備忘録(1)
アルバイトとして障害者の介助や老人の介護をおこなっておりますが、
今回は、とある方の入浴を介助いたします。
洗髪の際、
ゴシゴシ、ゴシゴシ、、
Aさん「もっと強くして下さい。」
稲垣 「大丈夫ですか?それでは。」
ゴシゴシ、ゴシゴシ、、(結構強くしてるけど大丈夫かな?)
Aさん「もっと強くして下さい。」
稲垣 「(゚д゚)!えっ(マジで!)。わかりました。」
ゴシゴシ、ゴシゴシ、、
Aさん「強くやり過ぎて、昔は血が出たことがあるんですが、それが良いんです。
HAHAHAHAHAHA。」
稲垣 「・・・。」
Aさん「でも、寝不足の時は強さに耐えれない時があるんです。」
★ ”養蔵”できない事での、”皮毛”への影響を思う。
脾の運化について
今回は、五臓の脾の働きのひとつ、運化について整理しました。
脾は中焦にあって
気や血を生み出す働きを担う。
脾は運化を主る、と表される。
どのようにして気血を生むのかーそれは毎日の食事を通して行われる
運化の意味はー運ぶこと、変化させること
脾の運化にはざっくりと次のふたつの側面から成る。
飲食物を消化・吸収して得られた水穀の気をからだ全体に運ぶ(運化水穀)
そして、飲食物の消化・吸収・運搬を通して、からだ全体の水の流れを調節する(運化水液)
脾が弱ると消化・吸収が正常に行えなくなる、気や血が足りなくなる。
そして、運化水液の働きが弱り、からだに停滞する。
食べることで体が作られ維持される、
それは生きる為の土台になる。
別の視点では、
エネルギーや栄養を運ぶ働きを担う脾胃が元気だからこそ、
そのほかの臓腑もしっかりと働ける。
そして、臓腑や器官に必要な水液が届けられる(排出が行われる)
ー「後天の本」「気血生化の源」
肺は呼吸を通して、気という、より軽いものを扱う。
脾は運化を通して、地の気や水液をからだ全体に送り巡らす。
階層は違えど必要不可欠なふたつが、上焦と中焦で働いている。
どのように関わり合いながら機能しているのか、
今後、深めていきたいと思います。
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【参考文献】
『中医学ってなんだろう』東洋学術出版社
五行大義(3)
炎上
火曰炎上。炎上者南方揚光輝、在盛夏氣極上。
故曰炎上。王者向明而治。蓋取其象。
古者明王南面聽政、攬海内雄俊、積之於朝、以助明也。
退邪佞之人臣、投之於野以通壅塞。
任得其人則天下大治、垂拱無爲。
易以離爲火爲明。重離重明、則君臣倶明也。明則順火氣。
火氣順、則如其性。如其性則能成熟、順人士之用。
用之則起、捨之則止。
若人君不明、遠賢良進讒佞、棄法律疎骨肉、
殺忠諫赦罪人廢嫡立庶、以妾爲妻、則火失其性、不用則起、
隨風斜行、焚宗廟宮室燎于民居。
故曰火不炎上。
火は炎上という。炎上なるもの南方に光輝を揚げ、盛夏にあって氣が極まり上がる。
故に炎上という。王なるもの明りに向かって治る。およそ、その象をとる。
明王、南面し政を聴き、海内の雄俊をとり、朝廷に積み、もって明を助ける。
邪佞の人臣退き、これを野に投げ、もって壅塞を通ず。
得たその人に任せ、すなわち天下大きく治み、垂拱になすなし。
易は離をもって火となし、明となす。離を重んじ、明を重んじれば、則ち君臣ともに明らかなり。明、則ち火氣の順なり。
火氣の順、則ちその性のごとし。その性のごとくは則ち能く成熟し、人士の用に順ず。
これを用いて則ち起こり、之を捨てれば則ち止む。
もし人君、明からずして、賢良に遠く讒佞に進め、法律を棄て骨肉を疎み、
忠諫を殺し罪人を赦し、嫡を廢して庶をたて、妾をもって妻となせば、則ち火はその性を失い、用いざるに起こり、
風に随いて斜めに行き、宗廟・宮室を焚き、民居を燎く。
故に火に炎上せずという。
【参考文献】
『五行大義』明德出版社
『漢辞海』三省堂
『易経』徳間書店
y=sinθ(1)
素問 六微旨大論篇 第六十八
帝曰.
