機能
・主血
心気の推動作用を用いて、血を全身に送り出すこと。
また、脾胃が運化した水穀の精微を心陽の温煦によって血に化生させる働きも持つ。
心は心気を用いて血を全身に推動するが、心気は血によって滋養される必要がある。
血と心は相互に助け合い、生理機能を維持している。
・神明を主る
「神明」とは、精神・意識・思惟活動のこと。「神明を主る」とは心が精神思惟活動を担うことを意味する。
また臓腑の機能(心拍・呼吸・排泄)、行動、感覚などの生命活動の維持も行う。
心の機能が正常で、心血と心気が充分であれば、意識は明瞭で思考も敏捷である。
生理特性
・陽気を主る
心は肺と共に臓腑の中で最も高い位置にある。(上焦)
また火気の性質をもつ夏季と相応しているので、心は陽中の太陽とされる。
その陽気により心は心包と三焦を通じ、全身を温煦する。
また血は、水穀の精微を心陽で温煦することによりつくられる。
関連領域
舌、汗、血脈、面・色、喜、苦など
・心経の経筋と別絡は舌に連なる。舌は味覚の識別と発語(舌の運動)の機能があり、心の機能に含まれる。
また、舌や顔面の色艶は血の充足度を反映し、心の機能が正常に働いているかどうかの判断に用いることができる。
・汗は心と血に密接な関係を持つ。心は陽気により全身を温煦し、蒸騰させた津液を肌表から排出することにより、余剰な熱を放散する。
心の異常には、汗の異常を伴うことが多い。
・心は五情のうち喜に相応する。
喜は元来有益な情緒であり、気機を適度に緩ませることで血を送り出しやすくすることができる。
ただし喜楽が過ぎると、緩みすぎて心が血を送り出せなくなり、機能失調の結果、異常をきたしやすくなる。
ただし、心は「神明を主る」ため五情すべてが過ぎれば心の損傷につながる。
<参考文献>
教科書検討小委員会(2015)『新版 東洋医学概論』株式会社医道の日本社
神戸中医学研究会(1995)『基礎中医学』株式会社燎原
関口善太(1993)『やさしい中医学入門』東洋学術出版
高金亮(2006)『中医学基本用語辞典』東洋学術出版