方剤学(1)
八法
『医学心悟』(程鍾齢)には「病の源を論ずれば、内傷外感の四字によりこれを括る。病の情を論ずれば、すなわち寒熱虚実表裏陰陽の八字をもってこれを統べる。しかして治病の方は、すなわちまた汗・和・下・消・吐・清・温・補の八法をもってこれを尽くす」とある。
温法
温法とは、温裏・散寒・回陽・通路などの効能により、寒邪を除き陽気を回復し経路を通じて、裏寒を解消する治法である。裏寒の成因には外感と内傷の別があり、外来の寒邪が裏に直中するか、陽気不足や誤治による陽気の損傷によって陰寒が内生する。このほか、裏寒には臓腑経絡という部位の違いがある。それゆえ、温法にも温中散寒・回腸救逆・温経散寒の別がある。
○温中散寒剤
中焦虚寒や中焦の裏寒に適用する。
脾胃の陽気が虚衰して、運化と昇陽が不足し、腹痛・腹満・食欲不振・口渇がない・下痢・悪心・嘔吐・舌苔が白滑・脈が沈細、沈遅などの症候がみられる。このほか外寒が中焦に直中して裏寒が生じることもあり、素体が陽気不足の場合に発症することが多い。
(01)理中丸《傷寒論》
(02)呉茱萸湯《傷寒論》
(03)小建中湯《傷寒論》
(04)大建中湯《金匱要略》
○回腸救逆剤
心腎の陽気衰弱による内外倶寒の陰寒証に適用し、陰寒内盛によって生じる陰盛格陽・戴陽などの真寒仮熱にも用いる。
陽気衰微の内外倶寒では、元気がない・四肢厥冷・畏寒・身体を縮めて寝る・不消化下痢・舌質が淡・脉が沈細、沈で無力などがみられる。悪化し、陽気が格拒されると、体表部の熱感・煩躁など格陽の症状や口渇・煩部紅潮など戴陽の症候があらわれ危急状態となる。
(01)四逆湯《傷寒論》
(02)参附湯《正体類要》
(03)回陽救急湯《傷寒六書》
(04)黒錫丹《和剤局方》
○温経散寒剤
陽気の不足や陰血不足で経脉に寒邪を受け、血の運行が阻滞された状態に用いる。
手足の抹消の冷えや肢体のしびれ痛み・脉が沈細などの症候がある。
(01)当帰四逆湯《傷寒論》
大建中湯(温中散寒剤)
〔主治〕
中焦陽虚・陰寒上逆
〔組成〕
蜀椒・乾姜・人参・膠飴
〔方意〕
急いで温中補虚・散寒降逆して止痛・止嘔する。
主薬は辛・大熱の蜀椒で、脾胃を温め散寒除湿・下気散結に働く。
大辛・大熱の乾姜は、温中散寒して中陽を振奮し、逆気を散じて止痛・止嘔する。
甘温補中の人参・膠飴は脾胃を補益して本治し、膠飴は緩急にも働く。
辛甘の薬物のみで中陽を温建し、補虚散寒の力は小建中湯より峻烈であるので「大建中湯」と名付けられる。
後天の本
脾と胃とはともに中焦にあり、脾は陰であり、胃は陽であるので、両者は表裏の関係にある。
胃は受納を担当し、脾は運化を担当し、互いに協力しあっている。
そのため、どちらかに病変が発生したときには、もう一方に害が及んでしまう。
したがって実際に脾胃の病変が起きた時には、水穀の受納・運化・配布機能の全てに渡って影響が現れる。
脾胃は気血を化生し、五臓六腑と体内外を潤して肌肉を満たし、四肢を壮健にするので、後天の本といわれる。
【参考文献】
『中医臨床のための方剤学』医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』東洋学術出版社
はじめました
初めて投稿します。北山です。よろしくお願いいたします。お正月、実家でひたすら食べ物が出現する状況でしたので、飲食について調べてみました。
飲食物の摂取については、適量を維持することが最も重要であり、食べ過ぎたり(過飽)、食べる量が十分でない状態(過飢)はどちらも脾胃の機能を損傷させる、とありました。
バランス良く食べる事は大切ですし、食べ過ぎてしまうことが身体に良くないことはなんとなく体感としてわかるように思います。しかし身体は食物を摂取することで気血を生成するため、当然適切な量を食べないと気血は衰弱、減少する。気血が減少すれば正気が不足し、外邪の侵入を防げなくなってしまう。考えたら当たり前なのかもしれませんが、食べないことによるダメージは実感としてわかりにくいため(個人差?病のような状態になるまで時間がかかるから?でしょうか?)、食べ過ぎることと、食べなさ過ぎることが同じくらい脾胃にダメージを与えてしまうとは思っていなかったので驚きました。もう少し調べてみたいと思います。
【memo】
脾胃:
飲食物の栄養を運搬吸収する主要な器官
五味:
酸苦辛甘咸、食物成分、飲食物の総称