遲速往復.風所由生.而化而變.故因盛衰之變耳.
成敗倚伏.遊乎中.何也.
岐伯曰.成敗倚伏.生乎動.動而不已.則變作矣.
帝曰.有期乎.
岐伯曰.不生不化.靜之期也.
帝曰.不生化乎.
岐伯曰.
出入廢.則神機化滅.升降息.則氣立孤危.故非出入.則無以生長壯老已.
非升降.則無以生長化收藏.
是以升降出入.無器不有.
故器者生化之宇.器散則分之生化息矣.
故無不出入.無不升降.化有小大.期有近遠.四者之有.而貴常守.反常則災害至矣.
故曰.無形無患.
此之謂也.
帝曰善.有不生不化乎.
岐伯曰.悉乎哉問也.與道合同.惟眞人也.
帝曰善.
帝曰く、遅速と往復とは、風の生ずる故由にして、しかして化し、しかして変ずるは、故より盛衰に因るの変のみ。
成敗倚伏して中に遊ぶとは、何ぞや。
岐伯曰く、成敗は倚伏して、動より生じ、動きて已まざれば、すなわち変作こる。
帝曰く、生化せざるか。岐伯曰く、出入廃されれば、すなわち神機は化して滅し、升降息めば、すなわち気立は孤にして危うし。
ゆえに出入するにあらざれば、すなわちもって生・長・壮・老・已するなく、升降するにあらざれば、すなわちもって生・長・化・収・蔵するなし。
ここをもって升降・出入は、器としてあらざるなし。ゆえに器なる者は生化の宇にして器散ずればすなわちこれを分かち、生化息まん。
ゆえに出入せざるなく、升降せざるなし。
化に小大あり、期に近遠あり。四者これあれば、常の守らるるを貴び、常に反すれば、すなわち災害至る。ゆえに曰く、形なければ患いなし、と。
此れをこれ謂(『現代語訳 黄帝内経素問 下』P91より抜粋 訳:松村巧)
『生・長・壮・老・已』
『生・長・化・収・蔵』
韻を踏んだ二つの言葉。
この章においては『化する』という”ターニングポイント”としての動詞が重要に思います。
生長【陽】から収蔵(老已)【陰】への変換に着目してみた訳を考えてみました。
『生長・壮・老已』
『生長・化・収蔵』
『生長・壮・老已』
生長して→壮じて(大人になって)→老已(年老い亡くなる)する
『生長・化・収蔵』
生長して→化して(変化して)→収蔵する
【参考文献】
『黄帝内經』中医古籍出版社
『現代語訳 黄帝内経素問 下』東洋学術出版社
五行色体表の学習
皆さまこんにちは。
本日は五行色体表の暗記を行う際に、
気になったものについて学習しました。
私が特に難しいと感じたのは〝五脈〟です。
五脈(弦、鈎、代、毛、石)
難しいと感じる理由として、
漢字からどういう脈なのか
イメージできるものと、しにくいものがあると感じました。
そこで、まずは教科書から五脈について学んでみたいと思います。
はじめに五脈とは?
