湿が熱化することについての疑問点
湿熱証は湿と熱が合わさった状態で人体に入り、病になっている。
湿や熱が蘊結(こもって停滞する)、薫蒸(いぶすこと)して起こる。
湿も熱も気の1つ(?)で口鼻から人体へ侵入する。
前回のブログを書いた時には皮毛から湿邪が侵入するという風に書いてあるのを読みましたが、口鼻から侵入する湿、熱と、湿邪は別物なのか?
湿邪が体内でこもって停滞し熱が生まれることと、脾胃の湿から熱が生じるというのは、
前者は外からの要因によるもの、後者が内からの要因によるもの、という認識でいいのか。それともどちらも体内で起こっていることで、単純に湿→停滞→湿を解消するために熱化する、ということなのか。
熱化することで、体内に分散させて湿をなくそうとしている、ということなのか。
(でも熱化することで、津液が少なくなる、臓腑の機能が失調する、などの問題も生じれば、熱化は身体にとっては良くないことになってしまうような気も・・・)
湿熱証の性質は「湿」ではなく「熱」という記載もあり、2つが合わさっているのに性質が熱というのは、熱の方が湿より強い、ということなのか?
確かに湿のことだけを考えていると湿が強くなることで熱化し、熱が発生してから熱が弱から強に変化していくようなイメージになってしまって湿と熱を同列にしているとやはり変な感じもあります。
【memo】
・〇湿が熱化→湿熱に転じる
・脾胃だけで熱化を考える
・熱の影響
『舌鑑弁正 訳釈』より”紅にて震える舌”から学ぶ。
こんにちは稲垣です。
顫動する紅舌を『舌鑑弁正 訳釈』より学びます。
第一百十三、紅戦舌。
鸇掉不安、蠕蠕微動也。
深紅、赤紅而戦者、宜三黄石膏等湯。
紫紅、瘀紅而戦舌、宜三黄白虎大承気。
淡紅而戦者、宜十全大補湯。
鮮紅、灼紅而戦舌者、宜六味地黄湯、
此舌虚火、実火皆有之(均裏証、無表証)、誤治即壊。
旧説指為汗多亡陽或漏風所致、
且不詳弁而概用温補、謬也。
(引用:『舌鑑弁正 訳釈』P244~245)
第113 紅戦舌
舌の震えが止まらずクネクネする。
深紅・赤紅で震えるものは、三黄石膏湯がよい。
紫紅・瘀紅で震えるものは、三黄白虎大承気湯がよい。
淡紅で震えるものは、十全大補湯がよい。
鮮紅・灼紅震えるものは、六味地黄湯がよく、
この舌は虚火・実火ともにあり(ひとしく裏証で、表証はない)、誤治は壊証になる。
旧説は汗多くて亡陽であったり、漏風によるというが、
詳しく調べずに概して温補を用いるのは、間違っている。
※十全大補湯については《和剤局方》を出典とする
『中医臨床のための 方剤学』と『舌鑑弁正 訳釈』の生薬について
成分が一部異なっており、精査していきたいと思います。
梁玉瑜は旧説の主治の方として紅戦舌に対して温補剤を一概に用いる事に注意を促し、
戦舌でも、紅舌の様々について湯液を選定されています。
《戦舌》
深紅・赤紅 → 解表清裏剤 「三黄石膏湯」
紫紅・瘀紅 → 寒下剤 「三黄白虎大承気湯」
淡紅 → 氣血双補剤 「十全大補湯」
鮮紅・灼紅 → 補陰剤 「六味地黄湯」
舌体がふるえ動いたり、舌筋がぴくぴくと動き、自分では制御できないことである。
「顫動舌」「顫抖舌」「舌顫」「舌戦」などと呼ふ。
虚損あるいは動風によって生じ、筋脈が陽気の温養と陰液の濡潤をえられないために
安寧を欠いて顫動したり、肝風内動にともなって振戦が引き起こされる。
(引用:『中医臨床のための 舌診と脈診』P30)
内熱の強そうな患者さんの、手足に動きがあるのが気になっており、
戦舌の特徴を調べることにより、熱と体の動きとの共通点を見つける事ができたらと考えました。
現時点では明確な発見には至っておりませんが、今後につなげたいと思います。
【参考文献】
『舌鑑弁正 訳釈』たにぐち書店
『中医臨床のための 方剤学』医歯薬出版
