『舌鑑弁正 訳釈』より紅舌を学ぶ。
こんにちは稲垣です。
『舌鑑弁正 訳釈』の”紅舌総論”より学びます。
・・痩人多火、偏於実熱、医者拘於外貌、輒指為虛、
誤服温補、灼傷真陰、域誤服滋補
(名為滋陰降火、実則膩渋酸歛膠粘、実熱、引入陰分)、
漸耗真陰、亦成絳舌、而為陰虛難療矣
(其初必有黄苔、医者不知、久之内傷己甚、不能顕苔、而変絳色矣。
凡陰虛火旺之病、自生者極少、多由医家誤用補薬逼成也)。
不論病状如何、見絳舌則不吉。・・
(引用:『舌鑑弁正 訳釈』P221~222)
・・痩せた人は火が多く、実熱に偏る、医者は外見にとらわれ、痩せていれば虛とする、
誤って温補を服用し、心陰を焼き傷る、誤って慈補を服用
(滋陰降火という、実すれば則ち膩渋酸歛膠粘、実熱、陰分に引き入れる)
真陰が次第に消耗、また絳舌となる、陰虚が治り難くなる
(初めは必ず黄苔、医者は知らず、時と共に内傷が甚だしくなり、苔が目立たぬまま、絳色となる。
陰虚火旺の病、自らそうなるものは極めて少なし、多くは医家の補薬の誤用によるもの)。
病状がどうあれ、絳舌は則ち吉ならず。・・
実際の臨床に立たせて頂いて、感じることの一つに
下焦の邪が強い患者さんが少なからず居られ、
その下焦をいかにクリーニング出来るかが重要に思えるケース。
補瀉の取り扱いは極めて慎重であるべきだと思いました。
鍼灸学校においては腎に実証はないと教育されますが。。
経験を積み考察を深めたいと思います。
今回は黄苔の存否などは分かりやすいと思えました。
【参考文献】
『舌鑑弁正 訳釈』たにぐち書店
単純化など
単純化
ありがたい事に最近色々やることをやらせて頂いている。
すると色んな余計なものが入りにくくなってきた。
余裕が無くなるとミスを起こしてしまう傾向は相変わらずですが、そうならない様に自分をコントロールしていきたい。
やるべき事に向き合ってさっさとクリアしていく。
そのためにも自分の中で色々単純化させていく必要あり。
バイアスを取っ払う。
治療にも繋がる。
批判的思考
自分は裏が見えていない事が多々ある。
何か形を受け取ったものも、内包されるものが違っている事がある。
その違和感に気付けるか。
先に起こるものへヒントが隠されている事もある。
思い返せばでは遅い。
ある種の健全な疑う心も必要。
清濁全て飲み込める様に。
それを瞬間に判断できる様に色々経験を積む必要あり。
繕うな
良いものを作ろうとした時、そこへ自分がどの程度関わる事が良いか。
まだ配分が上手くいっていない。
目的の達成のためにどうすればいいか。
人を信じてお任せするところはする。
お任せして良いかわからないなら相談する。
そこを任せられないのもある種のエゴ。
自分の弱さ。
人と向き合う
どんな忙しかろうが寺子屋の時にお身体を貸して頂いている患者さんにきちんとで向き合う。
向き合い方が全然足りない。
患者さんに限らず、大切にすべき人たち全員に言える話だと思う。
となって来ると相手への話。
本質的に大切なのは相手の事をどれだけ考えれるか。
良い面も悪い面も向き合う。
というか善悪なんてないから。
それがどの様な現れ方をするかというだけ。
わかっていたら躱せるものも増えてくる。
関衝穴
自分で自分のからだのうえで
経穴の反応を追う中で
様々なことをみる。
関衝穴近くをとるとき
緊張が解けて呼吸が一段深まる
ことが(よく)起こる。
反応はダイレクトで即効性がある。
ただ、自分のからだの上だけのものなのか。
ある方から、
5本の指の中で
体幹に直接繋がっているのが薬指と
教わった時のことが思い出される。
診病奇侅(01)
中脘
脾部中脘塞り、中脘水分に動あり、
又脾塞り、水分に動ありても、中脘に動なきは、食にあらず、
《私議》
中脘と水分について感じるところあり、考察を深めたいと思います。
【参考文献】
『診病奇侅』医道の日本社
ぽっこりお腹など
ぽっこりお腹
幼児体型みたいな上腹部のお腹が気になっています。
食べすぎた訳ではないのに胃脘部がぽっこりしている。
食生活を聞いてもそんなに食べすぎている訳ではない人も多い気がする。
二竅までの流れでどこかへの停滞。
すぐに起こるゲップやしゃっくり。
新たに入ろうとしても入らないのかな。
この間、自身に鍼を刺して状態を悪くしたのですが、その時の体型変化も勉強になりました。
もう一度、同じ状態を作ってみたのですが、同じ事が起こった。
人の足の状態でも内果の黒ずみなどもサインになるのかな。
追っていってみます。
他の人を見ていて
以前も書いた事ですが、一鍼堂にいる先生や先輩は色んな事によく気付かれる。
