学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

風寒邪の咳嗽から穴性を学ぶ③

前回の続きです。 中医鍼灸 臨床経穴学 P25 「風寒外束、肺失宣降(風寒の邪による宣降失調) 症状:喉が痒い、咳嗽、痰は稀薄である。鼻閉、鼻水。声が重い。または発熱、悪寒、頭痛。無汗。舌苔薄白、脈浮など。 処方:中府、風門、大椎(瀉)…疏風散寒、宣肺止咳。」   まずは中府について考えてみます。 中医鍼灸 臨床経穴学 P 24 「肺臓の病証では多くの場合、この募穴に圧痛または異常な反応が現れる。本穴は胸部、とりわけ肺部疾患を治療する常用穴とされている」 同書籍 P 25 「本穴には、清肺宣肺、肺気を調節する作用がある。また咳による胸痛があるもの、本穴の所属部位に圧痛のあるものなどを治療することができる」 穴性学ハンドブックp 31・152 中府(瀉)…宣肺理気 「肺は全身の気を主る。もし寒邪が外束したり 内熱が上を侵すと肺気は その宣降作用を失い 咳嗽し 喘息し 胸満して 脹痛する。 中府は 肺の募穴であり 手足の太陰の会で 穴は胸膺にあり よく上焦を宣発し 肺気を疏調する。 肺気が郁遏される毎に これを鍼し 気を行らし 血調えれば 痛み止まり 胸満感を消すことができる」 つまり、 中府が治すものは「肺が宣降失調を起こして起こす咳嗽」であり、 中府単独で用いても一時的に咳は楽になるかもしれませんが、風寒邪を取り払う事はできないと思いました。 中医鍼灸学の治法と処方 P132 を見ても 発表散寒法 「配穴処方:大椎・風門・風池・合谷・復溜 随症加減:咳嗽ー肺兪・膻中を追加。」 とありました。 肺兪と中府は腧穴・募穴の関係にあり、共通点も非常に多い経穴で、共に肺失宣降に用いられる様です。 この随症加減と同じで、風寒外束の表寒証であっても、肺失宣降が起きていなければ決して使う必要がないのではないかとも思いました。 また、風寒外束で肺失宣降が起きていれば 「中府を触ると痛い、もしくは異常な反応」 が起こりやすい事も分かりました。 鍼灸学 P230では 陽性反応穴「陽性穴は兪募原穴の部位に現れることが多い…陽性反応穴は、臓腑の経絡体表における反応である。この陽性の経穴を刺激すると、臓腑の機能を調整することができる」 との事なので同じ意味かなと感じました。   参考文献: 中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 李世珍著 穴性学ハンドブック たにぐち書店 佐藤弘監修 伴尚志編著 中医鍼灸学の治法と処方 東洋学術出版社 鍼灸学 東洋学術出版社  

火の神様 

コロナ禍になった頃から、時間を見つけては山歩きに行くようになりました。 私にとって山を歩く事はいろいろ得るものがあります。自然の領域に入る事で何となく心が癒されたり、その時の季節を強く感じることができますし、家に帰ってきた時にクタクタになりながらもある種の達成感をを得ることもできます。 今回は日頃からの運動不足の解消と、下半身を鍛える事が目的の一つです。私が行く山道はそれなりに舗装はされていますが、足元がでこぼこしていて、当然坂道や下り坂だったり、いろんな形の道があるので、身体を上手く使わないと転んだり滑ったりもしないとも限りません。それも山を楽しむ醍醐味です。 疲れにくい歩き方というのが、身体のどこに重心を置くかという事にもつながっているように思います。だんだん山歩きに慣れてくることができたら、身体の使い方も上手くなるのではないかと思っています。 今日は嵐山の方にある愛宕山に行きました。山頂には愛宕神社があり、火伏せ、防火に霊験のある神社として知られています。 今回で3度目の参拝になりますが、なかなか登りがきつく、階段が多い参道なので、毎回登りが多い前半は来てしまった事に後悔します。やはり今回もそんな気分にさせられました。 そんな道ですが、小さなお子様を含む家族連れやご年配の方々なども登っています。 そういう光景を見ては励まされ、なんとか登りきりました。 そして神社に到着し、「火迺要慎(ひのようじん)」と書かれたお札を無事授かることができました。 また来年まで自宅の台所に新しいこのお札を貼っておきます。

山楂子など

山楂子 実験として無理して食事を大量に摂取。   やはり次の日は大ダメージ。   症状として気になったところは鼻詰まり・咳・軽い腰痛・股関節痛   舌下静脈が浮き出て、脈は沈気味になった。   行った実験は山楂子を大分多めに摂取。   気になる原穴付近にも体感として反応あり。   勿誤薬室方函口決には浄府湯という処方がありますが、ここで大切なのは山楂子だと思いました。   ネットでは処方構成、文章を確認しましたが今手元に本がないので、また原文を確認したいと思います。   とにかく身体への現れ方がとても勉強になりました。   命 生命の危機に瀕したとき、人間は一番能力を発揮する。 最近そう思う事が増えました。   事象 東洋医学を考えるとき、文字面になってはいけない。 一定の揺らがない法則があり、それは日常の現象でも当たり前に観測される。 人間も自然の中の一部なのだからそれは当てはまる。 そのイメージを持ってくると見えてくるものもあるのではないか。 そう考えてみています。   環境 沢山の勉強をさせて頂いている本当にありがたい環境にいるなと思います。 発見があるとやはり嬉しいし、拡がってくる。 しかしそうなった時に怖いのが自分。 それが日常になっては絶対にいけない。 自分自身で非日常にする努力を行うべきで、そこに甘えてしまう事は本当に恥ずかしい事だと思います。 自分なんて碌でなしを肯定するわけにはいかない。

