中国の思想(06)
老子
六十八章 「不争の徳」
善為士者不武。
善戦者不怒。
善勝敵者不与。
善用人者為之下。
是謂不争之徳、是謂用人之力、是謂配天之極。
善く̪士たる者は武ならず。
善く戦う者は怒らず。
善く敵に勝つ者は与わず。
善く人を用うる者はこれが下となる。
これを不争の徳と謂い、これを人の力を用いると謂い、これを天の極みに配すと謂う。
(引用:『中国の思想[Ⅳ]老子・列子』P108)
《私議》
以前は戦時中を題材にした書物を読む事が多かったですが、
その中にあった『海軍士官たるもの、常に激してはならない』との教訓を覚えております。
日露戦争の終わった後に、連合艦隊が解散する時、
『連合艦隊解散告別之辞』というのが発せられます。
一番有名なのは最後の一文なのですが「・・勝って兜の緒を締めよと」です。
そこに至るまでの文面においては、日本という地形上に海軍が重要である事や
日々の訓練が重要であるとの教えを説いています。
戦うというのは腕力だけに限らないですが
日々の心の持ちよう、日々の努力、俯瞰して全体を観る能力とか、
人との関わりあいとか、為になります。
【参考文献】
『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店
体表観察メモ
9月27日 晴れ
たしか先週末はまだ日中に暑ささえ感じていた筈が
もうすっかり秋らしく夕暮れ時には肌寒さを覚えた。
切経の練習で自分の下肢に感じるはっきりとした冷え感にはっとする。
夏場にはどんな感じだったのか、少し前のことなのに思い出せない
のが惜しい。左足での冷えがより強い。
ひだりに顕著な前脛骨筋部の過度な膨らみとのつながりは?
気になるところに鍼を置いてみる。左膝関
膝と足首、足部に感じる冷え。この時期にこの程度の強い冷えは、
上肢との落差は、どうなのか。体調が変わった時にどう変化していくのか。
備忘録として記録
平胃散
先日家の近所へランチに行った。
出てきた量が予想外のボリュームだった。
炭水化物のオンパレード。
この時代に600円でありがたい話ではあるんだけれども、自分の胃の許容量は完全に超えてしまった。
翌日、舌を見るとまあ大きくなっている。
胖大。
腹の様子も変わっている。
ただ水分で多くなっているわけではないので潤ったテカテカな様子は見受けられず。
治療対象がはっきりした平胃散で対処して腹や経穴などの反応を追ってみた。
胃経の様子と腹が変わった。
腹証奇覧だと六君子湯の腹に近かった様に思いますが、平胃散でも対処できました。
便への影響もあり。
先週見させて頂いた患者さんの状態も過食だったのでいい勉強になりました。
血の色は赤い
血液の赤色はどっからきているのか?
西洋学的に考えると赤血球に含まれるヘモグロビンの色だと学校で習いました。
ヘモグロビンは鉄(ヘム)とタンパク質(グロビン)が結びついたもので、この鉄が赤色素を持っているためです。
いっぽう、東洋医学的にはどうなのかというと話が複雑になります。
血は水穀の精微と腎精から化生される とあります。
二通りのパターンがあるようです。
パターン ①
飲食物が脾胃の運化を受けて水穀の精微に転化したのち、営気によって脈中に滲注し、肺に上輸されて清気と合するとともに心火(心陽)の温煦を受けて赤く変化し血となる。
つまり消化管で得られたエネルギーの素みたいなものを肺と心まで運び上げた後に、心のパワーで温められてようやく赤く変化するらしいのです。それまでは無色なのでしょうか?
