学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

側頭部痛 1

ある方の体を診せて頂いた。 肋骨弓あたりを中心に 比較的軽い、動きはあるけど そこに停滞する感じ。 臍下から下焦に向けて もっと硬くて重い、キツい感じ 動きがすぐには見られなさそうな印象。 脈象では 沈位で案じて潰れる様が見られた。 (続く)

舌診(02)

舌象について整理する 【舌神】 有神 生き生きとして生気があり、運動性も十分なもの。 疾病に罹患しても有神であればよい兆候。 無神 乾枯して硬く光沢もなく、生気がなく、運動性も悪い。 危急の可能性。 【舌色】 淡白舌 陽虚の為に営血不足により舌体を充養できず淡い色調となる。 紅舌 舌体の脈絡が充盈している。 絳舌 紅絳舌 営血が熱の煎熬を受け、濃縮されている為に絳舌となる。 紫舌 熱盛傷津や陰虚で気血の壅滞、陰寒での凝滞により紫色となる。 青舌 陰寒の邪により陽気凝滞し血行の瘀滞による。 【参考文献】 『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版社 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

下巨虚

前回の続きです。   合穴である下巨虚について調べていきます。   《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》P108 邪気蔵府病形篇 「小腸の病の症状は、下腹部が痛み、腰や背骨が引きつり睾丸まで痛み、大小便がつまり苦しみ、耳の前が発熱し、或いは寒が甚だしく、或いは肩の上の熱がひどく、手の小指と薬指の間が熱く、或いは絡脈がおちくぼみます。これらはみな小腸の病です。 手の太陽小腸経の病は、胃経の下巨虚に取って治療します。」   ↑の文章を基に考えていきます。   《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》P507 張論篇 「小腸張の症状は、下腹部が張り、腰にかけて痛みます。」   → ・下腹部は小腸のある部位なのでそこが痛み、それが腰まで影響している。 ・耳の前、肩の上は小腸経上にあるのでそこに反映されているのだと思います。 ・手の小指と薬指の間に関しては、小指あたりに経の走行がありますがそれを指すかはわかりません。   《現代語訳 黄帝内経素問 上巻》P164 霊蘭秘典論篇 「小腸はすでに胃で消化された食物を受け取り、食物の精華を抽出して、全身に輸送します。」 《全訳 中医基礎理論》P131 「張介賓は『素問 霊蘭秘典篇』を「小腸は胃の下に位置し、胃中の水穀を受盛して清濁を分ける。そこで水液は前部に吸収され、糟粕は後ろに送られる。脾気は化して上昇し、小腸の気は化して下降する。そのため化物が出るというなり」と注釈している。」   《中医学ってなんだろう》P239 「小腸の蔵象 内部の状態 小腸が清濁を分けられなくなり、余計な水分が大便に混入する。または濁ったものが尿に混入する。 →現象 ・大便が緩い ・下痢 ・尿がにごる など。 内部の状態 小腸から、水分がきちんと吸収されない。 →現象 ・尿の量が減る 内部の状態 小腸の働きが悪くなり、濁ったものが下へ送られなくなる。 →現象 ・お腹が張る ・腹痛 ・嘔吐 ・便秘 など。」   《穴性学ハンドブック》P159 「下巨虚 湿 分清濁、祛湿邪、燥湿、滲湿」   《全訳 経絡学》P 52 「李東垣は張元素に学んだが、その著書である『薬類法象』で、昇降や浮沈により薬性を論じて、茯苓は手の太陽(小腸)へ入り、麻黄は手の太陰(肺)へ入るとし、それぞれの経脈に導く引経薬、報使薬、向導薬を打ち出している。」   →胃からドロドロになって降りてきたものを小腸が受け取る。 受け取ったものを清・濁に小腸が分別する。 清は水穀の精微で、脾の運化へ 濁は大腸へ送られる 小腸の働きが悪いと分別ができず、そこに留まる。 すると下へ送ることができないので留まり、張って痛む。 穴性学ハンドブックで分清濁とある様に、下巨虚によって小腸の働きが改善すると清は脾、濁は大腸へと送られていく。 結果として小腸の張りなども改善される。 また、祛湿邪 滲湿とある様に利水滲湿薬で小腸に入る茯苓の様な一面もあるかもしれない。 邪気蔵府病形篇の寒熱の現象がなぜ起こるのかがもっと調べていく必要があると思います。   参考資料 《現代語訳 黄帝内経素問上巻》 東洋学術出版社 南京中医学院編 《現代語訳 黄帝内経霊枢上巻》 東洋学術出版社 南京中医学院編 《中医学ってなんだろう》    東洋学術出版社 小金井信宏著 《全訳 中医基礎理論》     たにぐち書店  印合河主編 《全訳 経絡学》        たにぐち書店  李鼎主編 《穴性学ハンドブック》     たにぐち書店  伴尚志編著

