学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

補瀉

補寫に関して気になったので調べていきます。   《現代語訳 黄帝内経霊枢上巻》P 14 九鍼十二原篇 「針の技術の要は、刺鍼の部位が適当であることと徐疾の手法の正確な運用にあります。」 「気の働きの虚実変化を理解すれば、補瀉の手法を正確に運用でき、毛筋ほどの間違いも起きる様なことがありません。」 「気の往来の時期を理解してはじめて刺鍼の正確な時間を理解できるのです。」 「気が去るとき経脈が空疎になるのを『逆』、気が来るとき経脈が充実するのを『順』といいます。」   《現代語訳 黄帝内経霊枢上巻》P 18、19 九鍼十二原篇 「瀉法を用いるときは、かならず鍼を素早く刺入して気を得たのちゆっくり抜き去り、大いに鍼孔を揺らして、表用を開けば、邪気を外に洩らすことが出来ます」 「補法を用いるときは、経脈の巡行方向にしたがって鍼を向け、ゆっくりと散漫な様子でそっと刺します。鍼をめぐらして気を導き、経穴を按じて鍼を刺すとき、あたかも蚊が皮膚の上を刺しているようなあるかなきかの感覚があります。鍼を抜き去るのは速く、矢が弦から放たれたかのように、右手で鍼を抜き、急ぎ左手で鍼穴を按ずれば、経気は留まり、外は発散せず、中は充実し、留血の弊害もありません。」 「鍼を刺すときは経気の到来を候わなくてはなりません。」   《現代語訳 黄帝内経素問》P272 鍼解篇 「虚証を鍼治療する際には、鍼下に熱感がなくてはなりません。なぜなら正気が充実すると熱感が生まれるからです。 実証を治療するときには、鍼下に涼感を感じなくてはなりません。なぜなら邪気が衰えてはじめて涼感が起こるからです。」   →補寫どちらにおいても気が至ったり去ったり、熱感・涼感を感じる感覚が重要。 手技としては、どういった速度で刺し抜きするか・どの様な角度で刺すか・揺らすか・案じるか。     《鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇》P344 「臨床的には、かつては太い鍼をゆっくり入れて気を温め集めて、スッと抜いていた。抜くときにゆっくり抜くと、鍼穴が余計に広がって、気が漏れやすく散りやすくなるためである。現在の鍼は細くなっているのでその必要がない。ゆっくり入れてゆっくり抜けば良いのである。」   →古代と現代の違いを感じました。昔と全く同じ条件ではないので、形ではなくそれが何を意味するのかきちんと理解していないとこれからズレた認識が生まれてきそうです。 また、ここから補瀉の際にどんな鍼を選ぶかなどのヒントにもなっていそうな気がします。   読んでいて、昔の人はどんな方法で鍼を作って保管していたのか。 現在は鍼をどの様にして作っているのか。 現在の鍼になった分岐点などはいつなのか。 なども気になってきました。   参考資料 《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》 東洋学術出版社 南京中医学院編著 《現代語訳 黄帝内経素問 中巻》 東洋学術出版社 南京中医学院編著 《鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇》 緑書房 一般社団法人 北辰会学術部編著            

