先日の症状より
先日の症状の記録
就寝時に目を閉じると、上焦とくに頭部に詰まった感じを非常に強く覚え、のぼせとは異なるチラチラと小刻みにかかる圧のため思考がまとまらない。直後に、それが胸の辺りの強いムカつきとなって現れるとただ横になっているのが辛くなる。
ままならず咄嗟に押圧した合谷穴の刺激で、圧が上焦より下方に一気に降りていくのが感じられた。さっきまで混乱でしかなかった思考に文字通り余白が生まれて頭がスッキリとした。
ムカつきを端に発した一連の症状はこの後も展開していくことになったけれど、その最中に少し新しい視点で考える機会を得た。穴性について、その性質が言葉に置き換えられた経緯について。気が流れるときに生む推進力が体に与える作用について。
『舌鑑弁正 訳釈』より”紅にて震える舌”から学ぶ。
こんにちは稲垣です。
顫動する紅舌を『舌鑑弁正 訳釈』より学びます。
第一百十三、紅戦舌。
鸇掉不安、蠕蠕微動也。
深紅、赤紅而戦者、宜三黄石膏等湯。
紫紅、瘀紅而戦舌、宜三黄白虎大承気。
淡紅而戦者、宜十全大補湯。
鮮紅、灼紅而戦舌者、宜六味地黄湯、
此舌虚火、実火皆有之(均裏証、無表証)、誤治即壊。
旧説指為汗多亡陽或漏風所致、
且不詳弁而概用温補、謬也。
(引用:『舌鑑弁正 訳釈』P244~245)
第113 紅戦舌
舌の震えが止まらずクネクネする。
深紅・赤紅で震えるものは、三黄石膏湯がよい。
紫紅・瘀紅で震えるものは、三黄白虎大承気湯がよい。
淡紅で震えるものは、十全大補湯がよい。
鮮紅・灼紅震えるものは、六味地黄湯がよく、
この舌は虚火・実火ともにあり(ひとしく裏証で、表証はない)、誤治は壊証になる。
旧説は汗多くて亡陽であったり、漏風によるというが、
詳しく調べずに概して温補を用いるのは、間違っている。
※十全大補湯については《和剤局方》を出典とする
『中医臨床のための 方剤学』と『舌鑑弁正 訳釈』の生薬について
成分が一部異なっており、精査していきたいと思います。
梁玉瑜は旧説の主治の方として紅戦舌に対して温補剤を一概に用いる事に注意を促し、
戦舌でも、紅舌の様々について湯液を選定されています。
《戦舌》
深紅・赤紅 → 解表清裏剤 「三黄石膏湯」
紫紅・瘀紅 → 寒下剤 「三黄白虎大承気湯」
淡紅 → 氣血双補剤 「十全大補湯」
鮮紅・灼紅 → 補陰剤 「六味地黄湯」
舌体がふるえ動いたり、舌筋がぴくぴくと動き、自分では制御できないことである。
「顫動舌」「顫抖舌」「舌顫」「舌戦」などと呼ふ。
虚損あるいは動風によって生じ、筋脈が陽気の温養と陰液の濡潤をえられないために
安寧を欠いて顫動したり、肝風内動にともなって振戦が引き起こされる。
(引用:『中医臨床のための 舌診と脈診』P30)
内熱の強そうな患者さんの、手足に動きがあるのが気になっており、
戦舌の特徴を調べることにより、熱と体の動きとの共通点を見つける事ができたらと考えました。
現時点では明確な発見には至っておりませんが、今後につなげたいと思います。
【参考文献】
『舌鑑弁正 訳釈』たにぐち書店
『中医臨床のための 方剤学』医歯薬出版
『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版
舌の考察 2023/11/8
胖嫩舌 舌体が浮腫んでいて力がない感じで、弱々しい雰囲気。
前回よりも舌が膨れて、全体的に苔に覆われ湿潤してテカリも見られる。津液の巡りが悪く停滞している。
この時期は、サンドイッチや揚げものが多く野菜不足で、食生活が偏っていたせいかもしれません。口の周りにも吹き出物が出て肌荒れが目立っています。顔の皮脂も多めです。
舌質は胖大、あせた紅。
舌辺に歯痕がみられる。どちらかと言うと胖嫩気味。
舌中は無苔でやや乾燥気味に見える。舌尖は赤く無苔です。
舌根は膩で、舌辺はうっすらではあるが黄苔が見られる。
風邪の後の空咳がしばらく続いていたのが、反映されているのかもしれません。
ちなみに脈は 中位で細微弦 沈位で滑 でした。
目線
目の前の現象に簡単に目が眩むのは、問診で聞きとった患者の言葉に一喜一憂するのと同じで目線に確固たる軸がないためだと知る。患者の先週と異なって冷え切った(そう表現してしまうことも含まれる)腹部に触れて、捉えやすい冷えの情報の向こうに別の情報を察知できずにいる。同じ腹部を診た先輩がまったく別の点で着目、記したカルテを見てまた気づかされる。