五行大義(04)

稼穡 土爰稼穡。稼穡者、種曰稼、歛曰穡。 土爲地道、萬物貫穿而生。故曰稼穡。 土居中、以主四季、成四時。 中央爲内事。宮室夫婦親屬之象。 古者天子至於士人、宮室寝處、皆有高卑節度。 與其過也寧儉。禹卑宮室孔子善之。 后夫人左右妾媵有差、九族有序、骨肉有恩、 爲百姓之所軌則、則如牝。 順中和之氣、則土得其性。 得其性、則百穀實、而稼穡成。 如人君縦意、廣宮室臺榭、鏤雕五色、罷盡人力、 親踈無別、妻妾過度、則土失其性。 土失其性則氣亂、稼穡不成、故五穀不登、風霧爲害。 故曰土不稼穡。 土は稼穡。稼穡とは、種を稼といい、歛を穡という。 土は地道。万物は貫穿して生ず。故に稼穡という。 土は中にあり、四季を主り、四時を成す。 中央を内事となす。宮室、夫婦、親属の象なり。 古なる者、天子から士人に至るまで、宮室、寝処、皆が高卑の節度を有する。 その過を興するよりは、むしろ倹なり。禹は宮室を卑し、孔子はこれを善とす。 后、夫人、左右の妾媵に差を有し、九族に序を有し、骨肉に恩を有し、 百姓の軌則のところとなす、すなわち牝のごとし。 中和の氣に順じ、すなわち土はその性を得。 その性を得れば、すなわち百穀を実して、稼穡をなす。 もし人君の意をほしいままにし、宮室、台榭をひろめ、五色の鏤雕、人力を罷つくし、 親踈に別を無くし、妻妾の度を過ぐれば、すなわち土はその性を失う。 土はその性を失えば氣が乱れ、稼穡ならず、ゆえに五穀を登せず、風霧の害をなす。 ゆえに曰く、土は稼穡せず。 【参考文献】 『五行大義』明德出版社 『漢語林』大修館書店 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

一年経過

一鍼堂の寺子屋でお世話になり始めて、今月で1年が経過しました。 この一年の時の流れが早かったのか遅かったのかどちらか改めて振り返ってみて、どちらなんだろうと考えてみましたが、正直即答できる感じではなく、ハッキリわかりませんでした。 早かったように感じますし、遅かったようにも感じます。 ただ充実した1年であったのは間違いないです。 1年を通して、こんなに鍼灸の勉強に向き合ったことは今までになかったと思います。 これもひとえに、一鍼堂という学びの場に参加できたことに尽きると思います。 何かを学ぶ際には周りの環境がとても大事だと思いますし、特に私の場合は自分の意思や決意が軟弱なので、すぐに自分の甘い心に負けてしまいがちです。 でも一鍼堂での院長や各先生方、スタッフの方々の鍼灸に対する向き合い方にプロ意識を強く感じますし、そんな空間に自然と触れていると自分も精進して行きたいという強い気持ちが生まれてきます。 それに他のワクワク感を抱いた優秀な寺子屋生の皆さんと交流することで鍼灸に対する勇気や希望など、とてもよい影響を受けることができます。 只々、今の心境は、この場に居させていただくだけで大変ありがたい気持ちでいっぱいです。  

舌の観察 その2

家族の舌を引き続き観察。 ぎっくり腰になった日だったので、舌以外も観察し原因となるものは何なのかを考えてみました。 【舌】 舌尖:紅色 舌中:裂紋苔 乾燥→津液不足 痩薄→熱盛傷津 舌裏の静脈がはっきりしている→瘀血 【脈】 実脈?浮脈?しっかりと力のある脈 【腹診】 ぽちゃぽちゃ音がする以外はよくわからなかった。 下痢している。 背中に熱をもっていて触るとすごく熱い! 背中の色もところどころ暗いところがあり→瘀血 背中の質感はかさかさしておらずしっとりしている。あせもがありかゆみがひどい。左腰のはりが強い。 ぎっくり腰になる1週間前に口唇ヘルペスを発症しており仕事の忙しさからの疲れがあり。→脾胃の弱り? 脾胃の弱りから熱が生じて津液が不足? 瘀血はどこから?? まず脾胃を立て直せば良いのか? 経過観察していきます。