『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版
舌診(01)
舌の研究
修行生のSさんと勉強をします。
「左腕の外転について難あり。」との主訴により
刺鍼を行いました。
〈前〉
〈後〉
上逆し易い体質と考え、
上がらない重しをしっかりとさせる事を
長期的な目標としております。
主訴を受け、
気血の巡りをよくしたいと思い
その阻害要因が中焦より下焦へと続く
舌の苔に診られる通りの邪熱かと考えます。
刺鍼後、
左腕の外転にやや改善が診られた事で好転反応はあり。
舌苔が面積も厚さも少なくなってる事、
舌体より気虚症状の減少が診られる事などから
ある程度の効果があったのかと推測されます。
経過を観察をしていきます。
六經病機(01)
太陽病病機
【01】営衛不調
【02】表寒裏飲
【03】邪入經輸
【04】邪陥胸中
【05】実邪結胸
【06】邪陥心中
【07】邪熱下痢
【08】經邪入腑
【09】臓腑陽傷
【10】臓腑陰傷
【01】営衛不調
営は陰で、衛は陽である。衛営は拮抗する事によって、衛外を守り固め開闔を主るという生理機能をもつ。
外的要因により膚表の営または衛の力量に変化が生じ、陰陽昇降のバランスが崩れる。
成無己(金代)は「風は衛にあつまる。・・寒は営にあつまる。」(『注解傷寒論』)とする。
外邪(風)を感受すれば、衛の昇散活動が優位に立ち、衛強営弱病機を発生させる。
外邪(寒)を感受すれば、営の沈降し静かであるという性質が優位に立ち、営強衛弱病機を生み出す。
太陽表虚証。
衛の昇散性が優位となり、外表部に浮揚し、発熱する。
弱くなった営の沈降凝集し静かであるという特性が弱まり、内部を守れず自汗し脉が浮緩となる。
自汗がでれば、衛が散漫となり皮膚の温煦作用が失われ、悪風(風に当たると寒気)する。
太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者、熱自發。
陰弱者、汗自出。
嗇嗇悪寒、淅淅悪風、翕翕發熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。
方一。
太陽表実証。
営の沈降凝集し静かであるという性質が強くなり、衛が肌表の内側に抑鬱されて、膚表を温めることができなくなり、悪寒が現れる。
陽気が発散されず発熱する。
営の沈降凝集し静かであるという性質が、無汗・脉の浮緊となる。
血を滞らせれるので、頭痛や関節の痛みが現れる。
太陽病、頭痛、發熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、惡風無汗而喘者、麻黄湯主之。
方五。
表寒裏熱証。
風寒両方を感受すれば、寒邪は営に入り、風は衛に入る。
営の沈降凝集し静かな性質が強くなり、悪寒ひどくなり無汗。
衛の昇散活動性が強くなるが、汗が出ないので熱を排出できず内部に鬱滞する。
その為に高熱して煩躁し、表裏とも実証となる。
太陽中風、脉浮緊、發熱、惡寒、身疼痛、不汗出而煩躁者、大青龍湯主之。
若脉微弱、汗出惡風者、不可服之。
服之則厥逆、筋惕肉瞤、此為逆也。
大青龍湯方。
八。
【参考文献】
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『中医臨床のための 方剤学』医歯薬出版株式会社
『傷寒雑病論』東洋学術出版社
風寒邪の咳嗽から穴性を学ぶ②
前回の続きを書いていきます。
中医鍼灸 臨床経穴学 P25
「風寒外束、肺失宣降(風寒の邪による宣降失調)
症状:喉が痒い、咳嗽、痰は稀薄である。鼻閉、鼻水。声が重い。または発熱、悪寒、頭痛。無汗。舌苔薄白、脈浮など。
処方:中府、風門、大椎(瀉)…疏風散寒、宣肺止咳。」
2パターン目は発熱〜です。
これは太陽傷寒病であると思いました。