雰囲気など
雰囲気
最近の状況になると色々自身の課題が見えてくる。
この課題を解決する為にも自分を柔軟にしよう。
どういう心持ちならその雰囲気になるか、どうすれば解除できるかも体感できた。
今は鍼灸師として生きていくための振る舞いが勉強になる状況だと思う。
自身の成長の機会として存分に活用させてもらおう。
環境ではなく自分を変える。
電車の中で
乗車中、座っていると横に人も座っていないのに隅に寄っている自分に気づく。
無駄な気遣い。
緊張が生まれて体が硬くなってしまっていた。
いらないものでした。
鬱
最近、鬱の雰囲気を鮮明に感じる事が出来た。
先にあると事前に察知できていれば避けれるものなのかもしれない。
楽しむ
最近は鍼ではありませんが、切経を通じてでも人間性は大切だと感じる事が多いです。
馬鹿騒ぎする訳にはいきませんが、自分にとってはある種の明るさや前向きさは必要。
それが楽しむ気持ちに繋がると感じます。
過去へ執着しているより今を生きる。
どんな状況であれ今を一生懸命生きる。
絶望的な状況だと感じていても自分自身の捉え方次第で変わる。
雑念なんて抱いている時点で今を生きていない。
教えて頂いた歌も自分に必要なとてもいい内容でした。
学術・人間性など勉強しなければいけない事ばかりですが、どんな事であれ自分を戒めつつ楽しんでいければなと思います。
学校の勉強も楽しもう。
淡々としながら。
舌の考察 2023/11/29
12月に入り、最近はぐっと気温も下がってきて、ようやく冬らしくなってきた様に感じます。その寒さのせいか、周りでも体調を崩している人が目立つ様になってきました。
子供の間ではインフルエンザが冬季前から流行し続け、学級閉鎖を繰り返しているようです。これもコロナ後の影響が言われ、新型コロナの流行が始まったころはとにかく、マスクの着用や手洗い、ソーシャルディスタンスの確保などの感染予防が徹底されてきたせいで、子供達がその間、ウイルスや細菌との日常的にさらされる機会や量がかなり減ってしまったことにより、免疫が賦活化されず、脆弱になってしまったせいだとか言われています
それとは別ですが、最近職場のお子さんが川崎病を発症して入院されることがありました。
3歳になる男の子ですが、かなりの高熱が続き、舌が真っ赤になり、鼻血が出たり、首のリンパが瘤状に膨れたいたそうです。まさに血熱妄行状態で重篤でした。今は無事に退院されましたが、本人はまだ小さいのに大変なつらい経験をして、そのご両親も心配でさぞかし心を痛められたことだろうと思うとこちらも辛くなります。
この川崎病の原因は今のところ不明ですが、ある仮説の一つに微生物が引き金になっているのではないかと言われています。
川崎病にかかりやすい何らかの素因を持った人が、ウイルスや細菌などの微生物にさらされたことが引き金となり、過剰な免疫反応を起こして発症すると言う仮説です。
実際、この新型コロナのパンデミック以降、川崎病の患者数が従来より3分の2に激減したとの報告が上がっているそうです。
新たな切り口から解明できることに期待したいです。
さて今週の舌診ですが、
以前の写真と比べると、舌辺の歯形が深くついており、嫰感が強く、気虚が深くなかった印象です。いつもより舌奥に苔が厚いと見せてくれました。舌辺は赤く、舌裏も赤白のコントラストが強く、白抜け感が目立つように見えます。
脈 浮〜中で緩
問診では先週末に発熱を伴った風邪を引いていたと伺いました。その名残が舌にも残っているのかなと思いました。
舌先が禿げているそうです。
忙しかったのですか?と言われて、そういえばその週は通常より1名少ない人員で仕事をしていたせいでしょうか。あまり自覚していなかったですが、潜在意識や肉体には影響しているみたいです。相変わらず苔が分厚いです。この頃はずっと下腹部がシコリのような停滞感があって、腸が固まって動いてないせいなのか、直腸に栓をした感じで気持ち悪かったです。
背候診
ただ今、チンプンカンプン、迷子中です。
やっぱり私は触覚が鈍いのです。
とりあえず、背候診では何を診ているのか?
