学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

中国の思想(06)

老子 六十八章 「不争の徳」 善為士者不武。 善戦者不怒。 善勝敵者不与。 善用人者為之下。 是謂不争之徳、是謂用人之力、是謂配天之極。 善く̪士たる者は武ならず。 善く戦う者は怒らず。 善く敵に勝つ者は与わず。 善く人を用うる者はこれが下となる。 これを不争の徳と謂い、これを人の力を用いると謂い、これを天の極みに配すと謂う。 (引用:『中国の思想[Ⅳ]老子・列子』P108) 《私議》 以前は戦時中を題材にした書物を読む事が多かったですが、 その中にあった『海軍士官たるもの、常に激してはならない』との教訓を覚えております。 日露戦争の終わった後に、連合艦隊が解散する時、 『連合艦隊解散告別之辞』というのが発せられます。 一番有名なのは最後の一文なのですが「・・勝って兜の緒を締めよと」です。 そこに至るまでの文面においては、日本という地形上に海軍が重要である事や 日々の訓練が重要であるとの教えを説いています。 戦うというのは腕力だけに限らないですが 日々の心の持ちよう、日々の努力、俯瞰して全体を観る能力とか、 人との関わりあいとか、為になります。 【参考文献】 『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店

臓腑について学ぶ(02)

伝導不随:大腸の腑氣の鬱滞と津液の不足により起こる。 大腸 〇 燥熱傷津(熱秘) 熱邪と糟粕が結びつき、津液を焼いて乾燥させる。 熱の原因として 「表寒が裏に入って熱化する」 「温邪が肺胃より大腸に順伝する」 「五志の異常が火化し、胃腸を攻撃する」 「味の濃いものばかりを食べて内熱が生じる」 〇気機鬱滞(気秘) 肝氣の鬱滞より脾胃の氣機も鬱滞し、腸道の伝導機能が動かない。 そして火化する。 〇気血虚衰(虚秘) 大腸の伝導能力がなくなってしまう。 排便後は疲れてしまう。 氣血の欠虚原因として 「普段から氣血が欠虚しており、津液が不足している」 「産後の陰血不足」 「長患いの為、脾肺の氣が虚す」 「年老いた為に元気が不足」 〇陰寒凝滞(冷秘) 腸道が温まらず氣機が停滞する。 冷やす原因として 「冷たいものを食べ過ぎ中焦の陽気が打撃をうける」 「長患いの為に脾胃が陽虚になり寒が発生する」 《私議》 氣がスムーズに動いているのか?水分量が適切なのか?との問いについて、 他の臓腑にも共通するのか、考察します。 鍼灸学生の頃、解剖学の先生に小腸と大腸の違いを質問した事がありました。 細胞の形態の違いなどから、大腸を「要は外ですわ。」と教えられた事がありました。 なるほど!と合点がいったのを覚えております。 【参考文献】 『中医病因病機学』東洋学術出版社

梅核気

肝気鬱結を勉強している際に気になる言葉が出てきたので調べてみました。 肝気鬱結の症状には、イライラする、憂鬱、有声のため息がよく出る、 胸腹部の脹痛、月経不順などがあるが、その中に「梅核気」というものがありました。 「梅核気」は現代病名だと神経性咽喉部狭窄症(ヒステリー球)というそうです。 のどに梅干しの種があるような違和感があり、飲み込もうとしても 吐き出そうとしてもなくならないが、飲食は普通にとれる。 気の滞りによって咽喉部に痰が生じていることによって異物感があるようです。 ストレスが原因の病は現代に多いような感じがしますが、金匱要略にも 「婦人、咽中に炙臠(あぶった肉の切り身)有るが如きは、半夏厚朴湯之を主る」 とあり、婦人・・・と書かれているが、男性にも起こる。 他の臓器の影響(脾胃が多い?)、過度の情志、情志の抑制などによって肝の 疏泄作用が失調することによって発生した気滞が肺に昇って起こる。 理気去痰解うつ作用のある半夏厚朴湯を用いて治療するとあるように、薬物による治療が行われることが多い。 梅の種は肉のかたまり、というより大きいしもっと固いように思いますが 実際に梅核気があるような方に尋ねると名前の由来となっている梅の種が つまっているような、ということはわからないけど息苦しい感じがあり、不快であるとのこと。 臨床医学総論でもヒステリー症を勉強した際に、ヒステリーはギリシャ語で「子宮」を 意味することから昔は子宮が原因で引き起こされる女性の病気とされていた、と習いました。 西洋でも東洋でも同じように病を分類していることもあるのかと思うと興味深く感じました。

