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東洋医学・鍼灸医学の研究用ブログです。

扶正祛邪

扶正祛邪(ふせいきょじゃ) これは簡単に言うと、 体の回復する力を高め、不調の原因を取り除く力を高めること。 例えば、風邪をひいたときでも、疲れ切って体力が落ちている人に強い治療ばかりをすると、かえって体が消耗してしまうことがあります。 また、肩こりや腰痛、しびれ、便秘などの慢性的な症状でも、体の中に「滞り」があるからといって、それを無理に動かそうとしても、もともとの体力や回復力が不足していると十分な効果が出ないことがあります。 そこでまず大切なのが、体の回復力を高めることです。 この回復力を「正気(せいき)」と呼びます。 正気が充実すると、 東洋医学には「正気存内、邪不可干(正気が体内にしっかりあれば、邪気は侵すことができない)」という考えがあります。 正気が満ちてくると、体は自分自身でバランスを整え、自然治癒力が十分に働くようになるため、症状が改善するだけでなく、再発しにくい体質へと変わっていきます。 もちろん、すべての人がこのように治療するというわけではありません。 炎症が強い場合や熱がこもっている場合などは、先にその原因を取り除く治療が必要なこともあります。 大切なのは、その日の体の状態をしっかり診て、今は回復力を高めることが先なのか、それとも原因を取り除くことが先なのか、 を見極めることが大切です。

傷寒論の学習 その2

傷寒論で、六経病における各々の 主となる病(「提綱証(ていこうしょう)」)は 以下のようになると 前回の記事(傷寒論の学習 その1)でまとめました。 ①太陽病:表寒証 ②陽明病:裏実熱証 ③少陽病:半表半裏証 ④太陰病:裏虚寒証(脾陽の虚) ⑤少陰病:裏虚寒証(心腎の虚) ⑥厥陰病:外感病の末期で陰陽の失調 上のまとめの内容は 学校の東洋医学概論の教科書にも載っていますが、 実際に傷寒論の条文において これらの主となる病は どのように書かれているのかを 確認してみましょう。 ①太陽病:表寒証 第1条 太陽之為病、脈浮、頭項強痛、而悪寒。 (太陽の病たる、脈浮、頭項こわばり痛みて、悪寒す。) ②陽明病:裏実熱証 第180条 陽明之為病、胃家実也。 (陽明の病たる、胃家実なり) ③少陽病:半表半裏証 第263条 少陽之為病、口苦、咽乾、目眩也。 (少陽の病たる、口苦く、咽乾き、目眩(くるめ)くなり。) ④太陰病:裏虚寒証(脾陽の虚) 第273条 太陰之為病、腹満而吐、食不下、自利益甚、時腹自痛。 若下之、必胸下結鞕。 (太陰の病たる、腹満して吐し、食下らず、自利益(ますます)甚しく、 時に腹自(おの)づから痛む。 若し之を下せば必ず胸下結鞕(けっこう)す。) ⑤少陰病:裏虚寒証(心腎の虚) 第281条 少陰之為病、脈微細、但欲寐也。 (少陰の病為る、脈微細にして、ただ寐(いね)んと欲するなり。) 第282条 少陰病、欲吐不吐、心煩、但欲寐、五六日、自利而渇者、属少陰也、虚故引水自救、 若小便色白者、少陰病形悉具、小便白者、以下焦虚、有寒、不能制水、故令色白也。 (少陰の病、吐かんと欲して吐かず、心煩し、ただ寐(いね)んと欲し、 五六日、自利して渇する者、少陰に属する也、虚故に水を引いて自ずと救い、もし小便色白なる者、少陰の病形悉(ことごと)く具(そな)わり、 小便白なる者、もって下焦虚、寒あり、水を制することあたわず、ゆえに色をして白せしむなり。) ⑥厥陰病:外感病の末期で陰陽の失調 第326条 厥陰之為病、消渇、気上撞心、心中疼熱、饑而不欲食、食則吐、下之利不止。 (厥陰の病たる、消渇し、気心に上撞し、心中疼熱し、饑(う)えて食欲せず、食すればすなわち吐き、これを下せば利止まず。) まず太陽病について、 現代の中医学では 「太陽病は表(寒)症について述べている」とされています。 これは第1条の 太陽之為病、脈浮、頭項強痛、而悪寒。 の中の「脈浮」「頭項強痛」「悪寒」がその根拠となるということです。 その中でも「脈浮」とは、 気血が外に向かって邪に抵抗しようとするもので、 すなわち邪が表層部にあることを示し 重要な所見となります。 この表証の場合の治療法は発汗法であると 後の条文に記されていますので、 表証かそうでないかを鑑別することは 治療法を決定する上で重要になります。 また、この後の条文に、 症状の一つとして「体痛(体痛み)」とあり、 太陽病で 手足の関節や腰なども痛んだりするとあります。 以上まとめると、 腰痛、肩こり、首の痛みのような症状でも、 表証であれば発汗法を用いるということになります。 逆に、一見カゼのような症状でも 表証でなければ発汗法は用いないことになります。 参考までに「表熱証」という病についても 太陽病篇の中に記述がありますが、 表証ですので治療はこれも発汗法になります。 ・・・熱証なので、熱の反対の「寒涼剤」が良い、 と誤った判断をするとどうなるか。 「寒」には「凝滞性」、すなわち 収縮させ固まらせるという性質があるので、 表熱に対しては、表にある 発すべき熱が発散されず凝固してしまい、 さらに悪化を招くことになるようです。 <続く> (追記)2019/12/04 表熱症には発汗法を用いると書きましたが、 他の文献を調べると、 発汗法は津液を損傷するため熱証には禁忌であり、 治法は益気生津であると書かれていました。 この辺りについては、また追って書いていきたいと思います。

