中国の思想(07)
老子
四十三章 無為のはたらき
天下之至柔、馳騁天下之至堅。
無有人無間。
吾是以知無為之有益。
不言之教、無為之益、天下希及之。
天下の至柔は、天下の至堅を馳騁す。
無有は無間に入る。
われここをもって無為の益あるを知る。
不言の教、無為の益、天下これに及ぶもの希なり。
(引用:『中国の思想[Ⅳ]老子・列子』P82)
《私議》
一休さんのとんち話の中で出てくる
「生ある者は必ず死す、形ある物は必ず滅す。」
これは諸行無常を説いていたように思いますが、
老子のこの一節を読んで、ふと思い出しました。
日常生活の中で”自然体であること”の強さを日々感じています。
【参考文献】
『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店
素問 陰陽応象大論篇(第5)から
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こんにちは、大原です。
素問の勉強会では、現在
陰陽応象大論篇(第五)の内容を読み解いていっております。
さて、素問 陰陽応象大論篇(第五)の中に、
気(人体を動かす力)、
形(肉体)、
味(飲食物)、
精(生命活動を維持する源泉)
それぞれの相互転化についての記述があります。
その原文と読み下しは以下になります。
【原文と読み下し】
・・・
水為陰、火為陽。(水は陰となし、火は陽となす。)
陽為氣、陰為味。(陽は気となし、陰は味となす。)
味帰形、形帰氣、氣帰精、精帰化。(味は形に帰し、形は気に帰し、気は精に帰し、精は化に帰す。)
精食氣、形食味、化生精、氣生形。(精は気に食(やしな)われ、形は味に食(やしな)われ、化は生を生じ、気は形を生ず。)
味傷形、氣傷精。(味は形を傷り、気は精を傷る。)
精化為氣、氣傷於味。(精は化して気となし、気は味に傷らる。)
・・・
原文三行目から、
体内での転化について述べられていますが、
どのように起こっているのかを原文通り順番に読んでいくと、
一見このようになります。
味帰形、 「味(飲食物)」→「形(肉体)」
形帰氣、 「形(肉体)」→「気(人体を動かす力)」
氣帰精、 「気(人体を動かす力)」→「精(生命活動を維持する源泉)」
精帰化。 「精(生命活動を維持する源泉)」→「化(必要な気血などを他の物質から変化させる作用)」
さらに4行目以降も転化についてですが、
精食氣、 「気」→「精」 (「精」は「気」によって食(養)われる、という意味から)
形食味、 「味」→「形」 (「形」は「味」によって食(養)われる、という意味から)
化生精、 「化」→「精」
氣生形。 「気」→「形」
となります。
矢印は、物質などの生成の向きを示していますが、
「形」は「気」を生成したり(原文3行目)、「気」は「形」を生成したり(原文4行目)、
また「精」は、「化」を生み出し(原文3行目)、反対に「化」から生成される(原文4行目)とあり、
チャート図のように読んでしまうと、
混乱してしまう印象を受けませんでしょうか?
ですが、ここでのポイントは、
これらの相互の関連は
その調和が保たれているということが重要だということだと思います。
「気」→「精」などのようにそれぞれ別個で抜き出すのではなく、
これらをまとめて、
「味」→「形」⇄「気」→「精」⇄「化」
のように表してみると、「気」について、
例えば次のように意訳できると思います。
「飲食物を得た肉体からは「気」が生じ、
その「気」が充実していると生命活動の源泉である「精」も充実してくる。
その「精」が充実してくると、飲食物から体内に必要な気血を化する作用を生みだす。」
このように、単に、肉体から「気」が生じるというのではなく、
飲食物を得て充実した肉体から「気」が生じるという、
一連の流れが重要なのだと思います。
同様に、単に「気」から「精」が生みだされるというのではなく、
飲食物を得て充実した肉体によって気が生みだされ、
(肉体や気が充実するためには飲食物もしっかりしたものが必要だと思いますが)
その「気」が充実してくると「精」が生みだされるということだと思います。
一連の流れが重要だということだと思います。
以下に、参考までに、上の原文の意訳を記します。
【意訳】
水は陰であり、火は陽である。
火である陽は、人体においては気であり、
水である陰は、飲食物(味)である。
飲食物によって肉体(形)は形成され、
飲食物を得た肉体からは気が生じる。
その気が充実していると、生命活動の源泉である精も充実してくる。
