病因について(2)
ようやく、一年生も終わりに近づいてきました。
この冬は、解剖学・生理学・栄養学で共通する機能を
多方面より勉強する時間を過ごしていました。
解剖学では腎臓そのものの構造。
生理学(動物)では蓄尿・排尿のメカニズム。
生理学(植物)では腎蔵に関係する内分泌(バゾプレッシン・アルデステロン)。
栄養学では高血圧とそれに対応する栄養素(塩分を控える)。
腎機能のフルコースでした。
東洋医学の病因について~
【外因】
・六淫(風、寒、暑、湿、燥、火)
・疫癘
人体が影響を受ける要素の一つについて黄帝内経の一節に出会いました。
特に外因と関係深い、地域の特徴や風俗習慣について。
『素問』異法方宜論篇 第十二
黄帝問曰.醫之治病也.一病而治各不同.皆愈何也.
岐伯對曰.地勢使然也.
故東方之域.天地之所始生也.魚鹽之地.海濱傍水.其民食魚而嗜鹹.皆安其處.美其食.
魚者使人熱中.鹽者勝血.故其民皆黒色疏理.其病皆爲癰瘍.其治宜砭石.故砭石者.亦從東方來.
黄帝問いて曰く、
医の病を治するや、一病にして治
各々同じからざるに、皆癒ゆるは何ぞや?
岐伯答えて曰く、
地勢の然らしむるなり。
故に東方の域、天地の始めて生ずる所なり。魚塩の地、海浜にして水に傍う。
魚を食して鹹を噛む。皆其の処に安じ、其の食を美とす。
魚なる者は人をして熱中たらしめ、塩なる者は血に勝つ、故に其の民 皆黒色にして疏理なり。
其の病 皆癰瘍となる。其の治 砭石に宜し。故に砭石なる者は、亦た東方より来る。
また腎?かと・・
【五行】
・五味 酸、苦、甘 、辛、鹹
・五蔵 肝、心、脾 、肺、腎
・五時 春、夏、長夏、秋、冬
冬だから腎を勉強しろ。という事だったのでしょうか??(笑)
参考文献
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経素問』東洋学術出版社
『新版 東洋医学概論』医道の日本社
稲垣英伸
中国の思想(08)
老子
六十三章 聖人は大をなさず
為無為、事無事、味無味。
大小多少、報怨以徳。
図難於其易、為大於其細。
天下難事必作於易、天下大事必作於細。
是以聖人終不為大。
故能成其大。
夫軽諾必寡信、多易必多難。
是以聖人猶難之。
故終無難矣。
無為をなし、無事を事とし、無味を味わう。
小を大とし少を多とし、怨みに報ゆるに徳をもってす。
難きをその易きに図り、大をその細になす。
天下の難事は必ず易きより作り、天下の大事は必ず細より作る。
ここをもって聖人はついに大をなさず。
故によくその大を成す。
それ軽諾は必ず信寡く、易きこと多ければ必ず難きこと多し。
ここをもって聖人すらなおこれを難しとす。
故についに難きことなし。
(引用:『中国の思想[Ⅳ]老子・列子』P101~103)
” 怨みに報ゆるに徳をもってす。”
解説の中には「大戦後の蒋介石による対日政策の基調をこの言葉に置いたのを
民族の総意の表現だったと見られる。」とある。
中国大陸に残留孤児が多かったのを
民族性と連ねる説を読んだことがあり、符合するように思います。
その地域性を感じる事ができたようで、面白く思いました。
そして日々の生活の中で
決して偉そうにしない”立場ある人”と出会う度に、
丁寧に一つ一つを対応される姿をみて感心することがあります。
この延長線上に大事ができるのだろうな、、と思います。
先ずは、小さな事をおろそかにしないように心がけたいと思います。
【参考文献】
『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店
舌診(07)
受付のNさんに舌の研究の為にご協力頂きました。
即答にて快諾いただける皆さんに感謝しております。