髄海

来週末に解剖生理のテストがありまして、 脳について頭の中を西洋医学に染めていってる最中ですが、 東洋医学ではどのように捉えられているのかな?ということで 髄海について。 ーーーーーーーーーーー 脳は奇恒の腑のひとつである。 脳は、生命活動を主宰し、精神活動および感覚や運動を主る。 これらは、心の神志を主るという機能に包括されるため、脳は元神の府とも呼ばれる。 また、腎精から化生した髄がおさまる場所であり、髄海とも呼ばれる。 このため、脳は心・腎と密接な関係にある。 奇恒の腑 奇恒は常と異なるという意味。形状が六腑に似ているが飲食物を伝化する作用はなく、生理作用は五臓に似ているため奇恒の腑と呼ばれている。 生命活動を主宰する 生理:脳は心拍・呼吸・排泄などの生理活動を発現し、生命力や健康の維持に寄与している。脳の機能の多くは心の機能に内包されており、これらの働きは、心の「神志を主る」という生理作用に含まれ、心と同様に生命活動を主宰すると認識されている。 病理:脳の機能が失調すると、臓腑の機能に影響を与え、様々な症状が起こり、重篤な場合は生命活動が停止する。 精神活動を主る 生理:神志を主るという心の生理作用は、脳(髄海)の機能を包括した概念であり、心の精神・意識・思惟活動の調節は、脳の働きによると考えられる。そのため、脳は精神活動を主るといわれ、生理物質の滋養を十分に受けることができれば、精神活動は安定する。 病理:生理物質による滋養が不十分であったり、内熱・瘀血・痰湿などにより生理機能が阻害されたりすると、精神活動に影響を及ぼし、健忘・情志の失調・意識障害などが起こる。 感覚と運動を主る 生理:感覚および運動機能は脳に帰属されており、脳の機能が維持されることにより、見る・聞く・嗅ぐ・言う・動くなどの活動を正常に行うことができる。 病理:脳の機能が失調すると、その程度に応じて感覚障害・言語障害・運動障害などが起こる。 腎精から化生された髄がおさまる場所である 生理:脳は髄海と呼ばれ、精から化生された髄によって耐えず滋養されている。髄が脳を十分に滋養することにより、精神活動は安定し、よく見え、よく聞こえ、身体も壮健となる。 病理:精が不足し、髄を十分に化生することができず、髄海を養うことができないため、目眩・耳鳴・健忘などが起こる。 ーーーーーーーーーーー それにしても、西洋医学はほんとに細かいですね。 それでもって、数冊しか文献に当たれていないのと、心・腎・精・神などについてあまり読み込めていないので もう少し深めていきます。 参考文献 『新版 東洋医学概論』 医道の日本 『やさしい中医学入門』 関口善太 西

足など

足 細かいことは書きませんが、これから足への理解を深めていきたいと思います。 自身の体の使い方と経穴の理解も深まる気がしています。   刺したとき さっきの話とは別ですが、自分の足で実験で刺した時に何を感じるか。 もっと捉えれる様にしていきます。   先生 どの仕事でもそうですが、その中でも緊張が多い大変な仕事だと思う。 色んな事を考えなかればいけないし、責任が生じる。 同じ重圧を受けていても感じ方は人それぞれだと思いますが、この間みせて頂いた方にとっては負荷がかかるだろうなと感じました。 様々な不安も重なっているのかもしれない。   勢い 何かをする時、内容を伴わずに自分が作った勢いに乗ってどうにかしようとする。 今の自分にとっては特に気をつけなければいけない部分。

