寺子屋で診させていただいた臍は独特な形状でした。

「臍の形状は深く落ち込んでいた方が良い」
と書籍などに記載があります。
色々と空間論の話は読むが中々理解ができません。
臍の「気の偏在を診る」とはどのような診察意義があるか再度整理していきます。

 

【臍(神闕)及び臍周の見解】
1.臍の形の傾斜(変形)は気の偏在(邪の方向性)を示す。

2.臍周囲の緊張・膨隆は肝気と関わりがある(気滞)。
睡眠不足で神経が疲れているとき等は、臍周囲の邪(膨隆、緊張、動悸、冷え等)がみられる。

3.臍周の弛緩は生気の弱りを示す。
甚だしい場合は臍が中心から移動する。

4.臍周の気の流れの方向は時計周りである。

 

臍もまた、腹部の肌肉を大地と見立てた時に、地形が崩れて形状が変わるのだと思いました。

臍周囲の肌肉が上部に引きつれ緊張した場合は上逆を示し、相対的に下に引っ張る力が劣り肌肉も弛緩して平衡が崩れていることを示しているそうです。

臍の形状だけではなく、周囲の肌肉の状態を切経することで、気のベクトル=「気の偏在」を診ることが重要だとわかりました。

臍周囲の緊張、膨隆などは肝気と関わるとありますが、引っ張られる方向が左右だと肝相火に関与するのか?
腹診は邪を診ているのであるのであれば、
臍とはまた区別して考えるべきか⁈

ちょっとわからないので実践を積みながら観察していくことが、これからの課題です。

 

臍の中央、神闕穴についても調べてみました。

【神闕】
臍中、気舎、闕会、維会、命蒂、気合 等の別名がある。
神闕という名は外台秘要よりはじまった。
神は心に蔵される。
闕は宮城の門観である。
故に神闕は神の出入りする門である。
救急療法に用いられる所以である。

「闕」とは宮殿の門。転じて、天子の居る所。
宮城。

任脈上で心包絡の膻中穴と同じ名前でもあり、
「膻中は気の海たり」と言われることから
神闕は気の様子を伺う穴として重要そうです。

 

「臨床を重ねていくうちに分かるようになってきますよ」
と下野先生も仰っていました。

腹証奇覧ならぬ、臍証奇覧のようなものが
できてくるのかもしれません。
楽しみです。

 

【参考文献】
「鍼灸療学基礎学」 代田文誌 著
「体表観察学」藤本蓮風 著
「経穴解説」 藤本蓮風 著

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