舌診(02)

舌象について整理する 【舌神】 有神 生き生きとして生気があり、運動性も十分なもの。 疾病に罹患しても有神であればよい兆候。 無神 乾枯して硬く光沢もなく、生気がなく、運動性も悪い。 危急の可能性。 【舌色】 淡白舌 陽虚の為に営血不足により舌体を充養できず淡い色調となる。 紅舌 舌体の脈絡が充盈している。 絳舌 紅絳舌 営血が熱の煎熬を受け、濃縮されている為に絳舌となる。 紫舌 熱盛傷津や陰虚で気血の壅滞、陰寒での凝滞により紫色となる。 青舌 陰寒の邪により陽気凝滞し血行の瘀滞による。 【参考文献】 『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版社 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

原因不明の動悸の症例

症例報告です。

自分、胆経

  自分 頭ばっかり使うタイプなので、極力頭を使わずに1人で暗い世界で生きていこうと思ったけどその中で自分を失ったら意味がない。   人それぞれのやり方はあると思いますが、自分自身に過度な自己否定も行ってはいけない。   奥底にしっかりと自分を持ち、外は柔らかい状態で相手に合わせる。   つけ上がらせず、奥底の正しい位置でしっかり抱え込んでいれば外への興味も湧いてくる。   また、外界の物事に引っ張られてはいけないけど、形は合わせなければいけない。   形を合わせるために色んなことを学んでいかなければいけないし、全部できる様にならなければいけない。   しっかり抱え込んでいればどんな形にもなれる。   現状として、自分が崩れてしまったせいで弱いものへの合わせ方をさせてしまっている。   過去にあった事実は変えられないので、それはそれとして受け入れた上でやっていくしかない。   胆経 胆経で停滞が起こっている時、丘墟にも出るとは思うのですが、もう少し上の懸鐘あたりも反応が出る事もあると思いました。   表裏なので背景に肝鬱が絡んだ邪気かもしれません。   この状態を変えるにはどうするか、色んな角度からみていきたいと思います。