表
裏
舌質
舌色:淡紅舌
舌形:嫰・胖大・点刺
舌苔
苔色:白黄苔
苔質:全体・薄苔
全体的に苔が少なく薄いのと、舌尖・舌辺に対しての点刺がみられる。
それより、各所に少なからず熱化の可能性をみます。
舌の出し方に力が無いように思える。
舌裏を観るときに舌の薄さが気になる。
舌態の力なき姿と薄さより生気の弱りを感じます。
臓腑配当は控え、舌象に注視し経過を観察したいと思います。
食事制限など
空気感
自身の出す空気がいい状態の時はキチンと周りを見れている。
悪い状態の時は何か引っ掛かりがあってそこに引っ張られている。
自分をしっかり持つ。
それしか解決策はなさそうです。
腹の陰圧
体の使い方で自分の中で大きな発見があった。
自分の身体は片方の腹筋が弱い。
特に陰圧をかける動作を怠っていた様で、そこが原因で側面の筋肉や腰に負担をかけていた。
過度な食事制限
長期的に続くと脾胃飲みではなく腎も痛める。
すると志も傷つくので継続する事が難しくなり、パニックも起こしやすくなるし、記憶への影響も現れる。
拒食症の方は何人か出会った事がありますが、深いものになると中々治療が難しそうだなと感じます。
EBV
■EBウイルス(EBV:エプスタイン・バール・ウイルス)
国家試験は終わりましたが、確認の為に調べておりました。
今までは出題中の4択より1つを見つける知識に重点がありましたが、国試が終わって疾患を調べていると、欲しい情報が異なってきます。
例えば国家試験を見てみると~
(科目でいえば”衛生”や”病理”で出てきやすいのですが)
【過去問】
ウイルスが原因となる腫瘍はどれか?
1、甲状腺腫瘍
2、バーキットリンパ腫
3、ウィルムス腫瘍
4、グラビッツ腫瘍
《正解 2》
1、甲状腺腫瘍←ヨウ素不足、腺腫誘発物質の過剰摂取など
2、バーキットリンパ腫←EBウイルス
3、ウィルムス腫瘍(腎臓がん)←遺伝子異常など
4、グラビッツ腫瘍(腎細胞がん)←喫煙、高血圧、肥満、長期透析など
キーワードとして、EBウイルスに関しては
『伝染性単核球症(B細胞にEBウイルスが感染)、バーキットリンパ腫、上咽頭がん、キス病』
ぐらいの知識が把握できていれば、正とするのか、誤とするのかは対応できると思います。
しかし、実際に疾患をお持ちの患者さんが来られたら、
国試のテクニックではなく、悩みに寄り添える知識が必要になってくるな・・と、
因みにバーキットリンパ腫を発見したのはデニス・パーソンズ・バーキット。
イギリス軍の外科医として植民地のアフリカで従事する際に、ウガンダで子供のリンパ腫と出合い、発見することになります。
そこから地理学的相関関係を調査する為に1万5千キロに及ぶ調査を行い、地域分布を調べる事となります。
■戻気(れいき)
戻気は、癘気(れいき)・異気・疫気・疫毒・乖戻の気(かいれいのき)とも呼ばれる生物要因。
六淫以外の発病要因で、自然界あるいは生物体内に存在し、生命力と発病作用を備えおり伝染性と流行性をもつ。
『素問』 刺法論篇 「五疫の至るや、みな相染易し、大小を問うなく、病状相似たり」
『諸病源候論』疫癘病候篇 「病は長幼の別なく、ほとんどみな似ている」
『温疫論』 原病篇 「この気が来ると、老幼や強弱にかかわりなく、これに触ったものは発病する」
『温疫論』 原病篇 「都市に発生するものもあれば、村落に発病するものもあり、ほかに安全なところはない」
『温疫論』 原病篇 「邪は口鼻から入る」「呼吸する間に、外邪はこれに乗じる」
『諸病源候論』温病令人不相染易候篇「人が乖戻の気を感受して発病すると、病気は伝染し、ついに一門が滅亡し、外部にまで及ぶ」
【参考文献】
『中医病因病機学』東洋学術出版社
冬休みに入りました!
