方剤学(03)
呉鞠通「・・胃陰を救えば、なお胃腑本来の下降の気を承るに系る、・・故に湯は承氣と名づく」
承気湯
方剤学に於いては「瀉下剤」に含まれます。
『中医臨床のための方剤学』によれば、「瀉下薬を主体として大便を通導し、腸胃積滞の排除・実熱の蕩滌(とうでき)・
水飲寒積の攻逐などを行い、裏実を解消する方剤」とあります。
「瀉下剤」も種類に「寒下剤」「温下剤」「潤下剤」「逐水剤」「攻捕兼施」がありますが、
承気湯類は「寒下剤」に含まれます。
《寒下剤の一覧》
・大承気湯
・小承気湯
・腸胃承気湯
・複方大承気湯
・大陥胸湯
・宣白承気湯
・陥胸承気湯
【大承気湯】
〈効能〉
峻下熱結
〈主治〉
熱血腸胃(陽明病腑実証)
発熱・悪熱・日晡潮熱・意識障害・うわごと・汗が出る・口渇・尿が濃く少ない・便秘あるいは悪臭のある水様下痢・
腹満・腹痛・圧痛がつよく触れさせない・舌苔は黄厚で乾燥し甚だしいと焦黒色や芒刺すを呈する・脉は沈実あるいは沈遅で有力など。
手足の冷え・ひきつり・狂躁状態などがみられることがある。
《胃の生理と特性》
胃が飲食物を一時的に納める機能を受納、飲食物を消化する機能を腐熟という。
胃は飲食物がおさまるところなので、水穀の海と称される。
消化物を下降させる役割を担っている。この消化物を小腸・大腸に降ろす特性を降濁という。
胃は陽明に属し、六腑の中でも熱が旺盛であるため熱化しやすい。
そのため、胃が正常な機能するためには十分な潤いが必要であり、
水湿を好み、乾燥を嫌う特性を喜湿悪燥とよばれる。
(´ー`)
大承気湯とは少々荒っぽくはあるけれど、腑に対して一気にダウンバーストを起こし、
熱を吐き出すといったイメージでしょうか。
症状を取り除くというのは傷寒論によるとして、気になるところは「意識障害」「うわごと」「狂躁状態」。
修行中に稀な舌を拝見できる機会を頂きましたが、
上がるものは上がり(昇清・脾)、下がるものは下がる(降濁・胃)、
中焦の重要性を思います。
なんとなくですが、”臓” と ”腑” の問題からくる症状に、違いがあるように感じられます。
【参考文献】
『中医臨床のための方剤学』東洋学術出版社
『傷寒雑病論』東洋学術出版社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『新版 東洋医学概論』医道の日本社
六經病機(01)
太陽病病機
【01】営衛不調
【02】表寒裏飲
【03】邪入經輸
【04】邪陥胸中
【05】実邪結胸
【06】邪陥心中
【07】邪熱下痢
【08】經邪入腑
【09】臓腑陽傷
【10】臓腑陰傷
【01】営衛不調
営は陰で、衛は陽である。衛営は拮抗する事によって、衛外を守り固め開闔を主るという生理機能をもつ。
外的要因により膚表の営または衛の力量に変化が生じ、陰陽昇降のバランスが崩れる。
成無己(金代)は「風は衛にあつまる。・・寒は営にあつまる。」(『注解傷寒論』)とする。
外邪(風)を感受すれば、衛の昇散活動が優位に立ち、衛強営弱病機を発生させる。
外邪(寒)を感受すれば、営の沈降し静かであるという性質が優位に立ち、営強衛弱病機を生み出す。
太陽表虚証。
衛の昇散性が優位となり、外表部に浮揚し、発熱する。
弱くなった営の沈降凝集し静かであるという特性が弱まり、内部を守れず自汗し脉が浮緩となる。
自汗がでれば、衛が散漫となり皮膚の温煦作用が失われ、悪風(風に当たると寒気)する。
太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者、熱自發。
陰弱者、汗自出。
嗇嗇悪寒、淅淅悪風、翕翕發熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。
方一。
太陽表実証。
営の沈降凝集し静かであるという性質が強くなり、衛が肌表の内側に抑鬱されて、膚表を温めることができなくなり、悪寒が現れる。
陽気が発散されず発熱する。
