判断
2年生最後の実技の授業は、クラスメイトに自由に施術するということで
主訴が腰痛のクラスメイトに鍼をしました。
舌をみて脈をみてお腹を触って、どこにエラーが起きているのか考え鍼をうち、
その後脈と舌の変化を探ってみる。
どう変化したらよしとするのか、背部にも鍼をしたほうがよいのか、
その判断が今はまだわからない。
3年生になるのにこんな状態でいいのか、焦りを感じます。
目線
目の前の現象に簡単に目が眩むのは、問診で聞きとった患者の言葉に一喜一憂するのと同じで目線に確固たる軸がないためだと知る。患者の先週と異なって冷え切った(そう表現してしまうことも含まれる)腹部に触れて、捉えやすい冷えの情報の向こうに別の情報を察知できずにいる。同じ腹部を診た先輩がまったく別の点で着目、記したカルテを見てまた気づかされる。
胆など
猫
猫の体調が悪くなり始め、治療を行っていた。
その中で一番勉強になった事が相手との向き合い方と治療のスタンス。
本に書かれている「成功したとされる治療」が本当に相手に満足のいく治療になるのか。
寺子屋に来て最初に教わった事が活きました。
死の直前の様子などからも今の自分に出来る限りは尽くせた。
自分の家族だから行えた事にはしないでおきたい。
過去に教わった言葉が思い返され、体感する事で重みが増しました。
猫に最後の方に起こった症状
・目の陥没、横からみると隙間が出来ていた。
・舌質が黒くなった
・太渓が最後は暗くなった
・呼吸が下に入らなくなった
・排便、食欲が無くなった
・涙目の日が増えてきた
などが起こっていました。
記録として残します。
舌の考察
舌に湿潤が多く、静脈の怒張がきつい。
胖大。
舌色は薄いが辺縁のみ他に比べて赤みがある。
飲料が多いというより、臓腑の機能低下により水が捌けていない。
怒張もその影響だと思われる。
そこに氣滯も兼ねていると思いました。
先週に比べて舌のテカリ、むくみは無くなった。
依然として気虚。
赤みが他に比べて舌先端に偏るが、病的とまで言えないと思う。
胆
最近胆のワードをよく聞くので自分でも調べてみている。
方剤で言えば代表的なものが温胆湯。
その中でも生薬として竹筎が胆に効く薬とされる。
黄帝内経太素
「胆病者善く大息し、口が苦く宿汁を欧き、
心下が澹澹として恐れて人が将に捕之ようとするが如く、
嗌中が吤吤然として数腄し、候は足少陽之本・末に在り、亦其の脈之陥下者視て灸之、
其の寒・熱也陽陵泉に取之ます」
竹筎
「胆虚の熱痰鬱結による驚きやすい・不眠・不安などの症候に、半夏・枳実・茯苓などと用いる。」
中医病因病機 胆気阻滞
「虚煩してびくびくするのは、中正の官が高熱のため乱れているからである。」
邪気論にはなってしまうが、このケースは胆に籠った邪熱が昇って心神を乱すという事ではないかと思われる。
胆の気鬱からの熱化により起こる心煩。
でもこれは一つのパターンでしかないし薄い。
もう少し調べていきます。
權・衡・規・矩
陰陽應象大論篇第五
善診者、察色按脉、先別陰陽、 審清濁、而知部分。
視喘息、聽音聽聲、而知所苦。
觀權衡規矩、而知病所主。
按尺寸、觀浮沈滑濇、而知病所生。
以治無過、以診則不失矣。
善く診る者は、色を察し脉を按じて、先ず陰陽を別ち、清濁を審らかにして、部分を知る。
喘息を視、音声を聴きて苦しむ所を知る。
權・衡・規・矩を観て、病の主たる所を知る。
尺寸を按じ、浮・沈・滑・濇を観て、病の生ずる所を知る。
以て治すれば過ちなく、以て診すれば則ち失せざらん。
※權衡規矩
→馬蒔の説「春は規に応じるとは、陽気の柔軟なのが、丸い規のようであることをいう。
夏は矩に応じるとは、陽気の強く盛んなのが、方形の矩のようであることをいう。
秋は衡に対応するとは、陰が昇り陽が降り、高下が必ず平となることをいう。