二つの気海と運動連鎖

学校の解剖学だけでは限界を感じ、春休みを期に運動連鎖の講座を受講しました。 関節にも球、臼、滑車関節など様々な形があり、可動性と安定性を保つため役割が各々違います。 (学校で教わる知識はここまで) 環椎と軸椎は可動性、C3〜C7は固定性と頚椎にもそれぞれ役割があり、その下へ続く胸椎は可動性、腰椎は固定性… つまり、正しい運動連鎖とは、頸部から可動性→固定と隣合う関節は連動し、下肢まで続いていきます。 胸椎は可動性?そんなに動くの?と思いました。なぜなら、私の姿勢は、頸部が前傾し胸椎を凹ませ固定させていたからです。 本来可動性の役割を持つ関節が固定すると、隣合う固定性の関節が代償運動し、可動性の役割に転じ、さらに隣合う関節も役割が転じ…全身に影響を及ぼすと教わりました。 姿勢を良くするには「肩を寄せなさい」と言われましたが、本来可動性を持つ肩関節を固定すると呼吸が入りません。 関節の特性を踏まえ形態模写をすると納得ができました。 膻中穴あたりを軽く上方に上げると胸郭が開き鳩尾穴辺りの横隔膜が動き呼吸がしやすく、臍下丹田の力を入れなくても治まり、足の接地面が安定し、何より余計な緊張がなく楽な姿勢を保てます。ヨガの安楽座位に通じます。 そこで、膻中穴、気海穴、鳩尾穴に着目してみました。 “人身には気海が二つある。 いまひとつの気海は上気海といって膻中のことである。 上気海と気海は密接な関係があり、いずれも気病を治する大切な穴である。 膻中は上焦の中点であって、上焦の気の会する処である。而して上焦の気は宗気である” 「鍼灸治療基礎学」 代田文誌著 “膻中穴は上焦の気の病を治療することから「上気海」称されているのである。心包経の募穴である。 また任脈、足太陰、足少陰、手少陰の交会穴であり、気(宗気)の集まるところであるため気の会穴とされている。 “気海は諸気の海であり、元気を大いに補う効力と、下焦の気機を総合的に調節する効力を担っている。” 「臨床経穴学」 季世珍著 “気海は原気の海である。(中略) 原気の充実は一切の病の治を促進せしめ、原気の虚乏は全身に影響して諸病の治をおそからしめる。 古来心肺の病は膏肓の病といって、治しがたいものになっているが、肓の源は気海であり、膏の源は鳩尾である。 気海を整えれば従って鳩尾もととのい膏肓の病も治するわけである。 また、気海を一名下肓ともいう。上の膏肓に対する名である。気海は肓の源であるから、肓兪、肓門等に関する” 「鍼灸治療基礎学」 代田文誌著 東洋医学もしっかり繋がっていました! 「患者さんが院内に入った時から勝負です!」 以前、下野先生がお話しされていました。 摺り足や腰に負担が掛かる歩き方を真似してみたり、形態模写をしても他の部位にどう影響するか今ひとつ分からないままでした。 そこで解剖学の勉強をしに行ったのですが、東洋医学の知識を深めるきっかけとなり、望診や切診を勉強する上で役立つのではないかと感じました。   引用・参考文献 「鍼灸治療基礎学」代田文誌著 日本の医道社 「臨床経穴学」 珍世珍著 東洋学術出版

寺子屋で

3月23日(水) 患者さんの舌の観察をしました。 患者さんにお会いする前に、先生の許可を得てカルテを見せていただき、主訴から舌の状態を想像しました。 歩くと息が切れて疲れやすいということから、見た目は弱々しく舌色は淡白舌で舌体は痩せて小さい、 気虚のイメージで考えていました。 実際は、 全体的に絳紫色を帯びた地図舌、ところどころ凸凹と丘のような形状がみられ、舌下静脈の怒張あり。 細身ではありますが弱々しい感じは全くなく、はきはきしたキャリアウーマンという印象でした。 息切れして疲れやすい⇒気血が不足している⇒淡い舌色と思いこんでいましたが、 実際の色は紅が強く熱を帯びていた。 舌下静脈の怒張から瘀血があるため気血のめぐりが悪くなり、 それが息切れや疲れやすさの原因になっているのか。その瘀血はどこからきているのか? 地図舌や凸凹な形状は何を表しているのか? 次回、経過がわかればまた考察します。

様子など

  様子 まれに中の様子がわかる事がある。 先週は顕著で、隣の部屋の様子が映像化された。 勘違いかもしれませんが感覚として残しておきたいと思います。   流れ 受付をしていて乱れ始めると何かが起こる。 不思議です。 正しい流れの時は乱さない様に流れに沿っていきたい。   自分の性質 うんざりする事が多い。 その後の立ち上がり方も含めて見直していきたい。   先週聞いたこと 自分の腹でも確認。 取れなかったけど、あの人もこんな感じだったのかな。 次回以降この部位も取れる様になりたい。   力 昔よりは余分なものは減ったと思う。 でも残っている部分がまだまだ沢山ある。 心と体は切り離せないなとつくづく感じます。   脈 人にとらせてもらった。 尺部を深めに抑えた時、全身?で感じる何かがあった。 深みに入れた感覚はあったけど、それが何なのか分からない。 経験として置いておきます。