こんにちは高山です。
冬休みに入りました。
今は東洋医学の病因と病機について勉強しています。
聞いたこともない物質や構造を学び、そこからさらに深掘りしていく、理解するのがむずかしいことが書いてあったり、量も多いです
でも、病気がなぜ起こってしまったか、やその病気の症候などが記されていて、治療する上で、きっと大切になることが、書かれています。ちょうど冬休みですし、じっくり時間をかけて勉強しています。
まだ僕は一年生で、脈診や舌の色、腹診などの仕方や、
感触は全然知りませんが、いずれ学ぶ時が来ると思いますので、今はまだ机上の知識ですが、どんどん吸収していきたいと思います。
患者さんをしっかりと治療できて、喜ばれる日を夢見て日々前に進み続けます。
開業いたします。
こんにちは稲垣です。
私が鍼灸学生の時も、国家資格を得てからも
同じ質問を受けた事がありました。
「なぜ一鍼堂なのですか?」
です。
学生向けの勉強会を
一鍼堂で開催する準備をしておりましたので、
その際に、未来の鍼灸師さんたちに向けて話そうと
思っていたのですが、
このご時世で学生さんたちに集まって頂く機会が
なかなか持てませんので、
お伝えしておこうと思います。
(パソコンの画面を通じてのテレビ電話では
臨場感がありませんので、
実際に集まって頂く事を待ち望んでいたのですが、
非常に残念です。)
私は鍼灸学生の一年生の時より
林院長にお世話になりました。
各種勉強会など、様々に参加させて頂き、
大切な価値観を沢山頂戴しました。
学生の頃からの四年間ですから、それはそれは数知れず。
院長の治療を受けさせて頂き、
最初に感じたものは、“テコ”です。
“重い岩”を退けるには支点をおいて、
長い棒のようなもので力点に力を加え
岩という作用点に力を伝える。
そしてゴロンと動かせる。
なるほど!
臓腑へアクセスさせるには、こうするのか!
と鍼治療を体験させて頂きました。
同時に、
このテコよりもっと良い方法はないのか?
支点を岩に近づけたらどうだろう?
力点をより遠くに伸ばしたらどうだろう?
”より良い方法を探し続ける好奇心”を教えられました。
学問に対しての「もっと!もっと!」
というエネルギーを感じ、
同じ場所を掘り続ける魅力を院長より感じました。
私はそんな環境が心地よく思い
一鍼堂に通い続けたのだと思います。
「なぜ一鍼堂なのですか?」
という問いの答えとしては
「探究し続ける楽しさを感じたから。」
となるのでしょうか。
”面白さを教えて頂いた”
これは、私にとっては極めて重要です。
そして、
(話が急に展開して申し訳ありませんが、、)
開業いたします。
その”面白さ”を人生の楽しみにして行きたいと思います。
“修行を完了させて一流のはり師になったから店を持つ”
というのとは全く異なりますが
鍼灸道の修行の為に、
自身の鍼灸院を持つ事といたしました。
ベッドが一つだけの小さな所ですが
臨床の場として、
研究の場として
励んでまいります。
面倒を見て頂いた院長の気持ちを察するに
痛恨を感じるのと、院長が長期的に考えて
準備されていたもろもろを考えると
心苦しいだけではありません。
罵倒の裏にある優しさを感じるだけに
申し訳ない気持ちなど多々あり、
私自身の心中が穏やかではありませんが
怨まぬ為に、
嫌いにならぬ為に、
少し間合いをとることとしました。
身を切り分けて、与え続ける院長のアンパンマン力を感じて
お返しをしなければと、学校を卒業した際に思い続けて
現在まで至っておりますが、必ずお返ししていきたいと思います。
いつになる事やら…
小さな小さな鍼灸院を行っていきますが
温かく見守って頂けるとありがたく思います。
お世話になった皆様に本当に感謝しかありません。
ありがとうございました。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
令和3年6月