冬は權に応じるとは、陽気が下にあるのが、重い權のようであることをいう。』
權(ケン、ゴン)
(01) 木の名
(02) おもり。ふんどう。
(03) はかり。てんびん。
(04) はかりにかけて重量を知る。
(05) たいらにする。ならす。
(06) たいら。
(07) いきおい。
(08) はたらき。能力。
衡(コウ)
(01) よこ。よこたわる。
(02) 牛のつのぎ。牛の両角に横に結んで人に抵触するのを防ぐ木。
(03) くびき。轅の端に設けて牛馬の頸につける木。
(04) こうがい。
(05) よこぎ。はり・けた。
(06) てすり。
(07) はかり。はかりざお。
(08) はかる。
(09) たいら。ひとしい。
(10) ただしい。
(11) ひしゃくの柄のかしら。
☆權衡(ケンコウ)
(01) はかりの重りと竿。転じて、物事の釣り合いをいう。
(02) 事物を品評する標準。比較。
(03) 二星の名。軒轅と太微。
規(キ)
(01) ぶんまわし。円を畫く道具。
(02) まる。円形。
(03) まるい。まどか。
(04) そら。あめ。
(05) まるをかく。えがく。
(06) うつす。模写する。
(07) のっとる。
(08) かぎる。くぎる。
(09) たもつ。領有する。
(10) はかる。
(11) ただす。
(12) いさめる。
(13) のり。おきて。さだめ。
(14) ようす。風釆。儀容。
(15) てほん。儀範。
矩(ク)
(01) さしがね。四角形を正しく畫くのに用いるもの。
(02) 四角形。
(03) かど。
(04) のり。きまり。おきて。
(05) 地。(天圓地方の説:天は円くて、地は方形)
(06) さし。長さをはかる器。
(07) きざむ。しるしをする。
(08) 秋。
(09) 幅と長さ。たてよこ。
(10) 萬に通ず。
☆規矩(きく)
(01) ぶんまわしとさしがね。転じて、規則。てほん。常道。
(02) 戎(遊牧民族)の名。
(03) 高さが略々一様で綠色の毛氈を敷いたように生える草。
★
馬蒔のいわゆる”四季に応じる”とする説(規→春、矩→夏、衡→秋、權→冬)。
理解になじめず、一言ずつ調べてみました。
この”權衡規矩”ですが、馬蒔は四季との対応させる事を表現に用いておりますが、
計量や法則の意味と捉えられる単語を、四季に相応させる不思議を感じます。
四つの単語の權・衡・規・矩ですが、
実は權衡・規矩のような二字熟語の組み合わせで表現してみては、、
との仮説を考えてみます。
陰・陽も”陰陽”、清・濁も”清濁”で通りますので、
浮・沈・滑・濇も”浮沈”と”滑濇”にて。
『陰陽を別ち、清濁を審らかにして、喘息を視、音声を聴き、
權衡や規矩、浮沈や滑濇を観て、病の生ずる所を知る。』
より探求が進んで、洗練された答えにたどり着く事を夢見て、
内經を読みといていきたいと思います。
【参考文献】
『現代語訳 黄帝内経素問 上巻』東洋学術出版社
『黄帝内經』中医戸籍出版社
『大漢和辞典』大修館書店
(權:六巻605頁、衡:十巻165頁、規:十巻322頁、矩:八巻288頁)
『新版 東洋医学概論』医道の日本社
五行大義(07)
昔、バイクに乗っておりました。
ビンテージなスタイルを好んで、トライアンフとかノートンとかに憧れておりました。
空冷の単気筒が、エンジンの状態も分かりやすくて好きなのですが、
冬ですと、エンジンが大気で冷えるのと、インテークエアが冷たく燃焼が好調なので、
私は「バイクの最適な季節は冬だ」と考えておりました。
(冷たい空気がエンジンに良い理由は”空気の密度が高い”とか”酸素濃度が高い”とかあるようです。)
五行大義の中、
『少陰則淸冷。故金以强冷爲體、従革爲性。』とあり、
