霊枢を読み進めていって勉強している事を書いていきます。

 

《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》 P104

邪気蔵府病形篇「黄帝がいう。「私は五臓六腑の気が、みな井穴から出て、滎穴と輸穴を経て合穴に入ると聞いたことがある。

その気血はどの道を通って注ぎ、進入した後どの蔵府および経脈と連結しているのだろうか。その道理を聞きたいものだ。

岐伯が答える。「これは手足の陽経が別絡から内部に進入して、六府に連続しているのです。」

黄帝がいう。「滎穴・輸穴と合穴には、治療の上で一定の作用があるのか」。

岐伯が答える。「滎穴・合穴の脈気は深いところにあるので、内府の病気を治療できます」。

黄帝がいう。「人体内部の府の病は、どうやって治療するのか」。

岐伯がいう。「陽経の合穴を取ります」。」

黄帝がいう。「合穴には各おの名称があるのか」。

岐伯が答える。「足の陽明胃経の合穴は三里にあります。手の陽明大腸経の脈気は足の陽明胃経を循り巨虚上廉で合します。手の太陽小腸経の脈気は足の陽明胃経を循り巨虚下廉で合します。手の少陽三焦経は足の太陽膀胱経で合します。足の太陽膀胱経は委中で合し、足の少陽胆経は陽陵泉で合します」。」

 

→下合穴の説明が書かれていました。

腑病にはこれらを使いなさいと提示されています。

ここでは特に、足陽明胃経の上廉(上巨虚)・下廉(下巨虚)が大腸・小腸の合穴に設定されている点が気になりました。

 

《中医薬大学全国共通教材 腧穴学》 P 64

「中医理論によると大腸小腸は全て、広義の胃に属すので大腸小腸の下合穴は胃経上にあるのである。」

《中医薬大学全国共通教材 全訳中医基礎理論》 P130

「胃の通降作用とは、小腸が食物残渣を大腸に送ったり、大腸が糞便を排泄したりする機能も含んでいる。」

 

→答えなのでしょうが黄帝内経における根拠が書かれていません。

いや、普通に考えて胃から大腸まで繋がっているじゃないか!とよぎりますが、それは西洋医学の解剖学的所見なので東洋医学を考える上では参考にできません。

極力黄帝内経に理由を求めていきます。

胃〜大腸は、水穀の受納〜糟粕の排出までのラインのはずなので、まずは水穀が糟粕になるまでの流れを追っていきます。

 

<現代語訳 黄帝内経素問 上巻> P210

五臓別論篇「六腑には、常に水穀が充実しているものですが、反対に精気は充実していません。

この道理は、水穀が口から入ったあと、胃は実するが腸は空虚であり、食物が下へ送られる段階になると、腸は実するが胃は空虚になると理由にもとづいています。」

 

《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》 P479

腸胃篇

「「黄帝が伯高に問う。「わたしは六腑の消化器官がどのようになっているか、腸胃の大小・長短、水穀を容れる容量の多少などを知りたいと思う」。

伯高言う。「すべてをお話しいたしましょう。

穀物が口から入って体外に出るまでの消化器官の深浅・遠近・長短の数値は次のとおりです。

唇から歯までは長さ九分、口の端から端までは幅二寸半。歯から会厭までは深さ三寸半、水穀五合を容れることができます。

舌は重さ十両、長さ七寸、幅二寸半。咽門は重さ十両、幅一寸半、咽門から胃までは長さ一尺六寸。

胃の形は曲がりくねっており、それを伸ばすと長さ二尺六寸、周囲一尺五寸、水穀三斗五升を容れることができます。

小腸は腹腔の中にあり、後は脊柱に付き、左から右へ向かって周り廻り、腹腔内で幾重にも折り重なって廻り、下口は廻腸に注ぎ、外側は臍の上に付き、廻り折れ曲がり、湾曲すること全部で十六回、周囲二寸半、直径八分と三分の一、長さ三丈二尺。

廻腸は臍の所に位置し、左に向かって廻り、下向きに重なって、折れ曲がり湾曲すること、同じく十六回、周囲四寸、直径一寸と三分の一、全長二丈一尺。

広腸は脊椎に付き、廻腸が送る糟粕を受け取り、左に向かって廻って脊椎の前に重なり、上から下へ行く程太くなり、最も太い所で周囲八寸、直径二寸と三分の二、長さ二尺八寸。

腸胃の水穀を運輸消化する過程は、口唇から肛門まで総長六丈四寸四分、全部で三十二回の湾曲があります」。」

 

《臓腑経絡学》 P 63

「大腸は、廻腸、広腸、直腸、肛門(魄門)から成る。」

 

《中医学ってなんだろう》 P 241

「「大腸の伝導」は、広い意味での「胃の降濁」の一部と言えるものです。

胃気が下降していることは、大腸の伝導の前提となります。」

 

→飲食物が胃に入って糟粕を排出するまでの過程が示されており、それは胃を起点に一連の流れで繋がっているので古人はこのラインを胃の代表する一つのグループとして考えた。

腸の伝導機能とは胃の降濁機能の一部とも言える。

関連が深いからこそ、わざわざ「腸胃篇」という一つの篇にまとめたのかもしれない。

 

↓「胃の通降(降濁)機能」

①胃◯→小腸→大腸

②胃→小腸◯→大腸

③胃→小腸→大腸◯

④胃→小腸→大腸→◯(糟粕)

 

続いて「胃経上にある下合穴を刺し腑病を治す」とはどの様な事なのか考えてみたいと思います。

 

参考資料

<現代語訳 黄帝内経 霊枢 上巻> 東洋学術出版社 南京中医薬大学編著

<現代語訳 黄帝内経 素問 上巻> 東洋学術出版社 南京中医薬大学編著

<中医薬大学全国共通教材 腧穴学> たにぐち書店 主編 楊甲三

<中医薬大学全国共通教材 全訳中医基礎理論> たにぐち書店 主編 印会河

<中医学ってなんだろう> 東洋学術出版社 小金井信宏著

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