パターン②
腎精化血であり、腎陽の温煦により腎精が血に転化して脈中に入る。
この書き方だと腎の温煦でも赤くさせるのかがハッキリしません。でもきっと心と同じように温煦パワーで赤い血になっているのでしょう。
そういえば西洋学的に腎臓から産生・放出されるエリスロポエチンというホルモンが、骨髄での赤血球を産生を日々促しつづけているので、ここでは怖いほどシンクロしていますね。
因みに、エビやタコは青色の血(銅の色)、植物は緑色の葉緑素(マグネシウムの色)だそうです。
(基礎中医学 神戸中医学研究会 p19参照)
分かりません禁止令
切診をさせていただく機会が増えました。
お腹の段差は何なのか。
右が辛いと主訴に対して左が硬い。
左足は凹んでいて痩せているのか。
右足は脹りがあり硬直している。
果たしてどちらが正常なのか。
どちらも正常ではない可能性もある。
下野先生に「何か感じましたか?」
と聞かれても、「分かりません」としか言えず、治療後の変化を診てから考えることにしました。
治療の後に切診してお腹や足の寒熱、凹凸、肌の色艶、左右差など変化を診ることで、初めて施術前に切診したお腹の段差と硬いものが邪だったことを知りました。
痩せていた左足は肌肉にふくよかさが出て左右差がなくなりました。
下野先生の問い掛けに「分かりません」と答えてしまったことに、寺子屋の帰り道ずっとモヤモヤする自分…
「分かりません」と答えてしまうと自身の思考を止めてしまい何も生み出せない。
次回から間違ってもいいから感じたことを先生に話していきます。
治療前と治療後の変化、手や指のセンサーを作りながら気付きと文献を照らし合わせながら積み重ねていこうと思います。
シズル感
レストランのメニューなどで見かける美味しそうな写真、新鮮な肉や野菜の色をした写真を「シズル感」といいます。
以前の仕事では、「本物を観て美味しそうな色は記憶しておきなさい!」と教わり、何百枚もの写真を「シズル感」のある写真に仕上げてきました。
鍼灸学校に入ってしまってからそんなことすっかり忘れていました…
健全な舌は「淡紅色」という教科書的な表現も、共通言語的なものかもしれませんが、色名というのは国や人によって曖昧なものです。
以前、寺子屋メンバーで舌の色を話していた時に「好感度のある色」「好感度がない色」と表現していましたが、とても感覚的なものでした。
それって、「美味しそう」と「不味そう」に当てはまらないかなと思いました。
スーパーの生鮮コーナーでも「あ、これ買わんとこう…」って思う物って、青みがかっていたり、褪せていたり、黒ずんでいたり、くすんでいたり。
文字を追ってばかりだと忘れてしまいます。
澤田健先生も仰っておられました。
「書物は死物なり. 死物の古典を以て生ける人体を読むべし.」
日々の生活にヒントは沢山あるので、もう少しシンプルに、素直に物を捉えていかないとなぁ、といつも気付かされます。
引用 「鍼灸真髄」代田文誌 著
肺陰虚証を勉強していて思った事
授業で肺陰虚証について勉強したので、その時に思った事を書いていきます。
陰虚:乾燥/内熱
1.発熱→乾燥→陰虚
燥熱
2.五志の化火→乾燥→陰虚
体内で熱が生じ、次第に乾燥して、陰虚になっていく。日本では湿熱が多いですが、
砂漠のような地域には燥熱が多い。
五志の化生は、情緒、感情から生じる熱
というような話だったかと思います。
私は1は外因の影響で、熱証になり、2は内因の影響によるもので、
燥熱は気化熱みたいなものなのかと思い、燥熱の意味?を調べてみると
"燥邪を受けて津液が消耗しておこる病証。内熱と合わさることで更に消耗する"とありました。
気化熱は、感覚として身体についた水分がすぐに蒸発し、体感的には涼しくなる感覚でいましたが、
気化熱についても改めて言葉で見てみると
"1モルまたは1グラムの液体を、同温度の気体にするのに必要な熱量。液体が気体になる際に周囲から吸収する熱のこと。"とあり、
話の流れから受け取った雰囲気とは少し違いました。