六字訣

面白い動画を見つけました。 中国式気功の一つのようで六字訣(ろくじけつ)といいます。 この功法は六字を唱えながら呼吸することで内臓を強化できるみたいです。 六字(呵呼呬吹嘘嘻)はそれぞれの内臓と対応関係にあります。 訣の意味は調べると、「おくのて」「おくぎ」とありました。 呵(ホー)→心・小腸 呼(フー)→脾・胃 呬(スー)→肺・大腸 吹(ツゥェイ)→腎・膀胱 嘘(シュー)→肝・胆 嘻(シー)→三焦 それぞれ対応する内臓の邪気を排出することを意識して行うようです。 ※詳しいやり方を知りたい方は動画をご参照ください。 回数は、健康な人が毎日行う場合は、それぞれ2回で充分で、どこか特定の内臓が弱っている人が治療目的で行う場合は回数を増やせばいいようです。 割と簡単にできそうなので、昼休みにでも取り入れてみようと思います。

穴性について思うこと

先日母が風邪をひき、熱は下がったが咳が治り切らずに寝れないとの事で治療した。 脈は寸部が圧迫されている印象。   腹診後、腹を出した状態で咳をする時の動き方をみる。 触った感覚と視覚的なもの、腹の動き方を確認する。 何となくここかな?と思う部分がある。   配穴では、最初手足で使う。 しばらく置いて、マシにはなるんだけどまだ残っている印象。   背中を出してもらう。   確認すると、膈兪の周辺が湿気を帯びて一部硬くなっている。 そこに鍼を置く。 しばらくすると溢れ出す鼻水。 咳も治ってきた。   後々、学術的にも考え直した。 膈兪は血会であり、本ではやはり血の鬱滞に特に多く使われている印象。   今回は、舌下の血色や舌下静脈・脈などからでも瘀血所見は見られたが、そこは痰湿が中心に絡んでいて起きたものだと感じた。 後々考えると、「血会」に縛られすぎて感覚を疑う怖さも感じた。   また、東洋医学に限らず、一面を見たものがそれが全てだと感じて範囲外の認識が見えなくなる現象は良くある。 全てにおいて太極的な視点は必要だと改めて感じた。

肺のイメージ

肺のイメージで言うと、他の臓器に比べて綺麗なイメージがあります。 肺には基本的に津液や気しか入らないですが、逆に脾は食べ物が関わるのでドロドロしたイメージがあります。 そして臓器の中で一番上にあって、そこから気をあらゆる 組織や臓器に気を送っているので 偉い感じの臓器なのかなと。 でも、意外と弱々しいく繊細というイメージがあります。風邪が入った時など、真っ先に弱って、咳や悪寒を起こします。 そう考えるとタバコは本当に身体に悪いなと思います。 天空の気の代わりにタバコの煙を吸って、それが肺で処理されて、まず肺が弱ります。その後、実証は持てませんが、 そのタバコの煙が肺の宣発作用で五臓六腑に行き渡れば 新たな害を及ぼしてしまうのではないかなと思います。 タバコが及ぼす病気に肺がんはもちろん、胃がん、心筋梗塞、膀胱癌、脳梗塞etc、、、怖い、 風邪と似てタバコは百病の長なのかもしれません。 肺を大事にしましょう ps.写真は京都の清水寺に巡礼しました! 肺も清水でありたい!