営の沈降凝集し静かであるという性質が、無汗・脉の浮緊となる。
血を滞らせれるので、頭痛や関節の痛みが現れる。
太陽病、頭痛、發熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、惡風無汗而喘者、麻黄湯主之。
方五。
表寒裏熱証。
風寒両方を感受すれば、寒邪は営に入り、風は衛に入る。
営の沈降凝集し静かな性質が強くなり、悪寒ひどくなり無汗。
衛の昇散活動性が強くなるが、汗が出ないので熱を排出できず内部に鬱滞する。
その為に高熱して煩躁し、表裏とも実証となる。
太陽中風、脉浮緊、發熱、惡寒、身疼痛、不汗出而煩躁者、大青龍湯主之。
若脉微弱、汗出惡風者、不可服之。
服之則厥逆、筋惕肉瞤、此為逆也。
大青龍湯方。
八。
【参考文献】
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医臨床のための 方剤学』医歯薬出版株式会社
『傷寒雑病論』東洋学術出版社
今日の一曲
Takaaki Itoh - Bloom After Broken Life
https://www.youtube.com/watch?v=8nnwbs_umFA
勉学や人生の諸問題で、煮詰まった時に、僕はたまにこれを聴き返す。
【破綻したあとに咲く、「何か。」】
こういう音楽を、勉強時のBGMに取り入れることがあります。
いったい、何回、聴いた(=破綻≒何か咲く)ことやら……
※林先生より「Blogは自由に、なんでも書いていい。」と承ったので、今後はこういう記事も増やしていきます。
※怒られたら止めます。
告知!第7回 鍼灸学生の為の勉強会
【参加資格】
・鍼灸学生
・本年4月からの新卒鍼灸師
・これからこの業界を目指す方
(※免許を取得し鍼灸師になった方は今回はご遠慮頂いております。)
【日時】
2018/3/18(日) 15時〜17時頃
【内容】
参加者の意向に沿った内容を設定
【場所】
一鍼堂 二階
【費用】
一人3,000円
【募集人数】
一鍼堂内部で患者さんのいない時間に行います。
目のみえる範囲でやりますので、
一定の人数制限を行います。
————————–
今年もやります!
第7回の未来の鍼灸師のための勉強会です。
1・2年生の鍼灸学生さんは
学生生活にも慣れ、
将来自分が進むべき道というのが
少し見えて来たかも知れません。
また新に鍼灸学生さんになる方は
夢を大きく持ってこの業界に進もうと
思っておられると思います。
そして国家試験が終わった
3年生の皆さんはここからが本番であり、
希望とともに不安も多いかと思います。
そんな皆さんの為に、
また勉強会を開催することとなりました。
日々臨床で苦悩、喜びを感じている
鍼灸師に聞きたいことがあれば
どんどん聞いて下さい!
今回も相手の呼吸がきちんと感じられる
少人数での講座とします。
一定数に達した場合は
定員とさせていただきますので、
ご容赦下さいませ。
また皆さんから、
こういうことをやって欲しいという
お題も受け付けますので、
仰って下さい。
エントリーはこちら
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学生向け討論会フォーム
Facebookでの告知ページはこちら。
コメントを残して頂く事も可能です。
https://www.facebook.com/events/1749825538389987/
一鍼堂
経穴(01)
【地機】
学生時代に使用した経穴の教科書を新・旧で比較してみる。
旧教科書の”地機”は”陰陵泉”より5寸下、
新教科書は”地機”は”陰陵泉”より3寸下、とされている。
考えらる可能性は「2つとも違う」「片方が正解」「2つとも正解」。
重要なのは点でなく、線をとらえる事にあるのかな?と思う。
今後の切経の参考にして行きたいと思います。
旧
『経絡経穴概論』(株)医道の日本社
初版:1992年3月20日
●地機(郄穴)