今回の臨床勉強会での学び

9/27に行われた勉強会で学んだことを書いていこうと思います。 今回モデルとなっていただいた患者さんは、「心腎不交・脾虚・少陽枢機不利」と弁証しました。 脾腎の弱りが見受けられたが、 特に腎の弱りが強く、それによって心の機能にも影響が及び、心火をうまく制御できない状態になっていると考えました。 そこで、まず腎を補うことを目的として太谿に置鍼しました。しかし、施術後も脈に大きな変化はみられず、患者さん自身の体感としても、明確な変化を感じることはありませんでした。 次に、脾を立てることを目的として脾経の穴に鍼をしました。すると、脈の状態だけでなく、舌や腹部の状態にも変化が現れ、全体的に身体が整っていく様子がみられました。 この経過から、今回の症例では、単純に腎を補うだけでは身体の反応を引き出しにくく、まず脾の機能をたてることが重要だったのではないかと考えました。 脾を立てることで身体の土台が整い、その結果として補腎ができる状態へと動いたのではないかと考えました。 脾をたてることで補腎が進み、心火がおさまっていった。 今回の施術を通して、腎の弱りが強くみられる場合であっても、単に補腎を行うだけでは十分な改善につながらず、まず脾気を立てることが重要であるということを学びました。

異名同穴③

李世珍の下で働いていた方に、異名同穴について尋ねたことがあります。 「李世珍の家の伝来の呼び方がある。」との事。 その時は、中国の『宗族(父系中心の一族)』や『圏子(利益を共にする集団)』といった文化圏を想像しました。 ③3つの異名のあるもの 穴名         異名 陰郄穴    :   少陰郄穴、石宮穴、手の少陰郄穴 隠白穴    :   鬼疊穴、鬼眼穴、陰白穴 会陰穴    :   下極穴、平翳穴、屏翳穴 京門穴    :   氣付穴、氣兪穴、腎募穴 氣衝穴    :   氣街穴、羊屎穴、氣冲穴 厥陰兪穴   :   関兪穴、厥陰穴、闕兪穴 三陽胳穴   :   通門穴、通間穴、通関穴 上巨虚穴   :   巨虚上廉穴、上廉穴、足の上廉穴 衝門穴    :   慈宮穴、上慈宮穴、前章門穴 水分穴    :   中守穴、分水穴、正水穴 人迎穴    :   頭五会穴、五会穴、天五会穴 兌端穴    :   壮骨穴、兌通鋭穴、唇上端穴 太淵穴    :   鬼心穴、太泉穴、大泉穴 大陵穴    :   心世穴、鬼心穴、心主穴 中膂兪穴   :   脊内兪穴、中膂内兪穴、背中兪穴 通天穴    :   天臼穴、天旧穴、天白穴 手の五里穴  :   尺の五里穴、大禁穴、尺の五間穴 天突穴    :   玉戸穴、天霍穴、天瞿穴 然谷穴    :   龍淵穴、然骨穴、龍泉穴 陽輔穴    :   絶骨穴、分肉穴、分間欠 陽陵泉穴   :   筋会穴、陽の陵泉穴、陽陵穴 白関兪穴   :   玉関兪穴、玉房兪穴、陽兪穴 胳却穴    :   強陽穴、脳蓋穴、絡郄穴 【参考文献】 『臨床経穴学』東洋学術出版社 『鍼灸医学事典』医道の日本社 『新版 経絡経穴概論』医道の日本社

施術日記(02)

T.I 先生との治療練習2回目です。 前回の経験を元に、同穴への刺鍼にて変化をとります。 舌診の鍛錬 【目的】 ① 前回と同穴で、少し深めへの刺入を試して違いを診る。 ② 事前・事後の同じところ、違うところを診る。   舌は右に傾いているが、ほぼ正中線上に出ている。 前回のように舌尖が細くなっているような力が入っている姿ではない。 舌根あたりの苔の薄い黄色が、舌診の際にとりにくく工夫を必要とする。 舌の先端より舌辺への淡い斑点が特徴的。 一週間前より、やや歯痕が発生しかけのようにも思える。 陰陵泉(右)に3番鍼にて置鍼(10分) 刺鍼について疼痛があったせいか、 舌尖が細くなり力が入っているように感じる。 この穴であるかどうかが不明であるが、 舌の周囲にあった斑点が目立たなくなるのは前回と同様。 わずかな歯痕はほとんど無くなり、 舌全体に水分の量が調整されたように感じる。 出来る限り、専門用語を使わずに表現する事で、 発見があればと考えております。