まずは自分なりに整理をして、一つずつ分かることを増やしていきたいと思います。
①寒熱
背中のどのあたりが冷えているのか、逆に熱いのか。それは何を意味しているのか。
②毛穴の状態、肌目
毛穴が開いているのと閉じている時の肌の触感はどのような違いがあるのか?
③発汗の状態
サラサラ、ツルツル、ベタベタ、
シットリ、ジットリ
カサカサ、ガサガサなど
具体的にどういう状態を表している?
④肌の弾力
緊張、弛緩
ブヨブヨ、ふっくら、モチモチ
カチカチ、パンパン、ガチガチ
隆起、膨隆、陥没など
それらの意味するところは。
⑤圧痛の有無
喜按
拒按
痺れ、麻痺
⑥肌色
暗い、青い、赤い、黄色い
色褪せた、くすんだ、黒ずんだ、白抜けしているなど
⑦肌ツヤ
⑧できもの
⑨椎間の形・大きさ・位置
⑩詰まっている?
どういう意味で言っているのか、そしてどういう感覚を表しているのか?
まだまだ観察すべきことは沢山あると思いますが、先ずは自分で思い当たる項目を挙げてみました。
日常ネタ
先日、薬局に処方箋を持って来られた患者さんのエピソードをひとつ。
(年齢は70歳前後の男性の方だったと思います。)
「市販の風邪薬を飲んでいても全然効かへんから、病院に行ってきたわ〜。」
「薬で胃がやられたんか、胃が膨れた感じになって食欲もなくて、全然食べたいと思わんねん。咳もまだ続いてるしな。まいったなぁ。」
「やっぱりちゃんと、初めから病院で診てもらって薬飲まんなあかんなぁ。」
と言われて、総合感冒剤と咳止めと胃薬をもらって帰られました。
そして7日間後にまた来局されて、また全く同じ内容の処方箋を持って来られました。
「薬全部飲んだんやけど、全然治らへんのや。」
「また同じ薬なんか?、先生にいろいろ言うたんやけどな。これしかないみたいやわ。」
そこで、改めて今どんな状態なのか伺ったところ。
一番は胸脇部が苦しい。
上腹部が張って苦しいので、食欲がない。
咳が続く。
咳をすると頭痛というわけではないけど、頭の表面がピリピリと痛む。
と言われていました。
全然一週間前と症状が変わっていない様子。
これがもっとも西洋医学の苦手な部分ですよね。と思わず思ってしまいました。
万人に対しての通り一遍の大雑把な処方しかない。
東洋医学的なアプローチなら、もっと的確にケアできるシチュエーションなのだろうなぁと、その患者さんの背中を見送りながら思った場面でした。
先々週の施術で
水分穴の少し右だったように思う。(今も反応あり)
刺入深度は1ミリか2ミリか。
置鍼開始して少しして、
息がうまく吸えていないことに気づく。
吐くことはできている。
入ってこない、がそのことに特に不安はない。
数分して抜鍼の後、それまでの状態をはずみに
誘いこまれるようにからだにもたらされた深い呼吸と何か。
横隔膜の動きが抑制されていたのか。
これも穴性のひとつにあたるのか。
他の方においても似た作用をもたらすのか。
