→五脈は五臓と対応する脈のことである。
〈対応する五臓と脈について〉
(肝)弦は、糸がピンと張ったような脈
(心)鈎は、拍動の来るときが強く、去るときが弱い脈 である。
(脾)代は、やわらかく弱い脈のことで、「代脈(不整脈の一種)」とは異なる。
(肺)毛は、羽毛のように軽く浮いて力のない脈
(腎)石は、石のように硬く沈んだ脈
『素問』平人気象論篇第十八では、五季の正常な脈を
「春は微かに弦」「夏は微かに鈎」「長夏は微かに耎弱(ぜんじゃく)」
「秋は微かに毛」「冬は微かに石」と記載し、この脈以外では病や死になるとしている。
ここまでは教科書に記載していた内容です。
次に、東洋学術出版社『素問』平人気象論篇第十八(p304〜308)から抜粋した原文をみてみたいと思います。
【原文】
平人之常气禀於胃。胃者平人之常气也。人无胃气曰逆。逆者死。
春胃微弦曰平。弦多胃少曰肝病。但弦无胃曰死。胃而有毛曰秋病。毛甚曰今病。藏真散於肝。
肝藏筋膜之气也。夏胃微钩曰平。钩多胃少曰心病。但钩无胃曰死。胃而有石曰冬病。
石甚曰今病。藏真通於心。心藏血脉之气也。长夏胃微耎弱曰平。弱多胃少曰脾病。
但代无胃曰死。耎弱有石曰冬病。弱甚曰今病。
藏真濡於脾。脾藏肌肉之气也。秋胃微毛曰平。毛多胃少曰肺病。但毛无胃曰死。毛而有弦曰春病。弦甚曰今病。藏真高於肺,以行荣冲阴阳也。
冬胃微石曰平。石多胃少曰肾病。但石无胃曰死。石而有钩曰夏病。钩甚曰今病。
藏真下於肾。肾藏骨髓之气也。
【書き下し文】
平人の常気は胃に稟く。胃なる者は平人の常気なり。人に胃の気なきを逆と曰う。逆なるものは死す。春の胃は微弦なるを平と曰う。弦多く胃少なきを 肝 病むと曰う。但 弦のみにして胃なきを死と曰う。胃ありて毛あるを秋に病むと曰う。毛甚だしきを今病むと曰う。蔵の真は肝より散ず。肝は筋膜の気を蔵するなり。夏の胃は微鈎なるを平と曰う。鈎多くして胃少なきを心 病む曰う。但 鈎のみにして胃なきを死と曰う。胃ありて石あるを冬に病むと曰う。
石甚だしきを今病むと曰う。蔵の真は心に通ず。心は血脈の気を蔵するなり。長夏の胃は微・耎弱なるを平と曰う。脈多く胃少なきを脾 病むと曰う。但 代のみにして胃なきを死と曰う。耎弱にして石あるを冬に病むと曰う。弱甚だしきを今病むと曰う。
...
肺は気を主り、呼吸を司る
今回はあらためて、五臓の肺が司る
呼吸についてまとめてみました。
肺は気を主り、呼吸を司る といわれています。
肺は呼吸を通して、清気を取り入れる。
清気をもとに宗気・営気・衛気などが生成される。
また、清気は体の上部へ送られて、視覚・聴覚・嗅覚・発生などを正常に保つ。
連続する呼吸運動が、全身の気を動かす原動力となる。
気を上へ、外へ動かす。気を下へ、内へ動かす。(宣発と粛降)
そうして気の運行の中心を担う。
気と共に、全身をめぐる脈に気血が通され、(肺は百脈を朝す)
津液の運行が支えられる。(水道を通暢する)
当然人のいちばん身近に在って、
健康なときは特に意識することも少なく静かで、
裏では人体(心も)を成り立たせる根元的な働きを担う。
そして、そこにバランスしていること。
検討するほどますます面白さを感じるところだと再認識しました。
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【参考文献】
『中医学ってなんだろう』東洋学術出版社
五行大義(2)
曲直
洪範傳曰、木曰曲直者東方。
易云、地上之木爲觀。
言春時出地之木、無不曲直、花葉可觀。
如人威儀容貌也。
許愼云、地上之可觀者、莫過於木。
故相字目傍木也。
古之王者、登稿輿有鸞和之節、降車有佩玉之度、
田狩有三驅之制、飲餞有獻酢之禮。
無事不巡幸、無奪民時、以春農之始也。
無貧欲姦謀所以順木氣。
木氣順、則如其性、茂盛敷實、以爲民用。
直者中繩、曲者中鉤。
若人君失威儀、酖酒淫縦、重徭厚税、