金については冷たいことの優位性を説いてるように思います。
私たちが日々取り込む空気なり飲食なりが、過度に温度が高かったり低かったり、、
東洋医学を考える上でも、重要なのかもしれません。
第二辯體性
つまり形体と性質について
體者以形質爲名。性者以功用爲義。
五行體性、資益萬物。故合而辯之。
木居少陽之位、春氣和、煦溫柔弱。火伏其中。
故木以溫柔爲體、曲直爲性。
火居大陽之位、炎熾赫烈。
故火以明熱爲體、炎上爲性。
土在四時之中、處季夏之末。陽衰陰長。
居位之中、總於四行、積塵成實。
積則有間。有間故含容。成實故能持。故土以含散持實爲體、稼穡爲性。
金居少陰之位。西方成物之所。物成則凝强。
少陰則淸冷。故金以强冷爲體、従革爲性。
水以寒虛爲體。潤下爲性。
洪範云、木曰曲直、火曰炎上、土日稼穡、金曰従革、水曰潤下。
是其性也。
体なるもの形質をもって名となす。性なるもの功用をもって義となす。
五行の体制、万物を資益す。故に合してこれを弁ず。
木は少陽の位にあり、春気 和し、煦温し柔弱する。火はその中に伏す。
ゆえに木は温柔をもって体となし、曲直を性となす。
火は大陽の位にあり、炎熾し赫烈する。
ゆえに火は明熱をもって体となし、炎上を性となす。
土は四時の中にあり、季夏の末のところ。陽は衰し陰は長ず。
位の中にあり、四行を総じ、塵を積もりて実をなす。
積もれば則ち間を有す。間がるがゆえに容を含む。実をなすがゆえに持も能う。
ゆえに土は含散・持實をもって体をなし、稼穡を性となす。
金は少陰の位にあり。西方は物を成すところ。物を成せば則ち凝強す。
少陰は則ち清冷なり。故に金は強冷をもって体となし、従革を性となす。
水は寒虚をもって体となす。潤下を性となす。
洪範云、木は曲直といい、火は炎上といい、土は稼穡といい、金は従革といい、水は潤下という。
これはその性なり。
【参考文献】
『五行大義』株式会社 明德出版社
【悩み】僕と各種勉強会との関係について
僕は今年の春頃から、ちょこちょこと、鍼灸関係の勉強会に参加させていただいているが、
学生・東洋医学を学ぶ者の為のプロジェクトを設置。
本当に必要な事とはなにか。
https://toyoken.org/141/
において、林先生曰く、
前略
これからも勉強会や企画を
展開していきますが、
参加して頂いても、
なかなか単発でその場では
触発されて気持ちが盛り上がる
ものの、
結局、それが日常にはならないといった問題が
発生します。
これが根本問題だと思います。
後略
まさに今の僕がそうで、今の学校の課題と家庭生活に忙殺されるあまり、勉強会に参加しても消化不良・便秘をおこしてアウトプットができない状態。
また、東洋医学・中医学の理解があやふやなまま、勉強会にいっても「面白かった・楽しかった」で終わりがち。
身についてない。血肉になってない。
わかっていても……
さらに、一鍼堂の勉強会のことは書けても、他所様の勉強会のことを書くのはかなり気が引ける。
感想・まとめを書く、自分なりの「型」「フレームワーク」がいるなと感じてる。
このままだと、東洋医学を「ファッション」でやってしまいそう。
さて、どうしたものか。
もう少し足掻いてみる。
手で感じたこと
手の感覚について。
人によってそれを捉えた時の表現方法が違うと言ったお話は聞いていた。
自身で湿邪を感じた時の感覚は「ゾワっとして気持ち悪い」だった。
他のその感覚の時、別の人が言っていた感覚も何となく分かる気がした。
でも同じ湿邪でも部位によって感じる感覚が違うと思うところも正直ある。
色々疑って検証していきたい。
勉強会
勉強会の症例検討にて。
複数の症状に関連している臓腑の候補は出てきても、バランスを見ながらどこから治療を組立てるか。