反応するタイミングなど

反応するタイミング 先日人に鍼の練習をさせて頂いた。 その時、どの段階から相手が反応しているかという事が勉強になった。 お腹が「グル〜」という音が鳴るタイミングが面白かった。 それが確認できたなら、もっと早い段階で処置を切り上げても勉強になったかもしれないなと思った出来事でした。 どの程度で切り上げるか、感覚を掴みたいものです。     心身一如 素問 陰陽応象大論編 「肝気虚則恐、実則怒。」   恐という漢字を調べる。 原典にもとづく五臓六腑の生理 P19 「両手を以て穴をあけていることを意味するもので、それに心を添えた恐とは、心中に穴が空いてがらんどうなったこと」 で空虚な心を意味する。 怒という漢字を調べる。 同書籍 P20 「<荘子=逍遥遊>に、「怒而飛、其翼若垂天之雲」という句があるが、この場合の怒も決して「おこる」ことではない。「ジワジワと満身の力をこめる」ことである。」   怒りとは、肉体に限った話ではなかった。 そう考えると肉体と五情を分けて考える必要もない気もします。 実際、肝鬱の人は体が硬い人が多い気がします。   参考書籍 原典にもとづく五臓六腑の生理 柴崎保三講述  学校法人呉竹学園 東京高等鍼灸学校研究部編

病因について(2)

ようやく、一年生も終わりに近づいてきました。 この冬は、解剖学・生理学・栄養学で共通する機能を 多方面より勉強する時間を過ごしていました。 解剖学では腎臓そのものの構造。 生理学(動物)では蓄尿・排尿のメカニズム。 生理学(植物)では腎蔵に関係する内分泌(バゾプレッシン・アルデステロン)。 栄養学では高血圧とそれに対応する栄養素(塩分を控える)。 腎機能のフルコースでした。 東洋医学の病因について~ 【外因】 ・六淫(風、寒、暑、湿、燥、火) ・疫癘 人体が影響を受ける要素の一つについて黄帝内経の一節に出会いました。 特に外因と関係深い、地域の特徴や風俗習慣について。 『素問』異法方宜論篇 第十二 黄帝問曰.醫之治病也.一病而治各不同.皆愈何也. 岐伯對曰.地勢使然也. 故東方之域.天地之所始生也.魚鹽之地.海濱傍水.其民食魚而嗜鹹.皆安其處.美其食. 魚者使人熱中.鹽者勝血.故其民皆黒色疏理.其病皆爲癰瘍.其治宜砭石.故砭石者.亦從東方來. 黄帝問いて曰く、 医の病を治するや、一病にして治 各々同じからざるに、皆癒ゆるは何ぞや? 岐伯答えて曰く、 地勢の然らしむるなり。 故に東方の域、天地の始めて生ずる所なり。魚塩の地、海浜にして水に傍う。 魚を食して鹹を噛む。皆其の処に安じ、其の食を美とす。 魚なる者は人をして熱中たらしめ、塩なる者は血に勝つ、故に其の民 皆黒色にして疏理なり。 其の病 皆癰瘍となる。其の治 砭石に宜し。故に砭石なる者は、亦た東方より来る。 また腎?かと・・ 【五行】 ・五味  酸、苦、甘 、辛、鹹 ・五蔵  肝、心、脾 、肺、腎 ・五時  春、夏、長夏、秋、冬 冬だから腎を勉強しろ。という事だったのでしょうか??(笑) 参考文献 『中医病因病機学』東洋学術出版社 『現代語訳 黄帝内経素問』東洋学術出版社 『新版 東洋医学概論』医道の日本社 稲垣英伸