当たり前だけど必要なことだし、そうなる為のやり方は散々教わっていると思います。
「じゃあどうやって実践していこうか。」
その考えに結びつく事が間違いなのかもしれない。
恐らく自分が何かをしなくても、それに気づけるヒントは転がっているんだと思う。
だからわからない事だらけですが、とにかく今の境遇から教わっている事で、自分に現れた変化を感覚に結びつけていく様にしたい。
また、どんな事があっても揺らがない様に、きちんと自分につけた名前であれる様にしよう。
方向があっているかも分かりませんが、何か変化がある状態は楽しいですし、楽しみです。
感覚と理論
ふたりの先生と寺子屋生の方に背侯診をしてもらった。
触られた瞬間に、あ!ここ嫌だなって把握できる手。
うーん、私自身もどこが不快かわからないなぁという手。
不快な所を術者が吸い込んでいくような手。
不快な所が術者と呼応するけど、
吸い込まれず淡々と通り過ぎる手は、
観察力と客観力のある手に思えた。
点、面、3D感のある触り方。
特定の線上をなぞる触り方。
体全てを覆うような触り方。
触り方から受ける印象がそれぞれに違った。
圧痛を探るような切経が当たり前と思っていたけれど、どこに重きを置くかで、常識が覆され全く違った景色が見えて興味深い。
後日、実技の授業にて。
私が痛いと言ったエリアを、パートナーが経絡の流れに沿って触れるか触れないかの力で切経した。
ある部分で腸脛靭帯から侠渓にかけてビリビリと走る点があった。
次は押圧で探していったが同じ現象は起こらず、最初の触り方でやっても何度も触っていくうちに反応点は分からなくなった。
押圧を続けているうちに順応して新鮮味がなくなってしまったのか。
反応というのは、探そうと意識すると見えなくなってしまうのかもしれない。
感覚を研ぎ澄まし精神を集中させるために相応しい環境や、光量も大切だと思った。
薄暗い灯りの中の方が陰影が生まれて
望診の時も肌肉の色が浮き上がってよく見える。
世の中はとにかく明るすぎるのかもしれない。
便利さと引換えに、感覚や感性みたいなものが
失われてしまったのかもしれない。
この間の勉強会の後、寺子屋メンバーで話していた。
“感覚的に選んだら、理論的に証明できる。
理論的に選んだら、感覚的に判断できる。”
「スクールオブグラフィックデザイン2」
水野学 著
感覚一点張りの私が、デザインの仕事をしていた時に訓練していたこと。
鍼灸の世界でも通じることだなと思う。
まだまだ磨かねばならないことがいっぱい。
今、この学びが楽しくて仕方がない。
方剤学(1)
八法
『医学心悟』(程鍾齢)には「病の源を論ずれば、内傷外感の四字によりこれを括る。病の情を論ずれば、すなわち寒熱虚実表裏陰陽の八字をもってこれを統べる。しかして治病の方は、すなわちまた汗・和・下・消・吐・清・温・補の八法をもってこれを尽くす」とある。
温法
温法とは、温裏・散寒・回陽・通路などの効能により、寒邪を除き陽気を回復し経路を通じて、裏寒を解消する治法である。裏寒の成因には外感と内傷の別があり、外来の寒邪が裏に直中するか、陽気不足や誤治による陽気の損傷によって陰寒が内生する。このほか、裏寒には臓腑経絡という部位の違いがある。それゆえ、温法にも温中散寒・回腸救逆・温経散寒の別がある。
○温中散寒剤
中焦虚寒や中焦の裏寒に適用する。
脾胃の陽気が虚衰して、運化と昇陽が不足し、腹痛・腹満・食欲不振・口渇がない・下痢・悪心・嘔吐・舌苔が白滑・脈が沈細、沈遅などの症候がみられる。このほか外寒が中焦に直中して裏寒が生じることもあり、素体が陽気不足の場合に発症することが多い。
(01)理中丸《傷寒論》
(02)呉茱萸湯《傷寒論》
(03)小建中湯《傷寒論》
(04)大建中湯《金匱要略》
○回腸救逆剤
心腎の陽気衰弱による内外倶寒の陰寒証に適用し、陰寒内盛によって生じる陰盛格陽・戴陽などの真寒仮熱にも用いる。
陽気衰微の内外倶寒では、元気がない・四肢厥冷・畏寒・身体を縮めて寝る・不消化下痢・舌質が淡・脉が沈細、沈で無力などがみられる。悪化し、陽気が格拒されると、体表部の熱感・煩躁など格陽の症状や口渇・煩部紅潮など戴陽の症候があらわれ危急状態となる。
(01)四逆湯《傷寒論》
(02)参附湯《正体類要》
(03)回陽救急湯《傷寒六書》
(04)黒錫丹《和剤局方》
○温経散寒剤
陽気の不足や陰血不足で経脉に寒邪を受け、血の運行が阻滞された状態に用いる。
手足の抹消の冷えや肢体のしびれ痛み・脉が沈細などの症候がある。
(01)当帰四逆湯《傷寒論》
大建中湯(温中散寒剤)
〔主治〕
中焦陽虚・陰寒上逆
〔組成〕
蜀椒・乾姜・人参・膠飴
