寺子屋で患者様の舌を見せて頂きました。

受けた印象は白滑苔淡白胖大でした。

 

舌だけで結論付ける訳にはいきませんが、考えない訳にはいかないので何を表すのか考察していきます。

白苔は一般的には表証・寒証を表すとされます。

 

中医臨床のための舌診と脈診 P33

陽虛が基本にある内傷の場合には舌質が淡白・胖嫩であり、寒邪直中の場合には青紫舌の事が多い。

との事です。

 

もう少し詳しい箇所を見てみます。

 

同書籍 P 53

陽虛寒湿

淡白舌は気血不足であり、白滑苔は寒湿をあらわす。一般には、陽虛で陰血の化生が不足し、津液の蒸化もできず水湿が貯留して寒化した状態が多く、舌質が胖嫩で歯根が明らかである。

 

まず、「陽虛で陰血の化生が不足して淡白舌」とはどういう事か考えてみます。

 

現代語訳 黄帝内経素問 上巻 P112 陰陽応象大論篇

南方は陽気が盛んで、熱を発生します。熱は火気を盛んに生じ、火気は苦味を生じ、苦味は心気を滋養し、心気は血気を変化生成します。血気は充足すると脾を生じ養います。心気は舌と関連しています。

その変化についていうと天にあっては熱気となり、地にあっては火気となり、人体にあっては血脈となり、五臓にあっては赤となり、五音にあっては徴となり、五声にあっては笑となり、病変の現れ方としては憂となり、竅にあっては舌となり、五味にあっては苦となり、こころの変動にあっては喜となります。

 

同書籍 下巻 P 23 天元紀大論篇

熱気は少陰の根本の気

 

同書籍 上巻 P 93 金匱真言論篇

南方の赤色の気は、人身の心と相い応じ、心は竅を両耳に開き、精華は心に内蔵され、五味の中では苦味にあたり、五畜の中では羊にあたり…

これらはすべて火の一類に属します。四時でいえば夏の季節で、心は血脈を主り、また、五臓の主ですから、病は往々にして血脈と五臓に現れるのです。

 

つまり、「陽虛で陰血の化生が不足して淡白舌」とは

陽虛になると心気も不足し、血を変化生成することが出来ない。

結果として赤味が出なくなり、心の竅である舌に色が反映されなくなった状態なのではないかと考えました。

 

参考資料

中医臨床のための舌診と脈診 医歯薬出版株式会社

現代語訳黄帝内経素問 上巻下巻 東洋学術出版社

 

 

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