脈診(03)

S.T先生 より四診について教授を受ける。 四診をさせて頂いた、ある患者さんの尺位の洪脉は不可欠な情報であるとの事。 そこで『中医脉学と瀕湖脉学』(たにぐち書店)を読んでみる。 瀕湖脈学七言訣(十一、洪脈) 寸洪在左主心診、 右寸洪時肺不堪。 肝火胃虚関内察、 腎虚陰火尺中看。 寸に洪あり 左心診を主る、 右寸洪の時 肺たえざる。 肝火、胃虚 関内を察し、 腎虚、陰火 尺中を看る。 この「洪脉=大脉」が発生する病機が重要なのかと思います。 【参考文献】 『中医脉学と瀕湖脉学』(株)谷口書店

舌診考察

[ケース①] 舌色 表 淡紅 裏 褪せた紅 気の虚損がありながらも、裏に熱をはらむのか。 舌形 胖大 歯痕 陽気を損ない気虚になって、津液の停滞を招き痰湿を生ずる。 脾の運化作用の低下か。 腫れたようにも見えて、湿熱をはらむのか? (腫れた舌は発熱やその後の舌にも見ることができると思う。) 舌裏 表より濃い色を呈し、気虚がありながらも内熱の存在が伺える。 推動作用が落ちているので怒張により瘀血も。 或いは、虚熱による瘀血とも考えられる。 舌苔 薄苔〜やや厚苔、潤苔 中焦にかけて苔が緻密で濃くなり脾胃虚による痰湿か。   [ケース②] 舌色 表・裏共に褪せた紅 所々まだらに舌辺に紫色があり瘀血。 舌尖紅く心火も伺える。 舌形 脾腎共に弱り水邪の停滞がある。歯痕から気虚。 舌裏 表と色差なく、怒張により瘀血も。 舌苔 微黄苔。厚苔。 中焦〜下焦にかけて苔が厚なる。 気虚による痰飲。 中焦には微黄苔。痰飲が裏に入り化熱したか。              