その精が充実してくると、体内に必要な気血に化する作用を生みだす。
すなわち、精を作り出すには気を消費し、
肉体は飲食物を得ることで成り立っているのである。
また、化する作用によって精は生まれ、
気によって肉体ができるともいえる。
しかしながら、これらの相互関連は、その調和が保たれている場合にうまくいくのであり、
飲食の不摂生・偏った飲食があると、その飲食によって肉体はかえって損傷され、
肉体が損傷するので気も弱り、気から充実するはずの精も傷られることになる。
まとめると、正しい飲食からは肉体や気が充実し、さらに精をも生み、
精が充実していくると気も充実してくる。
反対に飲食の不摂生や偏った飲食は肉体や気が弱り、
精を作り出すこともできなくなるということである。
すなわち気は精をよりどころとしているので、飲食の不摂生によって障害されるのである。
東洋医学探訪(01)
もう夏の終わりですが、私の日焼けは遊びではありません。
修行の結果です。
京都を散策してまいりました。
『延命院』とは『医療施設』
御由緒
(引用:武信稲荷神社の”案内”より)
平安時代初期、清和天皇貞観元年(859年)
西三条大臣といわれた 右大臣左近衛大将 藤原良相(よしすけ)公によって創祀。
平安時代の古図には三条から南の神社附近一帯は
「此の地、藤原氏延命院の地なり」と記されている。
延命院とは藤原右大臣によって建てられた医療施設であり、
当社は延命院と勧学院(学問所)の守護社として創祀された。
後世、藤原武信(たけのぶ)公がこの社を厚く信仰し、
御神威の発揚につとめたので、武神神社と称されるようになる。
その後延命院・勧学院は失われるが神社だけが残り、
創祀以来一千余年にわたり広く人々に信仰されて今日に及んでいる。
撮影をけっこうしましたが、蚊にはご注意ください。(経験談!)
猛暑
患者さん
前回寺子屋で患者さんのお身体を借りる際、極力相手がそのままの自分でいられる様に、こちらの雰囲気に引っ張らないようにと意識しました。
相手の雰囲気に溶け込んでいくように意識。
先生の患者さんへのワンクッション挟む様な挨拶なども聞いていて参考になります。
映画
映画、サウンドオブメタルを見ました。
色んな視点や主人公の感情変化が上手く描かれたとても良い作品でした。
内容は突発的に聴力を失った人の話です。
失ったことで生じる世間とのギャップ。
その中でどうにか聞こえるように、元の生活に戻れる様にと試行錯誤しますが、どうも幸せにはなれない。
結局最後のシーンでは色んなものが破綻して喪失、見方によっては悲惨なものでしたが、その中でも主人公が帰る場所を見つかって良かったと感じました。
自分の生活でも聞こえる、聞こえない関係なく帰るべき場所は必要だと思います。
バガボンドの「おっさん穴」が思い返される。
訓練
最近溶け込む訓練として色んな人と会う様にしています。
やはり考えている事は違う事がほとんどで、話していてもやはり人間なので違いはある。
でもその人にはその人の物語があるので合わせる訓練にはなる。
その為には尊重が必要。
昔この先生の考え方好きだな〜と思った人がいて、大体の内容として
「みんな何かしらの夢を見てるんだからその夢に付き合うのも優しさ」
と仰っていた。
優しさというと少し誤解を受けそうなニュアンスに聞こえますが、仰っている意味はわかる。
主観はそれぞれ違う。
相手の物語に寄り添って初めて答えてくれるものなんだと感じています。
きちんと相手を大切にしなければいけない。
ルーティーン
最近は一鍼堂に行く前に難波神社で拝礼してから向かう様にしています。
何を願う訳でもないのですが、そこからが入りやすいので気に入っています。
猛暑
この時期暑くなり、水分摂取が多くなる。
そういった人の話を最近よく聞く。
同じ条件を作ってみるために、自分も長時間運動時して普段よりも水を大量に飲むようにしてみた。
現れた症状は口渇は病まず、胃部の不快感と倦怠感。
先々週みさせて頂いた患者さんも陽明のある部分に熱を持っていたことが思い返される。
激しい運動時、胃にも熱が生まれ、口渇が起こる。
その熱をさまそうと冷たいものを欲する。
胃熱を覚ます意味では一定の冷たいものは正解だと思う。
しかし多くは冷たい水やスポーツドリンクなどをチョイスし、そこに水分も多くなる。
脾が対処できなくなり、湿を溜め込む。
ここで熱+湿という条件が揃った舌を見てみる。
面白いことに表面に泡が貼っていた。
自身の体質的に酒を飲んだ時に出るこの泡。
熱と湿が中焦で発生した時に生まれるもの?