話を聞けば聞くほど、治療も必要だけど、生活スタイルも見直さないといけないだろうなぁ…(でも、深く介入できる人なのか、距離感も大切)
ただその気力も今はなさそうだから、どこを動かせばいいのか。
何を主に、何を従にするか。
戦法のようで、ずっと考えています。
人それぞれ心も体、生活スタイル全て違うし、同じ手では通用しないと思います。
複数の方法を立てて、状態を見ながら良い選択肢を見つけていくこと。
自分と重なる症例だと、ついつい主観的になってしまう癖を改めないといけません。
色々メモ
手がビリビリ
人の身体を触らせてもらって感じることのある手のビリビリって感じは何なんだろう。
この感覚を探っていく必要がありそう。
治療後のベット
治療後のベットって何か残っているのかな。
人によってだけども、イメージとして何か薄黒く?モヤっとしたものが残っている気がする。
考え事
胸の部分がずっと気になっている。
神は働きすぎると疲れる。
自分の身体でも、思考すると気が上がる。
考えすぎ、思考しすぎると動悸がする。
一時的に落ち着けるだけなら桂枝加竜骨牡蛎湯(竜骨・牡蛎)を使えば思考の暴走、動悸は治る。
心の暴走は宗気にも影響するためか息切れも起こる。
現代語訳 素問 霊蘭秘典論篇 P161
「心なる者は、君主の官なり。神明焉より出づ。…膻中なる者は、臣使の官、喜楽焉より出づ。」
調べていこうと思ったけどここはとりあえずここまでにします。
悪癖が出てる。
形
漢字はもともと意味があったはずなのに字義を知らないと形に拘ってしまう。
そうなってくるとあんまり意味がなさそうだなと思う。
意識
今までも意識していたけど、日常の意識を使いかたをもうちょっと変えてみよう。
自分がその時どうしたいと思ったか、何に魅かれたか、嫌だと思ったこと。
学校で勉強ばかりさせられると遠のいていきそうなところ。
一鍼堂で教わって大切だと思ったことのみ実践。
五行大義(08)
学生時代に教科書『新版 東洋医学概論』より
第3章 東洋医学の思想
第2節 五行学説
Ⅱ 東洋医学における五行学説の運用
のところに
『五時(春、夏、長夏、秋、冬):五時は四季(春夏秋冬)に土用を加えたものであり、五季という・・ 』
ここに違和感を覚えておりましたが、
五行大義を拝読し、全てを網羅した分けではありませんが、
五時ではなく、四時(春、夏、秋、冬)としての記述であり、”土”は別の価値観としてあります。
この四時とした方が、立体的に五行として捉えており、
五時(春、夏、長夏、秋、冬)とした場合の、平面的な詰め込んだような違和感が無いように思います。
精査を続けたいと思います。
第二辯體性 (淮南子云)
「形体と性質について」淮南子(思想書)から引用すると、
淮南子云、天地之襲精爲陰陽。
陰陽之專精爲四時、四時之散精萬物。
積陰之寒氣、反者爲水、積陽之熱氣、反者爲火。
水雖陰物、陽在其内。
故水體内明。
火雖陽物、陰在其内。
故火體内暗。
木爲少陽、其體亦含陰氣。
故内空虚、外有花葉。
敷榮可觀。
金爲少陰、其體剛利、殺性在外、内亦光明可照。
土苞四德。
故其體能兼虛實。
淮南子がいうには、天地の襲精は陰陽となす。
陰陽の専精は四時となす、四時の散精は万物なり。
積陰の寒気、反なるもの水となし、積陽の熱気、反なるもの火となる。
水 陰物といえども、内に陽あり。
故に水の体内は明なり。
火 陽物といえども、内に陰あり。
故に火の体内は暗なり。
木 少陽たり、その体または陰気を含む。
故に内は空虚、外は花葉あり。
敷栄して観ることが出来る。
金 少陽たり、その体は剛利、殺性は外にあり、内はまた光明して照らすことが出来る。
土 四徳を苞む。
故にその体はよく虚実を兼ぬ。
【参考文献】
『五行大義』株式会社 明德出版社
『新版 東洋医学概論』株式会社 医道の日本社