「五味口に入りて、もって五気を養う」(素問 六節臓象論篇)
文字・言語
文字、言語って何なのか。
調べた訳ではないが、集団で行動する為にイメージから共通の認識を言化・文字化したのではないのかな。
つまり「大体こういう意味ですよね」という共通認識を作ることでコミュニケーションを容易にさせているのだと想像。
では、共通言語や文字を持たない相手とは理解し合えないのか。
様子に出るのでそういう訳ではないと思う。
家の猫を見て、
「今かまってほしくないんだな」
「これからこっちくるぞ」
「喜んでるな」
「この空気が好きなんだろうな」
など伝わるものもある。
身体を触らせてもらった時で一番わかる時は包む様に触った時。
その時の自分は柔らかい状態にあると思う。
結局は猫ではなく、人間の治療をする訳だけれども、同じく言語に振り回されず、言葉は通じないものとしてやってみたい。
先日受付で話に出たケータイは怖いですよねと言った話、
「勝手に枠組みを作られて色眼鏡になり、相手を見れなくなる」
その認識とも繋がる気がする。
結局何か情報として伝えられた段階っていうのはわかった気にはなれるけど、わかってないんだと思う。
そこに自分の感覚が乗らないと本当に理解できない。
次の寺子屋は「人ではなく生命現象に触れる」
あれこれ書いたけど、そっちの方が自身をフラットに保てる気がするので、そんな感じでシンプルに切経してみよう。
怒るエネルギー
肝火上炎
肝気鬱結や他の熱(火)邪などにより、肝の火が燃え上がったもの。めまい、耳鳴り、頭痛、顔面紅潮、焦燥易怒感、動悸、不眠などの上部熱症状や口苦、季肋部、出血、過多月経、黄色小便などを呈する。虚実錯雑証の肝陽上亢とは異なり、実熱証であり腰部下肢脱力などの虚熱症状は呈さない。
実践漢薬学 三浦於菟 p379
日頃から好きでよく韓国ドラマを観るのですが、何せストーリーの展開が劇的で劇中に俳優さんが怒りに震えて眩暈を起こして倒れたり、急に心臓が苦しくなって病院に運ばれたりするシーンがよくあります。日本だとそこまで怒りに任せて爆発するようなことはしないのだと思いますが、お国柄もあるのでしょうが、反応がストレートでわかりやすい。なので第三者としてテレビの前で観ているいち視聴者としてはある種爽快なのでしょう。
怒りを爆発させるのにも相当なエネルギーが必要だと思います。私は元々がエネルギー不足なので怒るのが面倒くさいです。面倒くさくて怒りの沸点まで上昇させることができません。なので、ある意味怒りを爆発、発散できる人を羨ましく思います。いつか体質を改善してエネルギーが満たされた人間なったら爆発させてみたいです(笑)
お国柄とありますが、日本は世界的にみても穏やかな民族であることは間違いないと思います。怒りの原動力はエネルギーだと思いますので、そのエネルギーは陰気ではなくて陽気になるでしょう。日本食は鮮度を生かして生の食材が多かったり、本来の食材の味を生かして薄味にしたりと、どちらかというと精進料理的な食事が多いと思います。陽気は少なそうです。
それに比べて中華や韓国料理は肉食も多く辛い香辛料もふんだんに使った料理が多く、みるからにエネルギーに満ちた食事に見えます。そういった食事を常にしているのもお国柄を作る要因の一つではないかと思います。
しかし現代はその和食文化も相当変わってきているので、このまま何十年何百年と進んでいくうちに、日本人の気質も変化していくのだと思います。
東洋医学探訪(01)
もう夏の終わりですが、私の日焼けは遊びではありません。
修行の結果です。
京都を散策してまいりました。
『延命院』とは『医療施設』
御由緒
(引用:武信稲荷神社の”案内”より)
平安時代初期、清和天皇貞観元年(859年)
西三条大臣といわれた 右大臣左近衛大将 藤原良相(よしすけ)公によって創祀。
平安時代の古図には三条から南の神社附近一帯は
「此の地、藤原氏延命院の地なり」と記されている。
延命院とは藤原右大臣によって建てられた医療施設であり、
当社は延命院と勧学院(学問所)の守護社として創祀された。
後世、藤原武信(たけのぶ)公がこの社を厚く信仰し、
御神威の発揚につとめたので、武神神社と称されるようになる。
その後延命院・勧学院は失われるが神社だけが残り、
創祀以来一千余年にわたり広く人々に信仰されて今日に及んでいる。
撮影をけっこうしましたが、蚊にはご注意ください。(経験談!)