重心

=========================== 2021/09/23 『重心』 先日自分の立ち姿を写真に撮ってもらった際、その腰の入っていない具合が、重心が下りていない様が、露骨に写し出されていた。脈診のときに指導された内容にも通じる。生活態度から諸々見直す必要あり。 =========================== 2021/09/24 「鍼治療を受けて」 初めのて治療をうけた時は(数年前)は見つけた反応に名前をつけようとしていた。たらだの表面をぞわぞわ動くそれを衛気の動きなのかと考えたり… いまは、からだのうえに今回はどんなことが起きるのかを待っている間が貴重な時間で、予想とか期待とか、なくなってきた。 置鍼中のからだの動きは、何週か似た展開のこともあるが結局は、新しいものに切り替わる。 =========================== 2021/09/25 「先輩から」 具体的に書けませんが、忘備録として。 “それ”では単に経絡の操作になってしまうー ありがとうございました。自分のやっていることに対する客観的な視点が少し補なわれた気がします。 =========================== 2021/09/26 「七情」 学生の頃から、そして今も疑問に思っている。そんな極めて強い作用でなくたって常に影響を受けているだろうと考える。5種(7種)の分類を、それで取りこぼすもの置いても優先するのにどんな背景があるのか。そして何より、感情とセットになっている信念との話抜きにして語れないのではないかという点。 いまの疑問を疑問としてー

難経十六難

先日、難経十六難を読みました。 印章に残ったところを書き留めてみます。 肝は色を司ります。 色は眼を喜ばせる原因となるもので、目は鮮麗なもの(鮮やかで美しいもの)をみるのを好みます。これが人情です。 →ふむふむ 芸術肌の人は肝タイプが多いのかも知れません。あくまでも個人の感想です。 肝が病んでいる時は、肝の本質的な性質が現れて、浄潔なもの(清浄で清潔なもの)を喜ぶようになります。 →いたって普通ではないでしょうか。これも人情だと思います。不潔で汚いものを好む人は少ないと思います。ひょっとして病んでいる時だから偏って過剰に好むようになるということでしょうか。例えば潔癖症みたいな感じ? 怒りは自分の思いと異なる時に表れます。自分の思いは陽であり、それと異なるものは陰です。陰が陽を抑える時、陰中の陽となり、春の少陽の状態と合致することになります。陽が抑鬱されると逆します。怒りは逆上の気ですので、肝木の本気が現れたものと考えることができます。 →肝気が条達できるように、自分の思いも大切にしてあげないといけませんね。 『難経鉄鑑』第十六難 たにぐち書店より引用

風邪の引き始め、切り替え

  風邪のひき始め 涼しくなってきました。 でも未だに人によっては暑いという人がいる。 クラスでも空調が未だに24くらいに設定しようとする人も。   当然寒いので風邪をひきかけた。 症状としてはまず悪寒・鼻水(量多め)・喉のイガイガ・脈緊。発熱がないからか、浮いてはいない。 典型的な小青龍湯証なのでお湯で服用て暖かい服を来た。   じんわり汗をかき、暑くなってくる。 薬によって反応する穴はどこだろうと探ってみる。 申脈がかなり熱を持ってきた。 理論的にも説明がつくし、勉強になる。 あくまで肺は邪気の付着部位だなぁ。   昔の人は「手首足首を冷やさないよう」と言っていたけど、そういう事かと納得。 首にネギも実は理論的な気がする。 今度同じ状況で反応があったら申脈試してみよう。   発汗が終えると喉の痛みと緊脈は消えたので、一旦は凌いだ。 でも、膀胱経にムチを打って働かせたという事は背景にある腎や他臓も弱める。 実際腹部にも出ている気がした。   他気になる変化として、ふと手のひらを見たら左手の労宮がゲッソリしてたのだけど、これは薬の反応なのか。 気になります。   切り替え 最近いい経験ができている。 この状況で頭を使うのは仕方ない。 それは使うべきところだと思う。 今の課題として、その状態から治療に移る時、一気に切り替える精度の高い方法を模索中。   自身の一つの状態確認法としては、周りの音がどう聞こえているか。 そこである程度確認できるので、いい状態に一瞬で持っていける様にしたい。  

寺子屋で

3月23日(水) 患者さんの舌の観察をしました。 患者さんにお会いする前に、先生の許可を得てカルテを見せていただき、主訴から舌の状態を想像しました。 歩くと息が切れて疲れやすいということから、見た目は弱々しく舌色は淡白舌で舌体は痩せて小さい、 気虚のイメージで考えていました。 実際は、 全体的に絳紫色を帯びた地図舌、ところどころ凸凹と丘のような形状がみられ、舌下静脈の怒張あり。 細身ではありますが弱々しい感じは全くなく、はきはきしたキャリアウーマンという印象でした。 息切れして疲れやすい⇒気血が不足している⇒淡い舌色と思いこんでいましたが、 実際の色は紅が強く熱を帯びていた。 舌下静脈の怒張から瘀血があるため気血のめぐりが悪くなり、 それが息切れや疲れやすさの原因になっているのか。その瘀血はどこからきているのか? 地図舌や凸凹な形状は何を表しているのか? 次回、経過がわかればまた考察します。