取穴部位:内果の上8寸、脛骨内側縁の骨際に取る。
(注)脛骨内側顆の下際から下5寸に当たる。
筋肉:ヒラメ筋
運動神経:脛骨神経
知覚神経:伏在神経
血管:後脛骨動脈
新
『新版 経絡経穴概論』(株)医道の日本社
初版:2009年3月30日
●地機 SP8(脾經の郄穴)
部位:下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後際、陰陵泉の下方3寸
取り方:脛骨内縁の後際、内果尖と膝蓋骨尖とを結ぶ線を3等分し、
膝蓋骨尖から3分の1の高さに取る。
解剖:ヒラメ筋・長母指屈筋〈筋枝〉脛骨神経,
《皮枝》伏在神経,後脛骨動脈
【参考文献】
『経絡経穴概論』(株)医道の日本社
『新版 経絡経穴概論』(株)医道の日本社
体が重い
先週から体調が変化してなかなか身体が重くてしんどい。
舌をみると真っ白な豆腐の粕の様なもので覆われており、脾募を労宮で触ると掌から抜けていく感じがし、指腹で触るとゆるゆるになっていて、両手が重い。
お風呂で温もると脾募が赤くなっていました。
数日前は入浴時、肺経が赤くなっていました。
関係あるかわかりませんが、最初に感じた身体の変化は1ヶ月くらい前で、胸のあたりに肌荒れが起こっていて、それが段々下に降りてきていた。
今は荒れが治ってきて少し脱皮し始めた。
調べると膜原に問題がある可能性もあるかも知れないと思った。
<中医臨床のための温病学入門> P136
「呉有可が「膜原は、外は肌肉に通じ、内は胃腑に近く、すなわち三焦の門戸、実に一身の半表半裏なり、邪は上より受け、直ちに中道に趨く、故に病は多くは膜原に帰す。」と述べるように、湿熱濁邪は膜原に鬱伏して、本証を発病しやすい。」
しかしこの邪が潜伏と言うけどもいつから潜伏しているかなど書いていないので気になる。
背中を診てもらっているとき膈のあたりがと言われた事があるが繋がっていないのか。
臓腑の働きが良くなると伏せていたものが浮き出てきたりすることはないのか。
気になるのでしばらく追ってみようと思います。
参考文献
中医臨床のための温病学入門 東洋学術出版社 神戸中医学研究会編著
五行大義(07)
昔、バイクに乗っておりました。
ビンテージなスタイルを好んで、トライアンフとかノートンとかに憧れておりました。
空冷の単気筒が、エンジンの状態も分かりやすくて好きなのですが、
冬ですと、エンジンが大気で冷えるのと、インテークエアが冷たく燃焼が好調なので、
私は「バイクの最適な季節は冬だ」と考えておりました。
(冷たい空気がエンジンに良い理由は”空気の密度が高い”とか”酸素濃度が高い”とかあるようです。)
五行大義の中、
『少陰則淸冷。故金以强冷爲體、従革爲性。』とあり、
金については冷たいことの優位性を説いてるように思います。
私たちが日々取り込む空気なり飲食なりが、過度に温度が高かったり低かったり、、
東洋医学を考える上でも、重要なのかもしれません。
第二辯體性
つまり形体と性質について
體者以形質爲名。性者以功用爲義。
五行體性、資益萬物。故合而辯之。
木居少陽之位、春氣和、煦溫柔弱。火伏其中。
故木以溫柔爲體、曲直爲性。
火居大陽之位、炎熾赫烈。
故火以明熱爲體、炎上爲性。
土在四時之中、處季夏之末。陽衰陰長。
居位之中、總於四行、積塵成實。
積則有間。有間故含容。成實故能持。故土以含散持實爲體、稼穡爲性。
金居少陰之位。西方成物之所。物成則凝强。
少陰則淸冷。故金以强冷爲體、従革爲性。
水以寒虛爲體。潤下爲性。
洪範云、木曰曲直、火曰炎上、土日稼穡、金曰従革、水曰潤下。
是其性也。
体なるもの形質をもって名となす。性なるもの功用をもって義となす。
五行の体制、万物を資益す。故に合してこれを弁ず。
木は少陽の位にあり、春気 和し、煦温し柔弱する。火はその中に伏す。
ゆえに木は温柔をもって体となし、曲直を性となす。
火は大陽の位にあり、炎熾し赫烈する。
ゆえに火は明熱をもって体となし、炎上を性となす。
