脾の運化 ②
脾の生理作用、運化について あらためて。
運は運ぶ、化は変化させるの意味。
ここでは特に消化・吸収を指し、具体的には
飲食物を水穀の精微に変化させて吸収し(①)
心や肺に運ぶ作用(②)をいう。
①
胃と小腸が関わる。
水穀の精微は、気や血となり脈中を流れて全身を巡る。
気や血に転化しない精微は五臓に配分され、その余剰分は腎に精として貯蔵される。
②
脾の、上へと向かう気機がベースになる。
その特性から、生理物質を上昇させる昇清作用がはたらき、水穀の精微を心や肺に送る。
(そして、気・血・津液・精となり全身をめぐり、生命活動が維持される。)
運化の失調から、消化や吸収が阻害されて、食欲不振のほか
気や血、精の不足から、息切れや倦怠感、眩暈、不眠などの症状をもたらす。
また、運化は飲食物中の水液を津液として吸収する面を含むため、
その失調は水の停滞を生じさせ、痰湿の原因となる
*脾が受け持つふたつの運化
運化水穀
運化水液(運化水湿)
…からだ中に巡る水液のつくり出すのに加えて、余った水液を肺や腎へ送る
(余分な水は、肺から皮膚をへて汗として、腎から膀胱をへて尿として排出)
ことをして、水の流れの調節を主る。
梅雨が明けて季節が変わり、からだの重たさから一部開放されて、
一新されるような感覚がうれしく、脾についてまとめておきたくなりました。
____________________________________________
【参考文献】
『新版 東洋医学概論』医道の日本社
『中医学ってなんだろう』東洋学術出版社
知らず知らず
加味平胃散を飲んでいると調子が良い人の足を触らせてもらいました。
その人は普段から腐膩がたくさん付く人で、酷い時は口を開けると唾液粘性を帯びているからか糸を引く時もあった。
食事も過剰摂取気味で、脈をとると滑が顕著。
朝、腹痛が起こる事があるらしい。
腸鳴があり、食事量を減らせばゲップが無くなる。
お腹、背中は触れませんでしたが、服の上からでも何となく胃の隆起がわかる。
話を聞くと天枢あたりに痛みが走る事があるらしい。
足を触らせて頂くと右の上巨虚がパンパンで左は色が変わっていた。
下合穴は診断、治療に使えるらしいので刺してみるとどうなるか気になるところでした。
また、穴性学の本では天枢と同時に使われる事もあるが、天枢は大腸の募穴でもある。
どちらも大腸の状態が反映されやすいのかな。
しかし知らず知らず胃腸にバイアスがかかりすぎているなぁ。
初診では広くみようとしたはずなのに、いつの間にか細部に引きずり込まれている。
完全に整体観念の欠如です。
もっときちんと向き合わなくてはいけない。
腎虛
最近、腎虛の意味を再考中。
どうやら途中からそれが指す意味が変わっていそうだ。
それを知れたので、時々ある方剤の違和感が取れた。
現代風な視点からでは見えないものが見えてくる。
では、昔の腎虛を現代の解釈に合わせるとどの様に表現するのか。
課題です。
上ル・下ル(01)
四方八方ありますが、
東洋医学に関して言えば、”上下” の問題をよく目にします。
上がってはいけないものが上がったり、
下げる力が弱くて下がらなかったり。
亢害承制
「肺氣の清粛下降機能は、肝木が昇発しすぎるのを防止し制御して、全身の協調と安定を保っている」
と、『中医病因病機学』においては、このバランスを保っている法則を”亢害承制”と呼んでいます。
【病理】
〇金不制木
肺金の粛降機能が失調し、肝火相火が制御できずに上昇してしまう。
〇木火刑金
肝氣不疏により気鬱が火に変化し、肺金を犯す。
【参考文献】
『中医病因病機学』東洋学術出版社
水気凌心
水気凌心とは、水湿が氾濫して心臓に影響し、そのために心機能が減退して起こる。
(中医弁証学 /東洋医学術出版社 p234 より引用)
水気とは、体内に発生した異常な水液のこと。(「新装版」中医学入門/神戸中医学研究会 p13 より引用)
凌は押し伏せる。下に抑えるようにする。おおいかぶさるという意味。
今日教えていただいた言葉。忘れないように覚え書きです。
舌の考察 2023/11/8
胖嫩舌 舌体が浮腫んでいて力がない感じで、弱々しい雰囲気。
