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東洋医学・鍼灸医学の研究用ブログです。

傷寒論の学習 その1

こんにちは。 傷寒論をはじめて勉強していく場合、 学校の教科書や入門書では ・太陽病:表寒証 ・陽明病:裏実熱証 ・少陽病:半表半裏証 ・太陰病:裏虚寒証(脾陽の虚) ・少陰病:裏虚寒証(心腎の虚) ・厥陰病:外感病の末期で陰陽の失調 と学習していくと思います。 これらは主となる証であり、 専門書では この主となる証のことを 「提綱証(ていこうしょう)」と言ったりします。 たとえば太陽病の提綱証は表寒証であり、 その綱となる症候として、 脈は浮脈、症状は悪寒、頭痛(頭項強痛)とされます。 太陽病以下、 陽明病では便秘、潮熱、舌は黄色く乾燥するなど、 それぞれの綱となる症候があり、 これらは入門書にも書かれていて 学校の教科書にもほとんど載っている内容ですので 国試にも出題されていますね。 さて、ここからが本題なのですが、 このような入門書や学校の教科書だけで 学習が終わってしまうと、 傷寒論のごく一部しか 知らないことになってしまうということです。 太陽病だからといって表寒証だけかというと 実はそうではなく、裏証もあります。 同様に、陽明病だからといって裏熱証だけかというと そうではなく、 陽明病の裏寒証と分類する証候もあれば 裏虚証と分類する証候もあります。 具体的には、 太陽病の綱証は表証と述べましたが、 太陽病自体を表裏で分けて考えてみると、 太陽病には ①太陽経証 ②太陽腑(実)証 があるとされています。 ①太陽経証は上述した表寒証のことですが、 ②太陽腑証とは 膀胱の機能が失調して小便が出ない太陽蓄水証、 瘀血が停滞する太陽蓄血証があり、 裏である膀胱腑の機能が失調するものをいいます。 表裏、虚実、寒熱、陰陽は それぞれ相対的な概念で、 太陽病だからといって必ずしも表証であるということではなく、 表にある邪が内陥して膀胱の機能を失調させることは 可能性として 普通に考えられることです。 <続く>

五行大義(3)

炎上 火曰炎上。炎上者南方揚光輝、在盛夏氣極上。 故曰炎上。王者向明而治。蓋取其象。 古者明王南面聽政、攬海内雄俊、積之於朝、以助明也。 退邪佞之人臣、投之於野以通壅塞。 任得其人則天下大治、垂拱無爲。 易以離爲火爲明。重離重明、則君臣倶明也。明則順火氣。 火氣順、則如其性。如其性則能成熟、順人士之用。 用之則起、捨之則止。 若人君不明、遠賢良進讒佞、棄法律疎骨肉、 殺忠諫赦罪人廢嫡立庶、以妾爲妻、則火失其性、不用則起、 隨風斜行、焚宗廟宮室燎于民居。 故曰火不炎上。 火は炎上という。炎上なるもの南方に光輝を揚げ、盛夏にあって氣が極まり上がる。 故に炎上という。王なるもの明りに向かって治る。およそ、その象をとる。 明王、南面し政を聴き、海内の雄俊をとり、朝廷に積み、もって明を助ける。 邪佞の人臣退き、これを野に投げ、もって壅塞を通ず。 得たその人に任せ、すなわち天下大きく治み、垂拱になすなし。 易は離をもって火となし、明となす。離を重んじ、明を重んじれば、則ち君臣ともに明らかなり。明、則ち火氣の順なり。 火氣の順、則ちその性のごとし。その性のごとくは則ち能く成熟し、人士の用に順ず。 これを用いて則ち起こり、之を捨てれば則ち止む。 もし人君、明からずして、賢良に遠く讒佞に進め、法律を棄て骨肉を疎み、 忠諫を殺し罪人を赦し、嫡を廢して庶をたて、妾をもって妻となせば、則ち火はその性を失い、用いざるに起こり、 風に随いて斜めに行き、宗廟・宮室を焚き、民居を燎く。 故に火に炎上せずという。 【参考文献】 『五行大義』明德出版社 『漢辞海』三省堂 『易経』徳間書店
桜

