舌診考察
[ケース①]
舌色
表 淡紅
裏 褪せた紅
気の虚損がありながらも、裏に熱をはらむのか。
舌形
胖大 歯痕
陽気を損ない気虚になって、津液の停滞を招き痰湿を生ずる。
脾の運化作用の低下か。
腫れたようにも見えて、湿熱をはらむのか?
(腫れた舌は発熱やその後の舌にも見ることができると思う。)
舌裏
表より濃い色を呈し、気虚がありながらも内熱の存在が伺える。
推動作用が落ちているので怒張により瘀血も。
或いは、虚熱による瘀血とも考えられる。
舌苔
薄苔〜やや厚苔、潤苔
中焦にかけて苔が緻密で濃くなり脾胃虚による痰湿か。
[ケース②]
舌色
表・裏共に褪せた紅
所々まだらに舌辺に紫色があり瘀血。
舌尖紅く心火も伺える。
舌形
脾腎共に弱り水邪の停滞がある。歯痕から気虚。
舌裏
表と色差なく、怒張により瘀血も。
舌苔
微黄苔。厚苔。
中焦〜下焦にかけて苔が厚なる。
気虚による痰飲。
中焦には微黄苔。痰飲が裏に入り化熱したか。
臓腑と感情
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2021/09/14 『臓腑と感情』
“『素問・陰陽応象大論』には
「怒傷肝」,「喜傷心」,「思傷脾」,「憂傷肺」,「恐傷腎」
とある。異なった感情刺激は、それぞれの臓腑に影響を与える。”
(中医基礎理論 P244)
この部分について、学生の時に授業で
(過度の)感情が臓腑を損傷する、という構図で説明
されて違和感を覚えたが、その理由が少し分かった。
強い感情が
もたらす気の作用が臓腑の「気」を乱す=狂わせる。
そして、それがパターンの様にになることもある。
ーたぶん、捉え方は変わっていく。現在の記録として
*【引用】全訳 中医基礎理論/たにぐち書店
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2021/09/15 『背部兪穴の取穴』
切経で触れるときに背部では
受け取る感覚が手足で取穴するときと
かなり違って感じられる。
手足部と同じように取れるはず、と
考えアプローチするからその違いを前に、
立ち止まることになる。
少なからずそういう面もありそうだと考えた。
体幹は経絡の走行ももっと入り乱れているだろうし、
何より内臓のすぐ裏にあたる部分でもある。
背部兪穴の考え方もある。
次回の機会には思い込みを少しでも横に置いて、
ツボの状態を観察したい。
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2021/09/16 『舌診×写真』
ある方の舌を観察してー
色は淡紅、だが舌全体に青い色調が加わり色味として重たい印象。
薄膩苔、少し白沫も見られた。
舌裏は淡紅、色に褪せた感じが見受けられた。
治療の前後の状態を観察。
治療後には、
おさまりがいい、落ち着いた雰囲気に、そして潤いが増していた。
(観察する少し前に水分を摂った、関連性としてどの程度考慮すべきか?)
今回は、写真におさめた。
治療前後で、並べて拡大して見比べてみた。
処置前は、舌の輪郭があきらかに凸凹だったことが見てとれた。
それが治療後、およそ滑らかな曲線を描く輪郭に変化していた。
印象の違い、その理由のひとつだと考える。
写真の撮影の仕方だけでなく、確認の仕方にも色々と工夫ができそうだ。
(認められた所見に関する考察はまた別の機会に記したいと思います)
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2021/09/17 『苔』
6月から
継続して定期的に舌の状態を見せてもらっている方の舌の所見
として、薄苔か無苔に近い状態をずっと見てきた。
この方の素質として捉えた方が良いのかと考えていた。
それが10日前くらいにはじめて薄苔が舌根部に見られ、
つい先日、それが以前よりも定着している様を見た。
先立って他の所見や症状が変化している状況の中で、
この段階でようやく、という感想を抱いた。
これが逆だったら、どのように受け止め考えることになるのか..
症状の記録
記録/9月22日午前
食後数分で胃のあたりがキュウと縮こまるように詰まる感じが苦しい。程度は強め。
座っているより楽なので横になっていると、
足の裏が熱くて気持ちが落ち着かず、やたら口渇感を覚えた。
昨夜はまるで嵐のようだったと思い返しながら軽めに済ませた朝食、
そのすぐ後で同じような胃脘部の苦しさに見舞われてまたかと驚く。
舌体紅、白膩苔、舌先に点刺、舌辺に歯痕あり。
脈は弦、やや数(普段との違いが感じ取れていないだけの可能性が高い)
20日の夕食にめずらしく焼肉を腹一杯頂いた。
からだは対応に追われているのかとも知れない。
食滞胃脘。ベースに脾腎の虚があり?