なぜこの様な事が起こるのか調べてみます。
中国傷寒論解説 P43
「太陽傷寒病の要点は衛気の閉塞であり、衛気が閉じる原因は外寒が凝滞することである。」
→つまり発熱から後の部分も外寒が凝滞した結果、衛気を閉塞させて起こっている状態と言えると思います。
この様な状態が発熱以下を起こす理由を見てみます。
中国傷寒論解説 P43
「寒邪によって脈が収縮して拘急するので、「陰陽倶に緊」の脈象となり、寸関尺の部位に浮緊の脈象が現れる。
寒邪に傷めつけられると、まず衛陽が圧迫されるので、太陽傷寒では常に悪寒が現れ、引き続いて発熱する。」
P27
「太陽が邪を受けると、温煦衛外機能が失調するので悪寒が現れる。…
太陽病では、衛陽の気が圧迫されると、正気は奮起して邪気と闘争を始めるので、当然発熱が見られるはずである。」
→つまり①悪寒…衛気の温煦衛外機能失調 ②発熱…正気と邪気の闘争反応 ③脈浮…正確には浮緊で寒邪によって脈が収縮
であると思います。
中国傷寒論解説 P26
「いわゆる「頭項強痛」とは、頭が痛み項が強ばることの形容で、首が左右に廻らず、前後に曲げられない状態をいう。
「霊枢」本蔵篇では、「経脈は、血気行きて陰陽を営むがゆえに、筋骨を濡して関節を利するなり」
と言っている。
いま太陽に邪を受けると、経気の運行が妨げられるので、頭項強痛の証候が出現するのである。」
→頭痛は経気不利によって起こっています。
舌診カラーガイド
薄白苔「苔が白いのは寒邪を、薄いのは浅い病位と軽い病状を示す」
→苔薄白はこの理由かと思います。
また、肺気の宣発機能に影響して咳が出ることもあるので、パターン①と②が複合した状態も起こり得ると思います。
参考資料
中国傷寒論解説 東洋学術出版社 劉渡舟著
中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 李世珍著
舌診カラーガイド エルぜビア・ジャパン 原敬二郎監修
鍼治療を受けて③
この1〜2週間、鍼治療で置鍼中に覚えるからだの感覚と似たものが、
通勤の車内や食後に体を休めているとき、朝方 起き抜けの時間帯に、度々現れる。
これもまた変わっていき、鈍化するかもしれないし、もっと別なものに変わるかもしれない。
感受性が高まる背後にあるものは一体何か。
ひとまずいま感じていることを記録したい。
からだの調子は良い、かといってからだに不調がなくなったわけではなく、
不調の波がくれば強い首コリや腰の弱さなどがしんどくて違和感を覚える。
それでも感じ方の種類が違うというか、
痛みや違和感に対して以前の様に嫌わなくなったというか、
身体のうえに生じる感覚を受け取るのに抵抗、邪魔していたものがひとつ落ちたのか、
その分 中が静かになったように感じる。言葉で捕まえるのが難しい
私と鍼灸
はじめまして 先月から学生として参加させていただくことになりました。
今後こちらのブログで何かしらの成長の記録が残せればいいなと思っています。
先ずは初めてなので簡単な自己紹介的な事を書きます。
鍼灸の資格を取得して8年になりますが、卒業後は鍼灸業界には就職せずに元々の職業だった薬剤師として今も薬局で働いています。
元々東洋医学への興味は漢方薬から入りました。漢方薬の勉強会でたまたま鍼灸のデモを拝見する機会があり、その鍼は身体に刺さないで行うものだったのですが、治療を進めるに従って身体の反応がみるみる変化していき、まるでその先生は魔法使いのようでした。
それを目の当たりにした私はかなりの衝撃でした。たった鍼一本でこんなにも早く、しかも刺さないで身体を良くすることができるなんて、しかも手技的には全く難しそうには見えなかったんです。
これなら私にも出来るのでは?と正直簡単に思ってしまったんです。
それが私の鍼灸との出会いで始まりでした。
つづく?