前回よりも舌が膨れて、全体的に苔に覆われ湿潤してテカリも見られる。津液の巡りが悪く停滞している。
この時期は、サンドイッチや揚げものが多く野菜不足で、食生活が偏っていたせいかもしれません。口の周りにも吹き出物が出て肌荒れが目立っています。顔の皮脂も多めです。
舌質は胖大、あせた紅。
舌辺に歯痕がみられる。どちらかと言うと胖嫩気味。
舌中は無苔でやや乾燥気味に見える。舌尖は赤く無苔です。
舌根は膩で、舌辺はうっすらではあるが黄苔が見られる。
風邪の後の空咳がしばらく続いていたのが、反映されているのかもしれません。
ちなみに脈は 中位で細微弦 沈位で滑 でした。
中国の思想(07)
老子
四十三章 無為のはたらき
天下之至柔、馳騁天下之至堅。
無有人無間。
吾是以知無為之有益。
不言之教、無為之益、天下希及之。
天下の至柔は、天下の至堅を馳騁す。
無有は無間に入る。
われここをもって無為の益あるを知る。
不言の教、無為の益、天下これに及ぶもの希なり。
(引用:『中国の思想[Ⅳ]老子・列子』P82)
《私議》
一休さんのとんち話の中で出てくる
「生ある者は必ず死す、形ある物は必ず滅す。」
これは諸行無常を説いていたように思いますが、
老子のこの一節を読んで、ふと思い出しました。
日常生活の中で”自然体であること”の強さを日々感じています。
【参考文献】
『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店
舌診(03)
受付のKさんに舌の研究の為にご協力頂きました。
飲食物の影響による舌苔が染まる、
いわゆる”染苔”をさける為に、わざわざ調整していただきました。
表
裏
舌質
舌神:有神
舌色:淡白舌
舌形:嫰・胖大・歯痕・点刺
舌苔
苔色:白苔
苔質:全苔・薄苔
易経 その2
つづき
この易経ですが、一般的には「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の占いのイメージがつよいですが、本を読んでみてそれだけではないことがわかりました。
易経には大昔の人が、世の中の仕組みや人生においての法則があって、その法則には一定のルールがあり、それを64種類の物語にして教えてくれているらしいのです。
その法則を理解して身につければ、もはや占う必要性もなくなり世の中の森羅万象、物事の道理、そしてその先行きが見通せるようにもなるというのです。
そう聞くと更に興味が湧き、是非理解を深め、その智慧の恩恵に与りたいと思うのも必至です。
そんな易経ですが、いつの時代に出来上がった考え方なのかと調べてみると、今、日本で一般的に使われている「易」は「周易」と言って周王朝時代に確立したそうです。
その周王朝時代の日本は何時代か見ると、縄文時代でした。
恐るべし中国史です。
そんな昔から世の中の道理が解明されていたのにびっくりです。
東洋医学といい、易経といい太古の先人に感謝します。
とある山中にて。
こんにちは、稲垣です。
修行の一環で、とある山中にて作業をさせて頂いております。
感じる事は多々あるのですが、この春に感じた事を記したいと思います。
今年の節分は例年よりも一日早い2月2日でした。
つまり立春は2月3日。
その翌日に山中に入りましたが、都市部の寒さとは違う空気を感じました。
気温は寒いのですが、間違いなく”春”。
ビルよりも、木に囲まれた方が、
季節を正確に教えて頂いているように感じます。
その春ですが、
藤沢周平の作品に出てきそうな
東北武士の気概のような力強さを感じました。
”長い冬に積もった寒さを、苦難を跳ねのけて芽を出す力強さ”的な。
車のギアでいうと1速、2速とかそんなギア比でしょうか。
そんな空気を感じながら作業をしていると。
肝氣の力強さを思い、疏泄機能・条達機能とはこういう事なのかな?と感じたり。
弦脉とはこういう事なのかぁ?と感じたり。
色々な事の辻褄があう感覚を得る事が出来て楽しい時間を過ごせます。
極めて価値ある時間を頂いています。
一人で黙々と作業をする事が、
そんな楽しく思考出来るコツのように思いえますが、どうなのでしょう。
この場所だけに限らず、様々な山を楽しみたいと思います。
