最近モデル患者さんで確認されるお腹の状態にも近づいた。
水分を摂取しすぎることなく、どうにかして胃熱への対処を行う事が必要か。
そういえば西瓜が昔からこう言った時に使われていて、天然の白虎湯とも呼ばれている事を思い出した。
瓜科の植物は熱を覚ましつつ利尿するものが多いのでこの時期は重宝しそうです。
他に自分の体の現象として勉強になった事が尿量の減少。
そこで気になった事が、果たしてよくトイレに行く患者さんが本当に利尿しているか?という疑問。
水をたくさん飲むから出さなきゃと思ってトイレに行くとしても、もしかしたら少量しか出ていないかもしれない。
相手の行動の色眼鏡を抜く訓練にもなり良かったです。
そう思うとその人の行動が自分の思っている通りの状態でない事も考えられるので、四診と結びつかない情報に意味がないと改めて実感しました。
色々失敗する
問診、切経が長すぎる問題。
先生の施術を診て、省略できる所はどこか
効率の良い方法を流れを止めずに如何に行うか。
模倣してみて、集中できる環境に繋がり効率の良い所作だと感じました。
観察して模倣して、発見して。
少しずつ気付きを積み重ねていきたいです。
鍼を置く時、「手にばかり集中している」
と寺子屋の練習の時に指摘を受けました。
あ、これは切経にも言えることだなと、
下半身にちょっと意識を置いた途端
不思議と相手の脈が私の体の中に入って来る
感覚になり、景色が変わりました。
休日、ひたすら細かい作業をしました。
何時間も作業するので手先に集中するために
無意識で重心や姿勢を調整していたと思います。
たまーに出くわす近所のおっちゃんがいます。
昨日久々に道端で会ったら「人相変わったなー!」と私を見て笑っていました。
(悪い意味ではないらしい。)
「毎日ちょっとずつプラスやで。
いっぱい失敗して勉強させてもらいや〜」
飄々として、気の良いおっちゃん。
「まあ、楽しむんやで」
と一言もらってさよならしました。
脈診(02)
四季の脉(瀕湖脉学)
春弦夏洪、秋毛冬石。
四季和緩、是謂平脉。
太過実強、病生於外、不及虚微、病生於内。
四時百病、胃気為本。
脉貴有神、不可不審。
春は弦脉、夏は洪脉、秋は毛脉、冬は石脉。
四季に和緩して、これを平脉という。
太過し実強は病が外より生じ、不及し虚微すれば病が内より生ずる。
四時の百病は、胃気を本となす。
脉貴は神を有し、詳しく知ろうとしないという事はあってはならない。
(゜-゜)
院長はじめ、先生方にご教授をうける中において、脉中を問われることがあります。
正直、悶絶しますが、詳細を感受するのに精一杯であったりします。
四季に脉があり、個体差があり、
脉が強くなるという事だけが、治療後において正とは限らないように思います。
【参考文献】
『中医脉学と瀕湖脉学』たにぐち書店
『大漢和辞典(第三巻、P1101「審」)』大修館書店
初めまして。
大阪の鍼灸学生で稲垣といます。宜しくお願いします。
もうすぐ後期単位認定試験が始まります。
試験勉強をしていると、食事が少量になってきます。
お腹いっぱいになって眠くなってしまうのも困りますし、運動不足もあったり、体重を増やしたくないのもあり。。。
そんな生活の中、年をめされた方で食欲が旺盛な方を拝見する機会がありました。年齢を重ねると食は細くなっていくものだろうと思っていましたが。
『養生訓』には老人の食に関しての注意喚起を目にします。
例えば、
「第二章 飲食 (23 老人は食を少なめに)」
”胃腸虚弱の人、ことに老人は、飲食に傷められやすい。味わいのよい飲食物に向かうときは、我慢をすべきである。節度を越えてはならない。心弱くては欲には克てない。心強くして欲に克つべし。”
僕が目にしたその方を考えるに、単純に”食い意地が張ってる”と、判断するには寂しく感じます。