田獵無度、則木失其性、春不滋長、不爲民用、橋梁不従其繩墨。
故曰木不曲直也。
洪範伝に曰く、木に曲直というは東方。
易にいう、地上の木を観となす。
言うこころは、春時、地に出づるの木は、曲直ならざるなし、花葉観るべし。
人の威儀容貌のごときなり。
許慎いう、地上の観るべき者は、気に過ぐるはなし。
故に相の字は、目、木の傍らにするなりと。
古の王者は、輿に登るに鸞和の節あり、車を降りるに佩玉の度あり、
田狩に三駆の制あり、飲餞に獻酢の礼あり。
事なきときは巡幸せず、民の時を奪ふなし。
春は農の始めなるを以てなり。
貪欲姦謀なきは、木気に順う所以なり。
木気順なれば、則ちその性のごとく、茂盛敷実し、以て民の用をなす。
直なる者は縄に中り、曲なる者は鉤に中る。
若し人君、威儀を失い、酒に酖りて淫縦し、徭を重くし税を厚くし、
田獵度なければ、則ち木は、その性を失い、春滋長せず、民の用をなさず。
橋梁は、その縄墨に従わず。
故に木に曲直せずというなり。
【引用文献】
『五行大義』著者:中村璋八、発行:明德出版社
気の分類について
気は、その働きにおいてー
臓腑、経絡、組織などにくまなく分布していて、
生理活動が正常に行なわれるようにする。
心気の推動作用を助け、心の拍動を行う。呼吸と発声を担う。
血と共に脈中を休みなく巡りながら各組織、器官を栄養する。
体表を保護し、外邪の侵入を防ぐ。
汗孔の開閉を調節し、体温を一定に保つ。
皮膚、肌肉、臓腑、筋骨を温める。
それぞれ、元気・宗気・営気・衛気 といい、人体における気のうち
主たるものとされる。
気の概念について、あらためて見直しているとき
先天の気と後天の気を「源による分類」、
そして、前述の4種類を「機能による分類」
と整理して述べている部分が目に入ってきました。
気とは「人体を構成し、生命活動を維持する精微物質を表すとともに機能を表す」とされます。
実はこれまで、この物質という表現にどこかしっくりこない印象を
持っていたのですが、それは、物質=静止した物
というニュアンスを持たせて、読み取っていた為だと知りました。
気の本質が運動にあることについて、考え直すきっかけになりました。
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【参考文献】
『新版 東洋医学概論』医道の日本社
『古典に学ぶ鍼灸入門』医道の日本社
異名同穴④
腧穴(しゅけつ)とは、いわゆる「つぼ」と呼ばれるものの総称である。
腧穴には、十四経脉上(正経十二經脉・督脈・任脈)にある「經穴(正穴)」、経脉に所属せず治療効果から発生し名称と部位が定まっている「奇穴」、奇穴の中でも1901年以降になってから定められた「新穴」、押すと心地がよかったり、圧痛を感じたりするが、名称も部位も定まっていない「阿是穴(天応穴、圧痛点)」などが含まれる。
經穴(正穴) : 十四經脉上にあり名称、部位が定まっている。
奇穴 : 十四經脉上になく名称、部位、主治症が定まっている。
(新穴 : 1901年以降に定められた奇穴)
阿是穴(天応穴、圧痛点): 名称や部位は定められていないが、病態と深く関わって出現したり、治療点となる部位がある。
④4つの異名のあるもの
穴名 異名
陰交穴 : 少関穴、横戸穴、丹田穴、小関穴
陰都穴 : 食呂穴、食宮穴、石宮穴、通関穴
横骨穴 : 下極穴、屈骨穴、曲骨穴、下横穴
客主人穴 : 上関穴、客主人穴、客王穴、太陽穴
曲地穴 : 鬼臣穴、陽沢穴、鬼臣穴、鬼腿穴
頬車穴 : 機関穴、鬼牀穴、曲牙穴、鬼林穴
曲骨穴 : 尿胞穴、屈骨穴、曲骨端穴、回骨穴
三陰交穴 : 承命穴、太陰穴、下三里穴、女三里穴
心兪穴 : 背竅穴、俉焦の間穴、心の兪穴、背兪穴
上脘穴 : 上管穴、上紀穴、胃脘穴、胃管穴
衝陽穴 : 会原穴、趺陽穴、会湧穴、会骨穴
神門穴 : 兌衝穴、中郄穴、鋭中穴、兌骨穴