情緒、感情から熱が生じることで乾燥し陰虚になるというのは、ぱっと思いついたのは、
怒りの感情が、肺や頭の方へ上昇していくイメージでした。
ただ五志には怒だけではなく喜笑、思、憂悲、恐驚があり、他のものが原因だとどうなのか、と考えました。
考え過ぎると気は滞り、それに伴って何かが熱に変わるのか。
驚いたときには心が消耗してバランスが崩れてどこかで熱が生まれるのか。
喜は…小さい子どもが遊びに行くのを楽しみにしていた日に熱を出すこと、は関係があるのか。その場合は何が熱化したといえるのか。
小さい子は脾が未熟であることから涎が出やすい、と習いましたが、大人と比べて
身体が未成熟なために五志の化生が起こりやすいことはあるのか。
一年経過
一鍼堂の寺子屋でお世話になり始めて、今月で1年が経過しました。
この一年の時の流れが早かったのか遅かったのかどちらか改めて振り返ってみて、どちらなんだろうと考えてみましたが、正直即答できる感じではなく、ハッキリわかりませんでした。
早かったように感じますし、遅かったようにも感じます。
ただ充実した1年であったのは間違いないです。
1年を通して、こんなに鍼灸の勉強に向き合ったことは今までになかったと思います。
これもひとえに、一鍼堂という学びの場に参加できたことに尽きると思います。
何かを学ぶ際には周りの環境がとても大事だと思いますし、特に私の場合は自分の意思や決意が軟弱なので、すぐに自分の甘い心に負けてしまいがちです。
でも一鍼堂での院長や各先生方、スタッフの方々の鍼灸に対する向き合い方にプロ意識を強く感じますし、そんな空間に自然と触れていると自分も精進して行きたいという強い気持ちが生まれてきます。
それに他のワクワク感を抱いた優秀な寺子屋生の皆さんと交流することで鍼灸に対する勇気や希望など、とてもよい影響を受けることができます。
只々、今の心境は、この場に居させていただくだけで大変ありがたい気持ちでいっぱいです。
脈診(06)
引用:『中医診断学ノート』P30 ” 3、正常な脈象 ”
平脈
正常な脈象のことをいう。
脈位は浅くも深くもなく、
脈拍は速くも遅くもなく(一呼吸4〜5ーーー60〜90分)、
ゆったりとおだやかで、しかも力強い。
さらに、脈拍の律動が規則正しい。
有胃・有神・有根
正常な脈象(平脈)の特徴は
有胃・有神・有根の三つに表現される。
有胃
脈位は浅くも深くもなく、
脈拍は速くも遅くもなく、規律が正しい。
有神
ゆったりとしていて、しかも力強い。
有根
尺脈を沈取したとき十分に力強い。
そもそも平脈を臨床上で知り得るのはいつなのか?
主訴をもって来られた初診時ではないので、いつ?
”尺脈の沈取で力強い”とするのが、有根とあるが
邪によって強くなることもあるのでは?
人の個性や今まで歩んできた歴史によっても異なり、
”正常な脈象”の把握って実は難しいように思う。
【参考文献】
『中医診断学ノート』東洋学術出版社
頭痛と舌の記録
少し前になりますが、頭痛が一週間ほど続いた後、38度発熱しました。
PCR検査を受けたところ陰性で、胃腸炎と診断を受けました。
頭痛は日を追うことに痛みが悪化し、拍動性と動作時痛みが側頭部から後頭部にかけてあり、片頭痛とばかり思っていましたが、激しい痛みで立てなくなった後、発熱しました。
頭痛が起きる数日前は急に気温が下がり風がとても強かったです。
下肢に熱を持ち転筋、易怒、焦燥感、耳鳴り、更に光が眩しく感じられるようになり、発熱と共に目が抉られるように痛み立てなくなりました。
肝火からくる頭痛と考えました。
それと共に悪心、食欲不振、便秘、歩くと身体の中が痛いという症状も現れました。
肝気が鬱結して疏泄失調を起こしていた時に、脂っこい物を食べて肝胃不和の状態を起こしていました。
当時は何が起きていたか全く考えられず、舌の写真を記録しました。
発熱と共に苔が一斉に広がり、黄膩苔、裂紋が長くなり舌体が紅く膨張しました。
舌の状態が刻々と変わることに驚きました。
