火の神様 

コロナ禍になった頃から、時間を見つけては山歩きに行くようになりました。 私にとって山を歩く事はいろいろ得るものがあります。自然の領域に入る事で何となく心が癒されたり、その時の季節を強く感じることができますし、家に帰ってきた時にクタクタになりながらもある種の達成感をを得ることもできます。 今回は日頃からの運動不足の解消と、下半身を鍛える事が目的の一つです。私が行く山道はそれなりに舗装はされていますが、足元がでこぼこしていて、当然坂道や下り坂だったり、いろんな形の道があるので、身体を上手く使わないと転んだり滑ったりもしないとも限りません。それも山を楽しむ醍醐味です。 疲れにくい歩き方というのが、身体のどこに重心を置くかという事にもつながっているように思います。だんだん山歩きに慣れてくることができたら、身体の使い方も上手くなるのではないかと思っています。 今日は嵐山の方にある愛宕山に行きました。山頂には愛宕神社があり、火伏せ、防火に霊験のある神社として知られています。 今回で3度目の参拝になりますが、なかなか登りがきつく、階段が多い参道なので、毎回登りが多い前半は来てしまった事に後悔します。やはり今回もそんな気分にさせられました。 そんな道ですが、小さなお子様を含む家族連れやご年配の方々なども登っています。 そういう光景を見ては励まされ、なんとか登りきりました。 そして神社に到着し、「火迺要慎(ひのようじん)」と書かれたお札を無事授かることができました。 また来年まで自宅の台所に新しいこのお札を貼っておきます。

「10/7(日) 学生向け勉強会」の感想

講師は、盧先生より学びました。 私は現在、鍼灸学校の2年生です。 日々、書物を目にしたり妄想を繰り返したりする日々を過ごしておりますが、 「自分なら、○○なのかな~」とシュミレーションをしたりもします。 それが1年生とは違うところと感じています。 書物などを読み進める上で再確認できたのが、”帰納”と”演繹”。 【帰納】 個々の事例の観察より、これを含む一般命題を確立する事。 一つの症例より他の患者の症例も、このケースであろうとする。 【演繹】 1つまたはそれ以上の命題より、論理法則に基づいて結論を導出する思考の手続。 学術論議を症例を元に構築していき、結論を推定する。 本日学んだ事の一つで重要な事だと感じています。 歴代医家たちのカルテの集積が、症例集であって絶対的な答えではないのだろうと思えます。 学術的に議論の構築を進めることも重要に思いますし、 現実の臨床を繰り返すことと、歴代医家たちのカルテの集積とを見比べることも 精度を高める為に必要な事なのかと思います。 今年のノーベル賞受賞者の本庶佑博士は、記者の質問に 「・・・教科書に書いてあること、文字になっていることを信じない、疑いを持つこと」 と答え、有名な論文雑誌も疑う対象の例外ではないと強調されています。 「自分の目で物を見る、そして納得する。そこまで諦めない」 とも答えらています。 考えていた事と学んだ事がリンクする機会が多かったように自分では思いました。 座学をし、二礼二拍手の効果を実感し、病床にて臨床実技をし、、、 時間のある限り、幅のある講義を試そうされていた様に思います。 お疲れ様でした。次回も楽しみにしています。 最後になりましたが、機会を頂いた院長にお礼申し上げます。 平成30年 秋 稲垣 英伸

EBV

■EBウイルス(EBV:エプスタイン・バール・ウイルス) 国家試験は終わりましたが、確認の為に調べておりました。 今までは出題中の4択より1つを見つける知識に重点がありましたが、国試が終わって疾患を調べていると、欲しい情報が異なってきます。 例えば国家試験を見てみると~ (科目でいえば”衛生”や”病理”で出てきやすいのですが) 【過去問】 ウイルスが原因となる腫瘍はどれか? 1、甲状腺腫瘍 2、バーキットリンパ腫 3、ウィルムス腫瘍 4、グラビッツ腫瘍 《正解 2》 1、甲状腺腫瘍←ヨウ素不足、腺腫誘発物質の過剰摂取など 2、バーキットリンパ腫←EBウイルス 3、ウィルムス腫瘍(腎臓がん)←遺伝子異常など 4、グラビッツ腫瘍(腎細胞がん)←喫煙、高血圧、肥満、長期透析など キーワードとして、EBウイルスに関しては 『伝染性単核球症(B細胞にEBウイルスが感染)、バーキットリンパ腫、上咽頭がん、キス病』 ぐらいの知識が把握できていれば、正とするのか、誤とするのかは対応できると思います。 しかし、実際に疾患をお持ちの患者さんが来られたら、 国試のテクニックではなく、悩みに寄り添える知識が必要になってくるな・・と、 因みにバーキットリンパ腫を発見したのはデニス・パーソンズ・バーキット。 イギリス軍の外科医として植民地のアフリカで従事する際に、ウガンダで子供のリンパ腫と出合い、発見することになります。 そこから地理学的相関関係を調査する為に1万5千キロに及ぶ調査を行い、地域分布を調べる事となります。   ■戻気(れいき) 戻気は、癘気(れいき)・異気・疫気・疫毒・乖戻の気(かいれいのき)とも呼ばれる生物要因。 六淫以外の発病要因で、自然界あるいは生物体内に存在し、生命力と発病作用を備えおり伝染性と流行性をもつ。 『素問』   刺法論篇      「五疫の至るや、みな相染易し、大小を問うなく、病状相似たり」 『諸病源候論』疫癘病候篇     「病は長幼の別なく、ほとんどみな似ている」 『温疫論』  原病篇       「この気が来ると、老幼や強弱にかかわりなく、これに触ったものは発病する」 『温疫論』  原病篇       「都市に発生するものもあれば、村落に発病するものもあり、ほかに安全なところはない」 『温疫論』  原病篇       「邪は口鼻から入る」「呼吸する間に、外邪はこれに乗じる」 『諸病源候論』温病令人不相染易候篇「人が乖戻の気を感受して発病すると、病気は伝染し、ついに一門が滅亡し、外部にまで及ぶ」   【参考文献】 『中医病因病機学』東洋学術出版社