食べることについて①

皆さま、初めまして。 受付をしております、鍼灸学生のイワイです。 ここでは、日々の学習のことやそこで生じた疑問など様々なことについて、学生なりに書いていきます。 どうぞよろしくお願いします。 早速ですが、新年度になりました。 桜が満開で見頃を迎えてますね! 春といえば、「新しいこと」を始めるのに適した季節だというわれています。新しいチャレンジや生活など、楽しみな気持ちと新しいことに取り組む不安もあると思います。 私達の身体は何か取り組むとき必ずエネルギー、気力、体力が必要になります。 そこで、新しいことに向き合うために、日々の生活の中で欠かすことのできない〝食事〟について勉強し、食べることで身体へどういう影響がでるのか、西洋医学と東洋医学での、それぞれの概念について勉強しました。 西洋医学的には、私達が食事した際、口から入った食べ物は 口→食道→胃→小腸→大腸→肛門 という順ではいって、外で便として出て行きます。この過程の中で、体内に栄養素を取り込み、身体に必要な物資に再合成し、吸収されています。 では、東洋医学的にはどういう概念でしょうか? 東洋医学的に考えると、まず人体の構成や生命活動を維持するのに最も基本的な物資のことを〝精〟といいます。 この〝精〟には、父母から受け継いだ〝先天の精〟と飲食物を摂取することにより得られる〝後天の精〟の2つから成り立ちます。先天の精の量は生まれたときから決まっていますが、後天の精は飲食物を摂取することで絶えず補充されています。 次回は、後天の精について勉強したことを書いていきたいと思います。 ————————————————————— 【参考文献】 「生理学 第3版 」東洋療法学校協会 編 「新版 東洋医学概論」東洋療法学校協会 編

祖母への鍼灸ケア:温灸器

祖母(94歳。認知症あり。要介護4。脳梗塞後遺症あり。) に対する、スモークレス温灸器の動作テスト。 不定愁訴は便秘。 使用経穴は督脈の腰陽関と霊台あたり。 経穴は使わないと覚えられん…… ※7月14日に行いました。
六甲山

とある山中にて。

こんにちは、稲垣です。 修行の一環で、とある山中にて作業をさせて頂いております。 感じる事は多々あるのですが、この春に感じた事を記したいと思います。 今年の節分は例年よりも一日早い2月2日でした。 つまり立春は2月3日。 その翌日に山中に入りましたが、都市部の寒さとは違う空気を感じました。 気温は寒いのですが、間違いなく”春”。 ビルよりも、木に囲まれた方が、 季節を正確に教えて頂いているように感じます。 その春ですが、 藤沢周平の作品に出てきそうな 東北武士の気概のような力強さを感じました。 ”長い冬に積もった寒さを、苦難を跳ねのけて芽を出す力強さ”的な。 車のギアでいうと1速、2速とかそんなギア比でしょうか。 そんな空気を感じながら作業をしていると。 肝氣の力強さを思い、疏泄機能・条達機能とはこういう事なのかな?と感じたり。 弦脉とはこういう事なのかぁ?と感じたり。 色々な事の辻褄があう感覚を得る事が出来て楽しい時間を過ごせます。 極めて価値ある時間を頂いています。 一人で黙々と作業をする事が、 そんな楽しく思考出来るコツのように思いえますが、どうなのでしょう。 この場所だけに限らず、様々な山を楽しみたいと思います。

舌診(05)

受付のTさんに、舌の研究の為にご協力頂きました。 表 裏 舌質 舌神:有神 舌色:暗舌 舌形:痩舌・瘀点・舌下脈絡の怒張と小点 舌苔 苔色:灰黄苔 苔質:薄苔・燥苔

臓腑について学ぶ(01)

肺 上焦にあり、静粛下降の役割を持つ 気や水液が下降し全身を巡る事によって五臓の気機は昇降のバランスを保つ。 《肺が粛降機能を失う阻害要因》 実の病理変化:外邪や瘀血痰湿などの病理産物により水道が塞がる→痰水壅肺 虚の病理変化:虛寒などにより津液を宣発散布することが出来なくなる→肺虚失制 【痰水壅肺】 息切れ・咳逆・喘息で横になれない。胸脇満痛。飲邪の氾濫による水腫。など 【肺虚失制】 遺尿・頻尿。など ーーー関連領域より病理を考えるーーー 鼻・涕:鼻閉、鼻汁。呼吸や嗅覚に影響あり。 皮・毛:易感冒。皮膚の乾燥。掻痒感。 魄  :感覚・運動・情志などの本能的な精神活動の失調。 憂・悲:憂う。悲しむ。 辛  :気の消耗や熱化。大腸の機能に影響あり。 【参考文献】 『中医病因病機学』東洋学術出版 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