思うこと

先日、院長のお宅にお邪魔して寺子屋生の勉強会を行いました。 雨の止んだ敷地内の森は芳しく、藪椿が点々と地に落ち、小川のせせらぎと鳥の声だけが聴こえる。 自然の中に身を置き学びを得ることに喜びを感じました。 薪は程よく乾いているから火が着く。 木の水を吸い上げる力が土砂崩れを塞いでくれる。 水たまりができている。 小川が流れている。 それができなくなったらどうなる? 大阪のような町に住んでいると自然の中に生きる人間としての存在を忘れていくのではないでしょうか。 『鍼灸医学における実践から理論へ 「北辰会」は何をアピールするのか パート1  藤本蓮風著』 子どもの頃、都会に出るといつも発熱して、目や音や匂いに酔い、逃げるように奈良に帰りました。今でも、偶に都会でいいと思います。 五官の感情は情志と外界を連絡する橋であるとして、「耳目が音や色に惑わされれば、五臓は動揺する。 五臓が動揺すれば、血気が騒いで溢れる。 血気が溢れれば精神を平静に保つことができず暴れ出す。 精神暴れ出せばあらゆる状況に対する判断力がなくなる」淮南子 『中医病因病機学 宋鷺冰 主編』 感覚を刺激すると魂は混乱する(中略)刺激によって人は、本当の問題から目を背け、目を背けるという事実からも、目を背ける 『老子の教え あるがままに生きる 安冨歩著』 ホースで水を撒きながら水を出したりあえてホースを踏んで詰まらせて脈はこんなんかな。 ゴロゴロしてコンロの火を消し忘れて煮詰まった鍋を見ながら瘀血や湿はこんなふうにしてできるんやろうか? ベーコンを仕込みながら次第に肉がこんなふうになるんやなと。 ハンバーグを焼きながら舌を思い浮かべました。干からびた苗木を見て、気血が巡らないと肌肉とはこういうことを言うのか。 初めて手にした鍼灸の本は「鍼灸真髄」だったのですが、澤田健氏が教えを請いに来た代田文誌氏に「ただこの表見といたらだんだんわかるようになってくる!」 と五行色体表を示したと書かれていたのですが、自分で検証してみると面白いです。   2年生になりこの違和感は何なのか、3年になりより一層違和感を覚え、言葉に出来ずにいました。 自然と人間が一体であって、自然の中に調和しながら自然と共に生きている人間こそ人間として見るという思想が働きているからなんです。 もしこういう思想を度外視して東洋医学をやるならばいびつなものになっていく。 『鍼灸医学における実践から理論へ 「北辰会」は何をアピールするのか パート1  藤本蓮風著』 そうやな、「人間を人間として見ない」からや。ようやく気持ちの整理がつきました。 私はそうありたくないです。 内経は、情志を「恬淡虚無」の状態に保つことによって精神異常を予防するよう提案した。 『中医病因病機学 宋鷺冰 主編』   世界を見る態度から、余計な考えをすべて取り除き、ただ虚心担懐に受け入れる。 その態度を極限にまで徹底させた状態を、「冷静さをどこまでも保つ」という。 『老子の教え あるがままに生きる 安冨歩著』 老師の教えを読み、一鍼堂に身を置いて見て感じて東洋医学の世界に染まり、益々面白くなってきました。 「川の水は凍らへんけど池は凍る」 一鍼堂で交わされる何気ない会話にふと気付かされることが喜びで、この環境に身を置けたことが幸いです。
松の新芽

教科書の読み方を考える

傷寒の邪が人に中る場合、一般に浅い部分から徐々に深い部分に入っていくとされる。 あくまで基本の型として教科書的な説明として受けとめ理解したら良いとは分かりつつも、引っかかる。 鍼灸学校1年の冬、日暮れ時に学校を出たところで激しい悪寒戦慄に見舞われたことがあったが、 からだは反射的に手腕に力を込めて項に緊張状態を作り出そうとしているようで、 ガタガタと震える体は自分の意思で全く抑えが効かず、 やばい、やばい と声も漏らしながら多分まっすぐ歩くこともできていなかったはずで、 その時のことを思い返すと、自分の経験と「徐々に入ってくる」と表される様相は印象がかけ離れている。 太陽病の説明として、正気と邪気が体表において抗争する病証とのまとめは綺麗すぎてよく分からなくなる。 今後、この点についてどのような見方をもつようになるのか。 現状として記録 ______________________________________________________ 【参考文献】 新版 東洋医学概論/医道の日本社

色は気の外見

ただいま難経の解説書を読んでいます。印象に残ったところをまとめてみました。 『難経鉄鑑』第一三難 顔面は「五臓の精華の府」である。 五臓はそれぞれ五行の色を具えている。 その色の変化は全て顔色に現れる。 顔面は正陽の場所であり、人身の上部にある。諸気は陽に属して上達するため顔面に集まる。 人身の気が外に現れたものを色と言う。 「色は気の外見」 気は陽に属し、動き回って一定の状態を保つことがないので顔色は良く変化する。 血は陰に属し、一定の状態を守る。 顔面の色が次々に変化していくのとは異なり、脈の場合は一定の決まりを述べることができる。このことが(難経)で脈の一定の部位を設けている理由である。 しかし、気の中にも血があり、血の中にも気があるため、気は色を主って脈を兼ね、血は脈を主って気を兼ねると考えるのが妥当である。 『難経鉄鑑』第一三難 たにぐち書店より引用 ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ 読み返してみると、なるほど、納得な情報がいっぱいです。もっと望診を磨かなければと思いました。色と脈は連動しているんですね。