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素問 六微旨大論篇 第六十八 帝曰. 遲速往復.風所由生.而化而變.故因盛衰之變耳. 成敗倚伏.遊乎中.何也. 岐伯曰.成敗倚伏.生乎動.動而不已.則變作矣. 帝曰.有期乎. 岐伯曰.不生不化.靜之期也. 帝曰.不生化乎. 岐伯曰. 出入廢.則神機化滅.升降息.則氣立孤危.故非出入.則無以生長壯老已. 非升降.則無以生長化收藏. 是以升降出入.無器不有. 故器者生化之宇.器散則分之生化息矣. 故無不出入.無不升降.化有小大.期有近遠.四者之有.而貴常守.反常則災害至矣. 故曰.無形無患. 此之謂也. 帝曰善.有不生不化乎. 岐伯曰.悉乎哉問也.與道合同.惟眞人也. 帝曰善. 帝曰く、遅速と往復とは、風の生ずる故由にして、しかして化し、しかして変ずるは、故より盛衰に因るの変のみ。 成敗倚伏して中に遊ぶとは、何ぞや。 岐伯曰く、成敗は倚伏して、動より生じ、動きて已まざれば、すなわち変作こる。 帝曰く、生化せざるか。岐伯曰く、出入廃されれば、すなわち神機は化して滅し、升降息めば、すなわち気立は孤にして危うし。 ゆえに出入するにあらざれば、すなわちもって生・長・壮・老・已するなく、升降するにあらざれば、すなわちもって生・長・化・収・蔵するなし。 ここをもって升降・出入は、器としてあらざるなし。ゆえに器なる者は生化の宇にして器散ずればすなわちこれを分かち、生化息まん。 ゆえに出入せざるなく、升降せざるなし。 化に小大あり、期に近遠あり。四者これあれば、常の守らるるを貴び、常に反すれば、すなわち災害至る。ゆえに曰く、形なければ患いなし、と。 此れをこれ謂(『現代語訳 黄帝内経素問 下』P91より抜粋 訳:松村巧) 『生・長・壮・老・已』 『生・長・化・収・蔵』 韻を踏んだ二つの言葉。 この章においては『化する』という”ターニングポイント”としての動詞が重要に思います。 生長【陽】から収蔵(老已)【陰】への変換に着目してみた訳を考えてみました。 『生長・壮・老已』 『生長・化・収蔵』 『生長・壮・老已』 生長して→壮じて(大人になって)→老已(年老い亡くなる)する 『生長・化・収蔵』 生長して→化して(変化して)→収蔵する 【参考文献】 『黄帝内經』中医古籍出版社 『現代語訳 黄帝内経素問 下』東洋学術出版社

病因について(3)

自身に降りかかった病について~ 以前に目の病気を患いました。 正に、お先真っ暗・・の感がありました。 当時の健康状態では、肝臓が極めて悪い状態。 (現在は問題なく完治しております。) 【五行】 ・五蔵  肝、心、脾、肺、腎 ・五官  目、舌、口、鼻、耳 東洋医学の道に入り”肝”と”目”の繋がりを学ぶにつれ、感嘆します。 肝を傷る原因とは・・ 【内因】 〇七情 ・怒   気機を上昇させる    肝 ・喜   気機を緩ませる     心 ・思   気機を鬱結させる    脾 ・憂   気機を鬱滞させる    肺 ・悲   気機を消耗させる    肺 ・恐   気機を下降させる    腎 ・驚   気機の乱れを起こす   腎 当時の年月を思い出せば、”怒”というのが日常であったように思います。 肝の持ってる昇発という特性が過度となり、蔵を損傷させていたのでしょうか。 鶏が先か?卵が先か? 肝を損傷したので、易怒となるのか・・ 易怒となったので、肝を損傷するのか・・ デフレスパイラルの様に悪循環に陥った先に”病”があるように思います。 〈肝火上炎〉 肝気鬱が火に変化し、気と火が上逆したために起きる事多い。 ...

舌診考察

[ケース①] 舌色 表 淡紅 裏 褪せた紅 気の虚損がありながらも、裏に熱をはらむのか。 舌形 胖大 歯痕 陽気を損ない気虚になって、津液の停滞を招き痰湿を生ずる。 脾の運化作用の低下か。 腫れたようにも見えて、湿熱をはらむのか? (腫れた舌は発熱やその後の舌にも見ることができると思う。) 舌裏 表より濃い色を呈し、気虚がありながらも内熱の存在が伺える。 推動作用が落ちているので怒張により瘀血も。 或いは、虚熱による瘀血とも考えられる。 舌苔 薄苔〜やや厚苔、潤苔 中焦にかけて苔が緻密で濃くなり脾胃虚による痰湿か。   [ケース②] 舌色 表・裏共に褪せた紅 所々まだらに舌辺に紫色があり瘀血。 舌尖紅く心火も伺える。 舌形 脾腎共に弱り水邪の停滞がある。歯痕から気虚。 舌裏 表と色差なく、怒張により瘀血も。 舌苔 微黄苔。厚苔。 中焦〜下焦にかけて苔が厚なる。 気虚による痰飲。 中焦には微黄苔。痰飲が裏に入り化熱したか。