国試終わって、景岳全書。

標本論 『病気の本は一つであり、隠れて明らかにし難い。 病変は非常に多く、表面に現れているため明らかにし易い。 そのため最近の治療家には、本末を理解できないまま、ただ目前に現れている症状を根拠にして治療している者が、多いのである。』 『浅い部分を見て深い部分を洞察し、近くを見て遠くを察知する、 これを摽と本として語るなら納得できるが、市井に言われている摽と本はこの足元にも及ぶものではない。』 張景岳は周辺の医家の治療方針に警鐘をならしているようです。 本(病気の源)と摽(病変)を分割してとらえて、本から標に対しての繋がりに希薄な施術家への注意喚起を発しているように思います。 『標本が理解できないために、ただその肉体を見るばかりで、その七情を見ることができない。 緩急が理解できないために、急性の症状があっても、それが生命に関わっているものであるかどうかが理解できないのである。 このためにいつまでたっても標を見ながら本とし、緩を見ながら急として治療しているため完全に混乱し、摽・本・緩・急という四者の意義を全く失ってしまうのである。』 同じ過ちを犯さないためには、四診における正確な情報の取得から、標の奥にある本を逃さない様にすることの様に思います。 正確に本をターゲットと捉える事が出来るようになるのが、治療する上での核のような気がして、修行の重要な課題に思えます。 景岳全書を読んでいると張景岳の力強さを感じますが、万尚志先生の訳にも手助けされているのでしょうか。原文の探求の必要も感じました。 【参考文献】 『現代語訳 景岳全書 伝忠録』たにぐち書店

五行大義(07)

昔、バイクに乗っておりました。 ビンテージなスタイルを好んで、トライアンフとかノートンとかに憧れておりました。 空冷の単気筒が、エンジンの状態も分かりやすくて好きなのですが、 冬ですと、エンジンが大気で冷えるのと、インテークエアが冷たく燃焼が好調なので、 私は「バイクの最適な季節は冬だ」と考えておりました。 (冷たい空気がエンジンに良い理由は”空気の密度が高い”とか”酸素濃度が高い”とかあるようです。) 五行大義の中、 『少陰則淸冷。故金以强冷爲體、従革爲性。』とあり、 金については冷たいことの優位性を説いてるように思います。 私たちが日々取り込む空気なり飲食なりが、過度に温度が高かったり低かったり、、 東洋医学を考える上でも、重要なのかもしれません。   第二辯體性 つまり形体と性質について 體者以形質爲名。性者以功用爲義。 五行體性、資益萬物。故合而辯之。 木居少陽之位、春氣和、煦溫柔弱。火伏其中。 故木以溫柔爲體、曲直爲性。 火居大陽之位、炎熾赫烈。 故火以明熱爲體、炎上爲性。 土在四時之中、處季夏之末。陽衰陰長。 居位之中、總於四行、積塵成實。 積則有間。有間故含容。成實故能持。故土以含散持實爲體、稼穡爲性。 金居少陰之位。西方成物之所。物成則凝强。 少陰則淸冷。故金以强冷爲體、従革爲性。 水以寒虛爲體。潤下爲性。 洪範云、木曰曲直、火曰炎上、土日稼穡、金曰従革、水曰潤下。 是其性也。 体なるもの形質をもって名となす。性なるもの功用をもって義となす。 五行の体制、万物を資益す。故に合してこれを弁ず。 木は少陽の位にあり、春気 和し、煦温し柔弱する。火はその中に伏す。 ゆえに木は温柔をもって体となし、曲直を性となす。 火は大陽の位にあり、炎熾し赫烈する。 ゆえに火は明熱をもって体となし、炎上を性となす。 土は四時の中にあり、季夏の末のところ。陽は衰し陰は長ず。 位の中にあり、四行を総じ、塵を積もりて実をなす。 積もれば則ち間を有す。間がるがゆえに容を含む。実をなすがゆえに持も能う。 ゆえに土は含散・持實をもって体をなし、稼穡を性となす。 金は少陰の位にあり。西方は物を成すところ。物を成せば則ち凝強す。 少陰は則ち清冷なり。故に金は強冷をもって体となし、従革を性となす。 水は寒虚をもって体となす。潤下を性となす。 洪範云、木は曲直といい、火は炎上といい、土は稼穡といい、金は従革といい、水は潤下という。 これはその性なり。 【参考文献】 『五行大義』株式会社 明德出版社
収穫の秋 近所の茂みにダイダイが実りました

【用語集】腎不納気

腎不納気 腎気が虚したり、 腎精の不足により腎陽や腎陰に影響が出ると、 「納気」の作用(摂納とも)が働かなくなる状態となる。 「摂納」が出来なくなると、 肺が吸入した気を、 腎に納めることができなくなり、 自然な呼吸が行えなくなる。 そのため、 少し動いただけで息があがるといった症状が出てくる。 このことからも、 「呼吸」は肺だけでなく、 腎が深く関わって行われていることが分かる。