身柱穴 : 知利気穴、散気穴、塵気穴、知利毛穴
臑会穴 : 顴髎穴、臑交穴、臑輸穴、臑兪穴
太谿穴 : 昌細穴、照海穴、陰蹻穴、大系穴
中府穴 : 膺中兪穴、肺募穴、府中兪穴、膺兪穴
中極穴 : 気原穴、玉泉穴、膀胱募穴、気魚穴
瞳子髎穴 : 太陽穴、前関穴、後曲穴、童子髎穴
命門穴 : 属累穴、竹杖穴、石門穴、精宮穴
腹結結 : 腹屈穴、腸結穴、腸屈穴、陽屈穴
陽関穴 : 関陽穴、寒府穴、陽陵穴、関陵穴
湧泉穴 : 地衢穴、地衝穴、蹶心蹶、涌泉穴
労宮穴 : 五里穴、鬼路穴、掌中穴、鬼窟穴
【参考文献】
『新版 経絡経穴概論』医道の日本社
『鍼灸医学事典』医道の日本社
方剤学(1)
八法
『医学心悟』(程鍾齢)には「病の源を論ずれば、内傷外感の四字によりこれを括る。病の情を論ずれば、すなわち寒熱虚実表裏陰陽の八字をもってこれを統べる。しかして治病の方は、すなわちまた汗・和・下・消・吐・清・温・補の八法をもってこれを尽くす」とある。
温法
温法とは、温裏・散寒・回陽・通路などの効能により、寒邪を除き陽気を回復し経路を通じて、裏寒を解消する治法である。裏寒の成因には外感と内傷の別があり、外来の寒邪が裏に直中するか、陽気不足や誤治による陽気の損傷によって陰寒が内生する。このほか、裏寒には臓腑経絡という部位の違いがある。それゆえ、温法にも温中散寒・回腸救逆・温経散寒の別がある。
○温中散寒剤
中焦虚寒や中焦の裏寒に適用する。
脾胃の陽気が虚衰して、運化と昇陽が不足し、腹痛・腹満・食欲不振・口渇がない・下痢・悪心・嘔吐・舌苔が白滑・脈が沈細、沈遅などの症候がみられる。このほか外寒が中焦に直中して裏寒が生じることもあり、素体が陽気不足の場合に発症することが多い。
(01)理中丸《傷寒論》
(02)呉茱萸湯《傷寒論》
(03)小建中湯《傷寒論》
(04)大建中湯《金匱要略》
○回腸救逆剤
心腎の陽気衰弱による内外倶寒の陰寒証に適用し、陰寒内盛によって生じる陰盛格陽・戴陽などの真寒仮熱にも用いる。
陽気衰微の内外倶寒では、元気がない・四肢厥冷・畏寒・身体を縮めて寝る・不消化下痢・舌質が淡・脉が沈細、沈で無力などがみられる。悪化し、陽気が格拒されると、体表部の熱感・煩躁など格陽の症状や口渇・煩部紅潮など戴陽の症候があらわれ危急状態となる。
(01)四逆湯《傷寒論》
(02)参附湯《正体類要》
(03)回陽救急湯《傷寒六書》
(04)黒錫丹《和剤局方》
○温経散寒剤
陽気の不足や陰血不足で経脉に寒邪を受け、血の運行が阻滞された状態に用いる。
手足の抹消の冷えや肢体のしびれ痛み・脉が沈細などの症候がある。
(01)当帰四逆湯《傷寒論》
大建中湯(温中散寒剤)
〔主治〕
中焦陽虚・陰寒上逆
〔組成〕
蜀椒・乾姜・人参・膠飴
〔方意〕
急いで温中補虚・散寒降逆して止痛・止嘔する。
主薬は辛・大熱の蜀椒で、脾胃を温め散寒除湿・下気散結に働く。
大辛・大熱の乾姜は、温中散寒して中陽を振奮し、逆気を散じて止痛・止嘔する。
甘温補中の人参・膠飴は脾胃を補益して本治し、膠飴は緩急にも働く。
辛甘の薬物のみで中陽を温建し、補虚散寒の力は小建中湯より峻烈であるので「大建中湯」と名付けられる。
後天の本
脾と胃とはともに中焦にあり、脾は陰であり、胃は陽であるので、両者は表裏の関係にある。
胃は受納を担当し、脾は運化を担当し、互いに協力しあっている。
そのため、どちらかに病変が発生したときには、もう一方に害が及んでしまう。
したがって実際に脾胃の病変が起きた時には、水穀の受納・運化・配布機能の全てに渡って影響が現れる。
脾胃は気血を化生し、五臓六腑と体内外を潤して肌肉を満たし、四肢を壮健にするので、後天の本といわれる。
【参考文献】
『中医臨床のための方剤学』医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』東洋学術出版社