土は四時の中にあり、季夏の末のところ。陽は衰し陰は長ず。
位の中にあり、四行を総じ、塵を積もりて実をなす。
積もれば則ち間を有す。間がるがゆえに容を含む。実をなすがゆえに持も能う。
ゆえに土は含散・持實をもって体をなし、稼穡を性となす。
金は少陰の位にあり。西方は物を成すところ。物を成せば則ち凝強す。
少陰は則ち清冷なり。故に金は強冷をもって体となし、従革を性となす。
水は寒虚をもって体となす。潤下を性となす。
洪範云、木は曲直といい、火は炎上といい、土は稼穡といい、金は従革といい、水は潤下という。
これはその性なり。
【参考文献】
『五行大義』株式会社 明德出版社
腰・スピード・労宮など
気になった事を書いていきます。
①腰
重いものを持つ時どう持てばいいか。
それも体の使い方に繋がる気がしました。
灯油を持つ時も訓練になってます。
また、シャワーを浴びているときに手をだらんとさせてみたんですけど、自分で手の重さを感じれる事が発見出来たので色々体勢を工夫してどんな体勢でも診れる様にしたいと思います。
②スピード
手を動かすスピードを変える事で感じるものが変わった。
そこに集中すればするほど全体が失われていく。
中医学でも整体観念を大切にしますが、そういう事も繋がっている気がします。
③労宮
触り方としては、労宮に意識を持っていけば自然と腰の使い方も連動される。
そうなってくれば指の緊張が無くなって受け手も硬さを感じない。
そんな感じがしました。
④呼吸
呼吸は吐く息を意識すれば不必要な緊張が生まれにくくなる気がしました。
⑤肘までみる
切経の時なぜ肘までみた方が良いのか。
素問攷注の図の認識が少し繋がった気がします。
⑥橈入鍼法
やってみたいなと思って試していってるのですが切皮がうまくいかない…
多分前教えて頂いた銀鍼の話に繋がるのかと思いました。
練習します。
どこに核?
体のどこで受けるか。
昔何気なく、不意に先生から物を投げてどの様な受け取り方をされるか見られた事がありました。
その時の感覚とリンクするものがある。
そうなんだよな、自分は受け手なんだよなと再認識。
その感覚を掴めたら歩行、しゃがむ動き、足を踏む感覚など日常生活で訓練できる事なんていくらでもあって、その感覚をもったまま色々試す。
掴んだ瞬間はどこまでもいける感覚がある。
これも道なのか?
本当に気の合う人と接していてもある種の似た感覚に陥る事がある。
身体操作に限らない話だと思います。
老子「載營魄一、能無離乎。専氣致柔、能嬰児乎。…」
老子は読んでると色んな事を書いてる。
でも意外と内容は共通していて多くはなく、感覚を掴めるのか、継続できるのかと言ったところに一つの価値があると思う。
楽しんでいこう。
院長の治療を受けて(平成30年12月)
院長の治療を受けております。
【主訴】
背中の痛み(肩甲骨内側と下部周辺の張痛)と
慢性腰痛(痛みは軽微で動作開始時痛)。
出来るだけ、些細な変化も記憶に留めておきたいと思い、身体の全体を観察します。
治療に関しての全てが”学び”です。
問診での着目するポイント、
舌など望診における情報をキャッチする速さ、
繊細でありながら落ち着いている切診の感覚。
そして、治療。
背中の痛み関しては即座に無くなります。
腰部の痛みについては、
朝の起きる際やソファーに長時間座った後などのスターティングペインなので、
この時には変化は分らなかったですが、効果は翌朝に十分感じ取れました。
伝えはしたものの、後回しでも良いと考えていた膝の痛みも同時に無くなります。
結果、
嘘のように無くなっています。
鍼を受けて寝ている際に、身体に集中すると
手指の末端がピクピクし、腹部も微妙に内部が動くのを感じます。
刺鍼と、この感覚。結果を思うと、
身体を巡る気血や臓腑からの学術と臨床の関係を感じるに十分です。
日頃学ぶ東洋医学の論理を目の当たりに体感できた素晴らしい時間です。
『開業以来、鍼一本。』
この”鍼一本”の可能性の楽しさを見せて頂いたように思います。