フロー状態
フロー状態とは深く集中して周りが見えなくなるほど没頭した状態を言うらしいです。
このフロー状態に入っている時は、感情や思考が生じにくい。
イライラ・焦り・がっかりなどのストレスに通じる感情が生じにくく、日頃の心の奥底にある気になっていることも一旦忘れられる利点があります。
なのでフロー状態を終えた後は、気分が良くなって、ストレスが軽減されます。
実際にフロー状態の時に、血液を採取してみると血中にドパミンやオキシトシン、セロトニンなどの幸せホルモンが増えることがわかっているとのことです。
代表的な幸せホルモン
エンドルフィン→高揚感・満足感・幸福感を高める
オキシトシン→愛情を形成、心に安らぎをもたらす
ドパミン→達成感・爽快感・集中力を引き出す
セロトニン→精神を安定、不安・ストレスを和らげる
〜NHK きょうの健康より〜
いかに日常的にフロー状態に入る頻度を高めるかが、心の安定や幸せ度を高める鍵になりそうです。
一番手っ取り早いのは、好きなことをすることでしょう。
好きな本や漫画を読む
好きなドラマや映画を観る
ネットサーフィン、ネットショッピング
友達とのおしゃべりなどもいいと思います。
私の友達はストレスが溜まると料理をするそうです。料理をしている時はその他のことは忘れ、心が整理され、気分がスッキリすると言います。同じ意味で掃除をする友達もいます。
家事がストレス解消になるなんて羨ましいです。
そうでなくても日常的にできるアイテムがいくつかあると便利ですね。
ただひとつ気をつけないといけないのは、長時間しない方がいいみたいです。1時間以内がベストなようです。集中度が切れるとかえってストレスになってしまうみたいです。
衝脈
少し前から奇経八脈について書籍にて学ぶようになりました。
先日、研究生同士でモデルになり治療する機会があったのですが、その時の主訴がL2当たりに腰痛があるというものでした。
舌診や腹診、脈診、切経などを一通り行なった結果、左の地機と太渓に鍼をおいたのですが、その際、被験者によると腹部深部の嫌な感覚と足のそれぞれの鍼のおいた穴が繋がった感覚ががあったようで、置鍼とともに段々和らいで行ったようです。
それと呼応したのか背中の痛みも薄まったと言われていました。
身体の深部という言葉に、奇経八脈の「衝脈」を思い浮かべました。
私なりに奇経を交えて考察したいと思います。
衝脈は五臓六腑十二経脈の海で、五臓六腑は皆、衝脈によって血を受けていると言います。
また天人地三才理論によれば、督脈は天脈、任脈は地脈、衝脈は人脈になります。つまり督脈と任脈を繋ぎ、陰陽のバランスをとっているとも言えます。
衝脈の流注自体は複雑でいろんな説がありますが、今回関係がありそうなところを抜粋すると、〜臨床に役立つ 奇経八脈の使い方〜 著:高野 耕造
・李時珍は、衝脈の腹部における走行について「素問」骨空論と「難経」の折衷案を採用した。つまり、足の少陰腎経と足の陽明胃経を走行するとしている。
・胸部の衝脈は、浅層を走行するルート(経穴があるルート)と深層を走行するルートの2本のモデルを設定する方がよい。
・衝脈の下肢の流注は、大腿部内側面を下降し、足の太陰脾経と足の少陰腎経の間を通過する。そして、膝窩の陰谷に到達している。
・衝脈の下腿部の流注は、陰谷から2脈に分かれる。一つは、陰谷から足の少陰腎経に沿い、内果の後方から足底部の湧泉に向かう。もう一つは、斜め前方の足の太陰脾経を下降し、三陰交と交わり、足の太陰脾経とともに内果をめぐり、公孫から隠白に向かう。
・衝脈の足の太陰脾経を通る分枝は、足背面に出て拇趾と示趾の間を下って太衝に至る。
・衝脈の流注は、背裏(脊椎の臓面)を上行し大杼まで達している。
・衝脈は足の太陽膀胱経の一行線の脊柱前面を上向し、督脈を背裏から支えている。
取穴したツボは下腿部の脾経と腎経でした。衝脈の流注とも関係しているかと思います。また反応があった腹部の位置ですが、正確には確認してなかったですが、左側の胃経と腎経の辺りだったかと思います。