『閃く経絡』を読んで

以前より、SNSで噂になってた本『閃く経絡』を読んでみました。 ---------------------------------------------------------- 『閃く経絡』 ”現代医学のミステリーに鍼灸の”サイエンス”が挑む!” 著者:ダイエル・キーオン 発行:日本の医道社 ----------------------------------------------------------- ダニエル・キーオンさんは医師として救急の現場に立ちながら、 キングストン大学で中医学を学び、後に北京に渡り就業を行ないました。 医師でありながら鍼灸師であるという立場で、経絡の謎を解明しようと試まれています。 鍼灸学校で習う解剖学・生理学の復習になり、 学生の立場としてはテストされているような感覚も正直あるのですが。。 医師としての立場らしく、淡々と表現されるグロテスクさも楽しむ事が出来ました。 彼の経絡に対するこの論証の一つ一つは、なかなか見ごたえがある様に思います。 実はこのような生々しい論理は好きだったりします。 この本の素晴らしいところは東洋医学に対する敬意が感じられるところです。 東洋医学の軸を動かさずに西洋医学の詳細を詰めていく方法は、 解明する探検の大変さも感じられますが、気持ち良さを同時に覚えます。 そして、医古文などを読む際に手助けとなるのが、現在の医学への探求があるという事は 太古の昔も医学に燃える医家がいるのだろうと信じる事ができるところでしょうか。 未来の優秀な方々によって、東洋医学の証明がなされていくことに夢をはせます。 以前に一鍼堂ブログの番外編として院長が挙げられていた三焦に関してのブログも添付します。 ↓ https://www.1sshindo.com/blog/zenith16946/

しゃべる訓練など

  しゃべる訓練 しゃべる訓練として自分語りをします。   先日一鍼堂で「なぜ鍼灸師になろうと思ったのか」と言った話を先生とした。   その時にお伝えした内容ですが、それよりもっと前になぜ医療をやりたいのかと言った問答が自分の中にあった。   大学生一回生の時、情報基礎倫理の授業で 「グラスに入った水が半分残っています。 これをどう考えますか?」   と言ったテーマで講師が話していた。   その問いに対して 「残り半分もある」 「残り半分しかない」   どう捉えましたか? と言った内容だった。   話を聞いていて、ふと陰陽の考え方がよぎった。   グラスには水の入った部分もあれば空の部分もある。   全てには逆の側面がある。   もちろんその先もあるが、ほとんどの事象はそう。   世間一般の良いや悪いの評価に対して 何でお前らに決められなあかんねん、と疑問を抱いていた中で出会ったそんな考え方。   自分の中にドカーン!と言った感覚があって、その日の学校の帰りは見るもの全ての逆の側面を見るようにしていた。   東洋医学の中にある考えの一つに触れ、それが何なのか知ってみたくなった。   何となくですが、その先に自分みたいなしんどい人が救われる未来があるのかなと医療人を目指したような気がします。   過去に囚われるのは良くありませんし、そこに縛られている訳でもありませんが、先へ進む為にもいい振り返り方はありかなと感じた。     カフェにて 老子を読んでいて、ボーッとしながらふと周りの景色が入ってきた。   その時に大きく飾られていた世界地図を見た。   ありきたりな感想ですが、   「日本って小さいなぁ」   そう思いました。   この狭い国の中でさらに狭いコミュニティに縛られる必要はない。   もっと広く、大きなものを。   世界地図だって宇宙を含めたらまだまだ狭い。   どこまでも伸び伸びと。   思い浮かんだ逍遥という言葉。   単語としては一番好きかもしれません。     何も抱かない   何か不満が募る。   そこは出した方がいいかもしれない。   でも、そこを抱かない事が一番大切。   最初からなければ何も生まれない。   何に焦点を当てて生きていくか。   スッキリした人間でありたい。     腹部と経穴 習った腹部のエリアと経穴を一致させるために、心経の穴のみをを軽く刺した。   刺した後に感じる腹部の変化。   変化を感じる事ができて良かったです。