稲垣 英伸
『中医内科学 第2版』 冒頭
中国語の本を訳していきます。
正確な訳では必ずしもないところもあると思いますが
もし誤訳などがあれば
その都度修正します。
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『中医内科学 第2版』人民衛生出版社
冒頭部分から
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宋金以前、中医学には「中医内科」の名は無く、
中医内科は近代になって
少しずつ発展してきた学科名称である。
中医学的伝統概念中に、特別に表記して独立したものを除いた、
つまり外、婦、児、歯、眼、正骨等の科以外の病証のほとんどが
中医内科学的な範疇に隷属する。
中医内科学は、中医学の重要な構成要素であり、
各種内科病証の病因病機、臨床の特徴、弁証論治
および予防保健的な対策などの研究を行う
一つの臨床学科である。
十分に多い系統の考え方を反映している
中医独特理論体系は、
豊富な弁証論治の内容と調和し、
その他の各学科とも分割できない関係を有している。
中医学の整体観念の特色は、
いかなる病証も、全体の有機的な病理変化が局部に反映する、
いわゆる内にあるものは、必ず外に形となる、という考え方による。
このほか、人体における内部の臓腑、外部の苗竅、
および経絡の相互の関連からこれらを一つの整体とし、
かつ、人体と自然界とをまとめて一つの整体とみなし、
合わせて、いずれも中医内科学の弁証論治は
一連のつながりのある関係を備えるのである。
これらの意義によって、中医内科学は、
中医の各臨床学科の一科目の臨床基礎学科となった。
広義の概念を考えると、
中医の理論の核心部分は弁証論治の全過程であると同時に、
当然、内科学の範疇に属さなければならないものである。
学科の分化と発展により、
弁証論治の全過程の中で
弁証部分は診断学科の部分的内容を為し、
論治部分は、その他の各臨床専門学科の外的内容を除去し、
まさしくこれが狭義の中医内科であり、
流行病、雑病の大部分である。
前者(流行病)は傷寒および温病であり、
後者(雑病)は内治法を主とするもので、
各専門学科が包含する病証以外で、
その専門学科の中でも
臓腑と経絡との相関的な病証についてがこれに含まれる。
診病奇侅(01)
中脘
脾部中脘塞り、中脘水分に動あり、
又脾塞り、水分に動ありても、中脘に動なきは、食にあらず、
《私議》
中脘と水分について感じるところあり、考察を深めたいと思います。
【参考文献】
『診病奇侅』医道の日本社
傷寒論の学習 その3
(前回ブログ
傷寒論の学習 その2:https://toyoken.org/1179/)
こんにちは、大原です。
前回の内容でも書きました通り、
傷寒論で、
陽明病の「提綱証(ていこうしょう)」は
胃実熱証であるということが
学校の教科書や
多くの解説本で述べられています。
根拠となる条文は「陽明之為病、胃家実是也」です。
ですが、『宋以前傷寒論考』という書籍によると、
宋の時代に傷寒論の条文が書き換えられたようで、
宋以前は「胃中寒」だったそうです。
傷寒論の原本は失われているそうですので、
現代において傷寒論の内容を調べていくには、
傷寒論の内容が書かれた古文書をもとにして
汲み取っていくことになりますが、
現代の教科書は、
宋の時代に書き換えられた内容のものを基準にしているのですね。
太陽病が表寒で、
その後につづく陽明病が実熱になることに
はじめ違和感を感じていたのを思い出しましたが
その謎が少し解けたように感じました。
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参考文献
『宋以前傷寒論考』 東洋学術出版社
興味がありましたら、ぜひ参考文献もお読みください。