ちょうどその裏面の左背部(三焦兪から腎兪辺り)に膨隆がみられました。施術後、膨隆は幾分柔らかくなり、平になろうとしているように思えました。
またこの著者は左右の腎から供給される精気は帯脈を通じて左右の衝脈に流れるとしてます。
おそらく日頃の疲れがベースにあるところ、前日の睡眠不足で更に腎気虚損となり、腰痛が強く現れたと思われます。
一般的に奇経は臓腑とは直接連携はせず、正経の気血の調整を果たしていると言われます。
しかし衝脈は十二経の海と言われているため、経絡の異常や五臓六腑の不調による影響が色濃く現れやすいはずです。
今回は衝脈(人)を充実させるためにも、先天の精(天)に関わる腎経と後天の精(地)に関わる脾経に施術している事になります。
恥ずかしいほどの浅学ですが、少しずつ学びを深められたらと思います。
痰
今日は痰について書いていこうと思います。
痰は津液が濃密になり、粘ることにより形成されるものだそうです。
ネバネバ、ドロドロしたイメージです。
津液はサラサラした水のイメージです。
ではなぜサラサラしたものがドロドロに変わってしまうのでしょうか?
津液というのは飲食物が水穀の精に変化してそれが津液に変わる
また、気が津液の元という考えもあります。
つまり、津液を作る過程でなんらかの異常があり、痰ができてしまうのでしょうか?
あるいは、津液がなにか不純物が混ざってドロドロになってしまうのか。
あるいは、熱で津液が焼かれてドロドロになってしまうのか。
何が原因で痰が形成されてしまうのかが疑問です。
津液を形成するのは基本的には脾の役割で、つまり脾の失調によって痰が形成されてしまう。
そして、痰は気に従ってあらゆるところへ留まるとあるので、痰による症状は様々です。
肺に行けば痰や咳嗽が出る
脾に行けば胸焼け
経絡上に留まればあらゆる部位の疼痛、など症状は多岐に渡ります。
そして、気の流れを止めれば、気鬱、気滞が起こり、万病の元です。
脂肪は痰という考えにも至るのでしょうか?
つまり、太り過ぎの方は脾の働きが悪く、
正常に運化が出来なくて、食べてもお腹が減り、
水穀が正常に気化されず痰になって、脂肪として体の周りに痰がついているという考えも一つあるかも知れません。
痰がどのようなことが原因で形成されてしまうことについてよく考えたいと思います。
舌診(02)
舌象について整理する
【舌神】
有神
生き生きとして生気があり、運動性も十分なもの。
疾病に罹患しても有神であればよい兆候。
無神
乾枯して硬く光沢もなく、生気がなく、運動性も悪い。
危急の可能性。
【舌色】
淡白舌
陽虚の為に営血不足により舌体を充養できず淡い色調となる。
紅舌
舌体の脈絡が充盈している。
絳舌
紅絳舌
営血が熱の煎熬を受け、濃縮されている為に絳舌となる。
紫舌
熱盛傷津や陰虚で気血の壅滞、陰寒での凝滞により紫色となる。
青舌
陰寒の邪により陽気凝滞し血行の瘀滞による。
【参考文献】
『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版社
『新版 東洋医学概論』医道の日本社
体表観察で②
前回書いた、体表観察で局所的にみられた冷えについて追記。
(若干の左右差はあれど)両方の足部 外側にみられたこと。
前腕では、三焦経 外関 支溝あたり。
体幹では、腋窩から肩甲骨下部にかけて。
これらはいづれも左右両側でみられた。
そもそも、両側に左右対称に表れた理由は?
(左右対称に走行する経絡と関連づけて考えても良い点に当たるのか?)
以前、自転車の転倒で左手を怪我して、左肩関節の外転制限があった時
その時には冷感は左腕でだけでみられた。
ふたつのケースの差異は起因・起源のためと、とらえやすい。
一方で、腹診で腹部を観察する時には、今のところ
左右対称に表れる状態は少ない様に感じているが、
特に今回、体幹部で冷感として観察され所と腹部との距離は近い。
これから経験を積む中でどのようにして
集積されていって
今後どのように考える様になるのか。(現段階の記録として)
