〔方意〕
急いで温中補虚・散寒降逆して止痛・止嘔する。
主薬は辛・大熱の蜀椒で、脾胃を温め散寒除湿・下気散結に働く。
大辛・大熱の乾姜は、温中散寒して中陽を振奮し、逆気を散じて止痛・止嘔する。
甘温補中の人参・膠飴は脾胃を補益して本治し、膠飴は緩急にも働く。
辛甘の薬物のみで中陽を温建し、補虚散寒の力は小建中湯より峻烈であるので「大建中湯」と名付けられる。
後天の本
脾と胃とはともに中焦にあり、脾は陰であり、胃は陽であるので、両者は表裏の関係にある。
胃は受納を担当し、脾は運化を担当し、互いに協力しあっている。
そのため、どちらかに病変が発生したときには、もう一方に害が及んでしまう。
したがって実際に脾胃の病変が起きた時には、水穀の受納・運化・配布機能の全てに渡って影響が現れる。
脾胃は気血を化生し、五臓六腑と体内外を潤して肌肉を満たし、四肢を壮健にするので、後天の本といわれる。
【参考文献】
『中医臨床のための方剤学』医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
水からのメッセージ
水の本を読みました。
水とはいったい何なんでしょうか。水は生命力だと言うことです。…人間は水によって栄養素を体内に取り込み、それらは血液によって体中に運ばれ、循環します。…水とはエネルギーの運び屋といえるのです。水は情報を転写し記憶することができるのです。……水は地球を循環し、私たちの体の中を経て、さらに世界へと広がっていきます。…水を知ることは宇宙と大自然、生命全てを知ることなのです。
水は答えを知っている その結晶にこめられたメッセージ 江本勝
著者は長年にわたって水の研究をされていて、特殊な機械を使って情報を転写した水を与えることで健康を回復させると言う独自の療法もおこなっていたようです。
そんな中で「雪の結晶は、二つとして同じものはない」という言葉にヒントを得て、水を凍らせて水の結晶写真を撮りはじめたところ、いろいろな発見があったそうです。
まずは世界各地の自然水を調べてみる
次に水に音楽を聴かせてみる
それから水に言葉を見せてみる
驚いたことに全てにおいて色々な表情の水の結晶が写真に現れています。本の中にそれぞれの写真が紹介されています。一見の価値ありです。
そんな中でも美しい結晶として「愛・感謝」が最強のようです。 強いて言えば「感謝」が一番ともありました。
日常の食事をいただく時にも「いただきます。」、感謝を持っていただくことによって、その食べ物も良いエネルギー体に変化するということです。
全てにおいてよく「感謝」が大事とききますが、そういうことに通ずるのですね。
すべては人間の意識がつくっている。イメージが世界を作っている。
とも書いてありました。
良かった感覚
面白い体験が出来た。
できる限り沈んだ感覚で相手を感じれた。
その時は問診で特に何も聞いてなかったのですが、患部側の反応が大きかったので感じる事が出来た。
一連の流れから明らかにおかしくなってる箇所があって、そこで自分の気が当たるとバチバチバチ!となる。
イメージ的には
ーーーーーーーーー物質ーーーーーーーーーーーーーー
この何かが流れを止めていて、その箇所に症状が出ていたイメージ。
良い状態で入れたので、自分と相手の境界線がなく、相手の事が自分の事の様に感じれた。
その時の自分の心の状態のイメージはどんよりした暗さではなく、澄んだ暗さのイメージだった。
どこかの鍼灸師さんの話で男性でも女性の生理痛がわかるって話を聞いた事があるけど、あの感覚なんだろうか。
こう言ったことをもっと探って理論化して治療に役立てていく様にしたい。
寺子屋で
3月23日(水)
患者さんの舌の観察をしました。
患者さんにお会いする前に、先生の許可を得てカルテを見せていただき、主訴から舌の状態を想像しました。
歩くと息が切れて疲れやすいということから、見た目は弱々しく舌色は淡白舌で舌体は痩せて小さい、
気虚のイメージで考えていました。
実際は、
全体的に絳紫色を帯びた地図舌、ところどころ凸凹と丘のような形状がみられ、舌下静脈の怒張あり。
細身ではありますが弱々しい感じは全くなく、はきはきしたキャリアウーマンという印象でした。
息切れして疲れやすい⇒気血が不足している⇒淡い舌色と思いこんでいましたが、
実際の色は紅が強く熱を帯びていた。
舌下静脈の怒張から瘀血があるため気血のめぐりが悪くなり、
それが息切れや疲れやすさの原因になっているのか。その瘀血はどこからきているのか?
地図舌や凸凹な形状は何を表しているのか?
次回、経過がわかればまた考察します。