最近感じている事

主体性と他力 遠くを感じるためには真っ直ぐそこに向き合わないと到達できない。 また、真っ直ぐになれたとしてもどこまでいけるか? 最終的な主体は自分だけども、自分だけの力では限界がありそうな気がする。 人は個体としていきなり出来上がったわけではなく、天地の交流から生まれた。 生きている間も色んなものを頂いている。 足元が浮ついていれば交流も途絶える気がします。 足の裏の勇泉、掌の労宮。 何かあるのかと気になります。 木が育っていくためには根が必要なのと一緒なのかな。 それにしても桜が散った後の新緑は元気です。 勢いを感じます。   先読み 歩行者を見ていて、あの人今からあの方向に行くのかなとか観察して勉強。 遠めの人の方が分かりやすい現象も勉強になります。   縮こまる 知識に捉われると大きな動きが出来なくなる。 溶け込むことが大切だなと思います。 自分も大きな流れの中の一部といった認識でいることにしてみました。   入浴 最近風呂に入る時電気を消して入っています。 静かさが増すのでとても良い感じです。 周りのザワつきは単純に騒がしい事もあるけど、自分が騒がしい事もある。   春の空気 浮ついているというか、フワフワしてる気がします。 今年は花粉がスゴイらしいのですが、例年に比べてそういった部分はどうなんだろうと気になっています。   歩くテンポ 現代人は急ぎすぎている。 早歩きしている時とゆっくり歩く自分の差も勉強になってます。 ゆっくりするからノロマになる訳でもないと思います。  

湿が熱化することについての疑問点

湿熱証は湿と熱が合わさった状態で人体に入り、病になっている。 湿や熱が蘊結(こもって停滞する)、薫蒸(いぶすこと)して起こる。 湿も熱も気の1つ(?)で口鼻から人体へ侵入する。 前回のブログを書いた時には皮毛から湿邪が侵入するという風に書いてあるのを読みましたが、口鼻から侵入する湿、熱と、湿邪は別物なのか? 湿邪が体内でこもって停滞し熱が生まれることと、脾胃の湿から熱が生じるというのは、 前者は外からの要因によるもの、後者が内からの要因によるもの、という認識でいいのか。それともどちらも体内で起こっていることで、単純に湿→停滞→湿を解消するために熱化する、ということなのか。 熱化することで、体内に分散させて湿をなくそうとしている、ということなのか。 (でも熱化することで、津液が少なくなる、臓腑の機能が失調する、などの問題も生じれば、熱化は身体にとっては良くないことになってしまうような気も・・・) 湿熱証の性質は「湿」ではなく「熱」という記載もあり、2つが合わさっているのに性質が熱というのは、熱の方が湿より強い、ということなのか? 確かに湿のことだけを考えていると湿が強くなることで熱化し、熱が発生してから熱が弱から強に変化していくようなイメージになってしまって湿と熱を同列にしているとやはり変な感じもあります。 【memo】 ・〇湿が熱化→湿熱に転じる ・脾胃だけで熱化を考える ・熱の影響