足底の熱感と同時に表れた口渇がかなり顕著だったこと
自分の舌であまり見ない紅色の舌を観察したこと
早起きは三文の徳
生活を一新した今年の春くらいから、朝活をしています。
諺に早起きは三文の徳とありますが、
早起きをすると健康にも良く、またそのほか何かと良いことがあるものである。
ですが、実際にどうなのでしょうか?
実践してみて実感できていることは、早起きをすると充実した時間が増え得をした気分にはなっています。
大体、いつも朝起きて1時間ほど勉強する時間を持つようにしていますが、夜に本を開いて勉強すると、その日の出来事などが思い出され集中力が削がれてしまいやすいです。それにそもそも疲れていて気力が底をついている状態です。
その点、朝起きたばかりだと、頭の中がスッキリされていて雑念があまり湧かないですし、気力も回復して集中が持続されやすいです。
なので私の場合は朝に勉強する方が効率的だなと実感しています。
健康になっているかは不明ですが、この習慣を今後も続けていこうと思います。
脉要精微論篇 第十七(01)
黄帝問曰、診法何如。
岐伯對曰、診法常以平旦。
陰氣未動、陽氣未散、飮食未進、
經脉未盛、絡脉調匀、氣血未亂。
故乃可診有過之脉
切脉動静、而視精明、察五色、
観五藏有餘不足、六府強弱、形之盛衰。
以比参伍、決死生之分。
患者さんが来院され、部屋に案内して暫く。
問診に入らせて頂き、四診を行うも
患者さんの全体象が掴めていないなぁ・・と反省の日々。
対峙した時の弱さをつくづく思う。
治療する側として、心持ちから何から必要なものが多々あり。
切脉一つするにせよ、無駄遣いを心掛けなくてならないと緊張感を持つ。
【参考文献】
「現代語訳 黄帝内経素問 上巻」東洋学術出版
梅核気
肝気鬱結を勉強している際に気になる言葉が出てきたので調べてみました。
肝気鬱結の症状には、イライラする、憂鬱、有声のため息がよく出る、
胸腹部の脹痛、月経不順などがあるが、その中に「梅核気」というものがありました。
「梅核気」は現代病名だと神経性咽喉部狭窄症(ヒステリー球)というそうです。
のどに梅干しの種があるような違和感があり、飲み込もうとしても
吐き出そうとしてもなくならないが、飲食は普通にとれる。
気の滞りによって咽喉部に痰が生じていることによって異物感があるようです。
ストレスが原因の病は現代に多いような感じがしますが、金匱要略にも
「婦人、咽中に炙臠(あぶった肉の切り身)有るが如きは、半夏厚朴湯之を主る」
とあり、婦人・・・と書かれているが、男性にも起こる。
他の臓器の影響(脾胃が多い?)、過度の情志、情志の抑制などによって肝の
疏泄作用が失調することによって発生した気滞が肺に昇って起こる。
理気去痰解うつ作用のある半夏厚朴湯を用いて治療するとあるように、薬物による治療が行われることが多い。
梅の種は肉のかたまり、というより大きいしもっと固いように思いますが
実際に梅核気があるような方に尋ねると名前の由来となっている梅の種が
つまっているような、ということはわからないけど息苦しい感じがあり、不快であるとのこと。
臨床医学総論でもヒステリー症を勉強した際に、ヒステリーはギリシャ語で「子宮」を
意味することから昔は子宮が原因で引き起こされる女性の病気とされていた、と習いました。
西洋でも東洋でも同じように病を分類していることもあるのかと思うと興味深く感じました。
京都薬用植物園の呉茱萸(ごしゅゆ)
武田薬品工業(株)の京都薬用植物園で、年に4回行われている研修会があります。
今回は『晩秋の研修会』との事。
一般向けの研修会で、特に専門的な講義が行われるというものでは無いのですが、実体験もさせて貰えるのを楽しみに参加しています。
私は2回目の参加となります。
今回は漢方処方園、樹木園、温室を回りました。
「味見してみますか?」のコーナーでは呉茱萸(ごしゅゆ)を頂きます。
物凄く辛いのをご存知でしょうか?・・辛いです!