もしかしたら、水穀の精微を得んが為の必死な姿なのかもしれない。
悩み(主訴)を発する途中なのかもしれないのでは。
それを鍼灸にて治療を考えると腎を補する法なのか・・心の障害を瀉する法なのか・・
もしかしたら、主訴を解消しても、それが最終ではないように感じます。
出典
『口語 養生訓』貝原益軒(日本評論社)
脳についての復習
こんにちは、大原です。
脳に関して、解剖学・生理学の復習を行いました。
(以下、復習した内容をまとめたものになります。)
--------------------------------------------------
脳は、脊髄と合わせて中枢神経系をなし、
解剖学的に
延髄、橋、中脳、小脳、間脳、大脳に分けられる。
脳の松果体はメラトニンを分泌し、
人の睡眠や生体リズムに関わる。
形態は、松かさ状の小体で、大きさはあずき粒大、
色は赤灰色である。
松果体の前方には
視床、視床下部があり、これらを間脳といい、
視床下部の下には下垂体という器官がある。
下垂体からは
成長ホルモン、プロラクチン、FSH、LH、TSH、ACTHと、
多くの種類のホルモンが分泌され、
これらの分泌の亢進や抑制を主っているのは
視床下部である。
参考文献
『解剖学 第2版』
『生理学 第2版』 医歯薬出版 東洋療法学校協会 編
備忘録(1)
アルバイトとして障害者の介助や老人の介護をおこなっておりますが、
今回は、とある方の入浴を介助いたします。
洗髪の際、
ゴシゴシ、ゴシゴシ、、
Aさん「もっと強くして下さい。」
稲垣 「大丈夫ですか?それでは。」
ゴシゴシ、ゴシゴシ、、(結構強くしてるけど大丈夫かな?)
Aさん「もっと強くして下さい。」
稲垣 「(゚д゚)!えっ(マジで!)。わかりました。」
ゴシゴシ、ゴシゴシ、、
Aさん「強くやり過ぎて、昔は血が出たことがあるんですが、それが良いんです。
HAHAHAHAHAHA。」
稲垣 「・・・。」
Aさん「でも、寝不足の時は強さに耐えれない時があるんです。」
★ ”養蔵”できない事での、”皮毛”への影響を思う。
五行大義(3)
炎上
火曰炎上。炎上者南方揚光輝、在盛夏氣極上。
故曰炎上。王者向明而治。蓋取其象。
古者明王南面聽政、攬海内雄俊、積之於朝、以助明也。
退邪佞之人臣、投之於野以通壅塞。
任得其人則天下大治、垂拱無爲。
易以離爲火爲明。重離重明、則君臣倶明也。明則順火氣。
火氣順、則如其性。如其性則能成熟、順人士之用。
用之則起、捨之則止。
若人君不明、遠賢良進讒佞、棄法律疎骨肉、
殺忠諫赦罪人廢嫡立庶、以妾爲妻、則火失其性、不用則起、
隨風斜行、焚宗廟宮室燎于民居。
故曰火不炎上。
火は炎上という。炎上なるもの南方に光輝を揚げ、盛夏にあって氣が極まり上がる。
故に炎上という。王なるもの明りに向かって治る。およそ、その象をとる。
明王、南面し政を聴き、海内の雄俊をとり、朝廷に積み、もって明を助ける。
邪佞の人臣退き、これを野に投げ、もって壅塞を通ず。
得たその人に任せ、すなわち天下大きく治み、垂拱になすなし。
易は離をもって火となし、明となす。離を重んじ、明を重んじれば、則ち君臣ともに明らかなり。明、則ち火氣の順なり。
火氣の順、則ちその性のごとし。その性のごとくは則ち能く成熟し、人士の用に順ず。
これを用いて則ち起こり、之を捨てれば則ち止む。
もし人君、明からずして、賢良に遠く讒佞に進め、法律を棄て骨肉を疎み、
忠諫を殺し罪人を赦し、嫡を廢して庶をたて、妾をもって妻となせば、則ち火はその性を失い、用いざるに起こり、
風に随いて斜めに行き、宗廟・宮室を焚き、民居を燎く。
故に火に炎上せずという。
【参考文献】
『五行大義』明德出版社
『漢辞海』三省堂
『易経』徳間書店









