前回の続きを書いていきます。

中医鍼灸 臨床経穴学 P25
「風寒外束、肺失宣降(風寒の邪による宣降失調)
症状:喉が痒い、咳嗽、痰は稀薄である。鼻閉、鼻水。声が重い。または発熱、悪寒、頭痛。無汗。舌苔薄白、脈浮など。
処方:中府、風門、大椎(瀉)…疏風散寒、宣肺止咳。」

2パターン目は発熱〜です。

これは太陽傷寒病であると思いました。

なぜこの様な事が起こるのか調べてみます。

中国傷寒論解説 P43
「太陽傷寒病の要点は衛気の閉塞であり、衛気が閉じる原因は外寒が凝滞することである。」
→つまり発熱から後の部分も外寒が凝滞した結果、衛気を閉塞させて起こっている状態と言えると思います。

この様な状態が発熱以下を起こす理由を見てみます。

中国傷寒論解説 P43

「寒邪によって脈が収縮して拘急するので、「陰陽倶に緊」の脈象となり、寸関尺の部位に浮緊の脈象が現れる。

寒邪に傷めつけられると、まず衛陽が圧迫されるので、太陽傷寒では常に悪寒が現れ、引き続いて発熱する。」

P27

「太陽が邪を受けると、温煦衛外機能が失調するので悪寒が現れる。…

太陽病では、衛陽の気が圧迫されると、正気は奮起して邪気と闘争を始めるので、当然発熱が見られるはずである。」

→つまり①悪寒…衛気の温煦衛外機能失調 ②発熱…正気と邪気の闘争反応 ③脈浮…正確には浮緊で寒邪によって脈が収縮

であると思います。

 

中国傷寒論解説 P26

「いわゆる「頭項強痛」とは、頭が痛み項が強ばることの形容で、首が左右に廻らず、前後に曲げられない状態をいう。

「霊枢」本蔵篇では、「経脈は、血気行きて陰陽を営むがゆえに、筋骨を濡して関節を利するなり」

と言っている。

いま太陽に邪を受けると、経気の運行が妨げられるので、頭項強痛の証候が出現するのである。」

→頭痛は経気不利によって起こっています。

舌診カラーガイド

薄白苔「苔が白いのは寒邪を、薄いのは浅い病位と軽い病状を示す」

→苔薄白はこの理由かと思います。

 

また、肺気の宣発機能に影響して咳が出ることもあるので、パターン①と②が複合した状態も起こり得ると思います。

 

参考資料

中国傷寒論解説 東洋学術出版社 劉渡舟著

中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 李世珍著

舌診カラーガイド エルぜビア・ジャパン 原敬二郎監修

2 コメント

  1. 一つずつ丁寧にその道理を考えると
    必ず少しずつ思考は深まりますので
    継続して下さい。
    因みに、
    基本的に正常であれば普通は薄い白苔であり、
    あらゆる原因によって
    病理産物が体内に生じ留まると分厚くなり、
    白苔→白二苔となります。
    元々、苔は白いのです。
    そこに熱などが加われば黄色味を帯びていきます。
    ですので、白苔=寒邪と機械的に認識はしない方がいいです。
    寒邪にあたると、
    脈などの方が反応が明らかなので、
    そちらで判断する方が誤診せずに済みます。
    また、深い寒熱は苔に出ますが、
    リアルタイムの環境はむしろ、
    舌色や舌を潤す津液の状態に反映しやすいので
    そこをよく観察するべきです。
    また、舌色で判断するといっても素体の舌色がどういう
    状態に在り、影響によってどのような色が乗ってきているかを
    立体的に判断する必要があります。

    • ご返信、ご指導頂きありがとうございます。
      舌・脈・感冒時の判断基準について承知しました。
      普段から気をつけて見る様にします。

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