呉茱萸
[効能]
◦ 暖肝・散寒止痛
◦ 下気止嘔 など
この辛さを感じると”効能”になんとなく納得が・・
前回の研修会でも味見をさせて頂きましたが、体験する度に植物のもっている”力”を強く感じます。
漢方薬においては、個々の植物を適切な配分でコーディネートする事で、服用の効果を最大にしているのだろうと考えさせられます。
逆に、個々の主張が強いので、調和をとる材料、飲み易くする材料を共に配合する必要があるのかとも思います。
鍼の調和は切経や刺鍼をする”その時”に、人間の手によって加減できるところなのでしょうか。
薬との違いであったりするように思うのですが、いかがなものでしょう?
薬草のあまりの刺激の強さに色んな事を考えてしまう『晩秋の研修会』でした。
【参考文献】
・中医臨床のための中薬学(東洋学術出版社)
臓腑について学ぶ(02)
伝導不随:大腸の腑氣の鬱滞と津液の不足により起こる。
大腸
〇 燥熱傷津(熱秘)
熱邪と糟粕が結びつき、津液を焼いて乾燥させる。
熱の原因として
「表寒が裏に入って熱化する」
「温邪が肺胃より大腸に順伝する」
「五志の異常が火化し、胃腸を攻撃する」
「味の濃いものばかりを食べて内熱が生じる」
〇気機鬱滞(気秘)
肝氣の鬱滞より脾胃の氣機も鬱滞し、腸道の伝導機能が動かない。
そして火化する。
〇気血虚衰(虚秘)
大腸の伝導能力がなくなってしまう。
排便後は疲れてしまう。
氣血の欠虚原因として
「普段から氣血が欠虚しており、津液が不足している」
「産後の陰血不足」
「長患いの為、脾肺の氣が虚す」
「年老いた為に元気が不足」
〇陰寒凝滞(冷秘)
腸道が温まらず氣機が停滞する。
冷やす原因として
「冷たいものを食べ過ぎ中焦の陽気が打撃をうける」
「長患いの為に脾胃が陽虚になり寒が発生する」
《私議》
氣がスムーズに動いているのか?水分量が適切なのか?との問いについて、
他の臓腑にも共通するのか、考察します。
鍼灸学生の頃、解剖学の先生に小腸と大腸の違いを質問した事がありました。
細胞の形態の違いなどから、大腸を「要は外ですわ。」と教えられた事がありました。
なるほど!と合点がいったのを覚えております。
【参考文献】
『中医病因病機学』東洋学術出版社
中国の思想(05)
老子
六十六章 統治者はへりくだらねばならぬ
江海所以能為百谷王者、以其善下之。
故能為百谷王。
是以欲上民、必以言下之、欲先民、必以身後之。
是以聖人、処上而民不重、処前而民不害。
是以天下楽推而不厭。
以其不争故、天下莫能与之争。
江海のよく百谷の王たるゆえんは、その善くこれに下るをもってなり。
故によく百谷の王たり。
ここをもって民に上たらんと欲すれば、必ず言をもってこれに下り、
民に先んぜんと欲すれば、必ず身をもってこれを後る。
ここをもって聖人は、上に処るも民は重しとせず、前に処るも民は害とせず。
ここをもって天下推すことを楽しみて厭わず。
その争わざるをもっての故に、天下よくこれと争うことなし。
(引用:『中国の思想[Ⅳ]老子・列子』P105~P107)
《私議》
以前、会社員をしていた時は『人・物・金』を管理するのが仕事でした。
その時の上司からよく言われたのが「頭を垂れる稲穂かな」。
経験豊富な年功を積まれた方々の立ち居振る舞いをみて、
内心『流石!』と思う事は本当によくありました。
今は臨床に立っておりますが、患者さんを目の前にして思う事もあり、
繊細さも難しさも感じます。
【参考文献】
『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店
今日の一曲
Takaaki Itoh - Bloom After Broken Life
https://www.youtube.com/watch?v=8nnwbs_umFA
勉学や人生の諸問題で、煮詰まった時に、僕はたまにこれを聴き返す。
【破綻したあとに咲く、「何か。」】
こういう音楽を、勉強時のBGMに取り入れることがあります。
いったい、何回、聴いた(=破綻≒何か咲く)ことやら……
※林先生より「Blogは自由に、なんでも書いていい。」と承ったので、今後はこういう記事も増やしていきます。
※怒られたら止めます。