祖母への鍼灸ケア:温灸器
祖母(94歳。認知症あり。要介護4。脳梗塞後遺症あり。)
に対する、スモークレス温灸器の動作テスト。
不定愁訴は便秘。
使用経穴は督脈の腰陽関と霊台あたり。
経穴は使わないと覚えられん……
※7月14日に行いました。
舌の考察 2023/11/1
ポッテリしていて、歯根があるが、張りがあり、少しの気虚と気滞水滞を感じる。
舌苔 白 厚
舌質 淡紅
舌裏 まだら
白いところと赤いところがまだらになっている。精血の枯れはないが、気血の充実度が足りない感じがする。
歯痕あり
舌体が浮腫んでいるが、痩せ感も感じる。気血の枯れなのか。
舌質 どちらかと言うと淡白傾向
充実度が低い。
小さい点刺が舌尖から舌辺などわりと見られる、赤味はキツくない。
うつ熱的なものが気血を消耗しているのか。
舌苔
きめ細かいが、べっとりしている。中央から奥は黄膩苔。長年の湿邪の停滞を思わせる。
発汗
学校の実技にて。
施術中、パートナーの膈兪穴を刺した直後、ドバッと首から背中にかけて発汗しました。
(膈兪穴の前に太渓穴を置鍼していました。)
数分後、自然と汗は止みました。
パートナーは施術後に「は〜スッキリした!」と言っていました。
施術前のパートナーの第一声は「今日は調子が良い!手首が痛いくらいかな」
切経では、肌肉がモチモチとつきたてのお餅みたいで、気になるのは下腿がラップに巻かれたようで浮腫がありました。
上肢や下肢が熱く、指先だけが冷えていました。百会に直接触れなくても熱感がありました。
脈幅があり、柔らかく、
舌診は、舌裏共に褪せた紫寄りの淡紅舌。舌苔が薄く一面にあり、やや胖大舌。
施術後、舌は綺麗な淡紅舌になっていました。
汗法を目的に施術したわけではなく、心配になったのは、発汗したことで正気の漏れがなかったかどうかということです。
翌日と2日後にパートナーに体調を確認しましたが、健康状態に問題はなかったそうです。
汗をかいたということは、 湿が出たとポジティブに考えてよいのか…
私も治療で足裏から汗をかいたことがあります。先生にこの現象は何か聞いてみると、それだけ湿を溜めていたと言う事だそうです。
汗証について調べましたが、自汗、盗汗などネガティブな汗しかありません。
施術後汗が出るという文献もなく困り果てました。
膈兪穴の穴性にもそれらしきことはありません。
けれども、上焦と中焦を隔てる膈兪穴というのは面白いな〜と染み染み思いました。
下野先生に伺ってみると、
「湿というのは表層にあるものと、奥にあるものがある」
モチモチの肌は湿が表にあったもの。
カサカサの浮腫んだ肌は湿が深層にあるもの。
湿のありかも様々で、古い湿は深層に入っていくものなのか、これについてはまた考察していきたいです。
下野先生:「ダメな発汗は体がむしろ冷えてしまう。ポジティブな汗は運動後の発汗と同じ」
ということで、腑に落ちました。
サウナと水風呂3セットすると、直後はスッキリするのですが、1〜2時間すると体の芯から冷たくなり、コタツに全身入れても寒くて寒くて震えていたことがありました。
発汗によって祛邪するのが目的であるが、過度に発汗させると津液を消耗し、甚だしいときは虚脱を招くということが考えられると思います。
















