学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

練習会にて

先日、寺子屋生だけの練習会でのこと。 お互いを治療し合いました。 その際、上巨虚に鍼をしたのですが、受け手の側の人が置鍼の間、身体の中で起こるその刺激の行方を追っていたみたいで、足から徐々に昇って骨盤の辺りが腰も含めて温かくなったと言っていました。 その後、続いて公孫に鍼をしたところ、腰までの広がりが、首の辺りまで登ってきたそうです。自身で鍼を受けるのはそういう意味でもすごく勉強になるとも言われていました。 実際、自分自身では感じることができない感覚なので、私もその話を聞いて勉強になりました。 今まであまりそういう感覚の話は聞いてこなかったので、寺子屋でお世話になるようになってから、そんなものなのだなと知るようになり、一般の患者さん側にも普通に感じる人は感じているんだと認識するようになりました。 いつか私にも感じられるようになるといいのですが、やっぱり持って生まれた体質的な要素が大きいのでしょうか、今のところ不明です。

分かりません禁止令

切診をさせていただく機会が増えました。 お腹の段差は何なのか。 右が辛いと主訴に対して左が硬い。 左足は凹んでいて痩せているのか。 右足は脹りがあり硬直している。 果たしてどちらが正常なのか。 どちらも正常ではない可能性もある。 下野先生に「何か感じましたか?」 と聞かれても、「分かりません」としか言えず、治療後の変化を診てから考えることにしました。 治療の後に切診してお腹や足の寒熱、凹凸、肌の色艶、左右差など変化を診ることで、初めて施術前に切診したお腹の段差と硬いものが邪だったことを知りました。 痩せていた左足は肌肉にふくよかさが出て左右差がなくなりました。 下野先生の問い掛けに「分かりません」と答えてしまったことに、寺子屋の帰り道ずっとモヤモヤする自分… 「分かりません」と答えてしまうと自身の思考を止めてしまい何も生み出せない。 次回から間違ってもいいから感じたことを先生に話していきます。 治療前と治療後の変化、手や指のセンサーを作りながら気付きと文献を照らし合わせながら積み重ねていこうと思います。
開放感

体表観察で

2021/03/31 練習で先輩の体をみせてもらった 腹部、手、足と順にみせてもらう中 両足で足部外側、踵から第5指にかけて(膀胱経の走行と一致) 著しく冷えている状態を観察した(はじめて観察した所見) 足底の一部、足首(アキレス腱のあたり)にも 冷えは感じられたけど、こちらは、もやりと感じる程度の柔らかい冷え 足の外側のラインの冷えは、触れる手が痛い、 「固い」冷え方、というか 短期的に生じたものでないものに思われた 昨日観察した内容を振り返るなかで、 2つは、冷えとして括ることはできても種類が異なるものといま、考える なぜあんなに風に冷たくなるのか 仮に足首から下をしばらく冷水に曝しても、あんな冷え方はしない 流れ、道筋における不良があるためとするのが妥当か? 他の可能性は? その時には、 別の所見で唇が乾燥していること、自覚症状に喉が渇きがあること などもあわせて注目していたが そもそも経絡の疎通に問題があるだけで、あの様な固さと伴う冷え方を 体は呈すものなのか? 鍼を打たせてもらった後にも、その部分の所見に変化は見られなかった この後、どのように変化していくのか
緑地公園の桜

症状の記録として②

2021/03/18 前回記した不眠の症状について、この数日で動きが見え始めたので経過を記録 ・夜間覚醒時に自汗、煩悶などを伴う激しい熱感あり(発症当初はこの連続だった) ・依然として目覚めてしまうが状況に変わりはないが、暴れるような熱感はなく  落ち着いている(しばらくすればまた眠れる) ・落ち着いている、が再度入眠できない。仕方なく起きて活動を開始する(昼間眠たくなる) ・朝方に目覚めて、そういえば夜間1度か2度起きたなと思い出す (夜間に「また起きてしまった」と考えは抱かず精神的な負荷が少ない)  ・それまで長く眠れても3時間くらいだったのが、5時間半くらい眠れる  何より起床時の安心感というか体の充実感が違う 日ごとに見ると、一進一退で改善に向かっているのか分からず 精神的にもしんどく感じる期間がありながら、 大きなスパンで経過を振り返って見ると、点が線に繋がり緩やかなカーブで 調子を取り戻していることが分かる 刻々と変わる 移り変わる 同じでない 急性の症状だけでない、 こうした緩やかな症状においても 細かく見れば変化の仕方はダイナミックであることを体験的に認識 教科書的には陰虚の時には舌苔が少なくなって現れるとある 自分の体を通してみた時、 紫舌にびっしりとついた膩苔に黄苔が載ることが多い普段の状態が 朝まで問題なく眠れた朝には、膩苔はなく程よく潤った舌体には歯痕も少なかった

臓腑について学ぶ(01)

肺 上焦にあり、静粛下降の役割を持つ 気や水液が下降し全身を巡る事によって五臓の気機は昇降のバランスを保つ。 《肺が粛降機能を失う阻害要因》 実の病理変化:外邪や瘀血痰湿などの病理産物により水道が塞がる→痰水壅肺 虚の病理変化:虛寒などにより津液を宣発散布することが出来なくなる→肺虚失制 【痰水壅肺】 息切れ・咳逆・喘息で横になれない。胸脇満痛。飲邪の氾濫による水腫。など 【肺虚失制】 遺尿・頻尿。など ーーー関連領域より病理を考えるーーー 鼻・涕:鼻閉、鼻汁。呼吸や嗅覚に影響あり。 皮・毛:易感冒。皮膚の乾燥。掻痒感。 魄  :感覚・運動・情志などの本能的な精神活動の失調。 憂・悲:憂う。悲しむ。 辛  :気の消耗や熱化。大腸の機能に影響あり。 【参考文献】 『中医病因病機学』東洋学術出版 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

勝負

「患者さんが鍼灸院に入った時からが勝負です!」と下野先生からの一言。 一挙手一投足、速度、歩き方、手つき、表情、声色、姿勢、皮膚の色、身なり、体型… 私は舌や脈に固執していた事に気付きました。 院内はもちろんのこと、街でも、学校でも。 意識して目を養うこと、記録すること、真似ること、毎日が勝負です。 心がけていきます!

思うこと

先日、院長のお宅にお邪魔して寺子屋生の勉強会を行いました。 雨の止んだ敷地内の森は芳しく、藪椿が点々と地に落ち、小川のせせらぎと鳥の声だけが聴こえる。 自然の中に身を置き学びを得ることに喜びを感じました。 薪は程よく乾いているから火が着く。 木の水を吸い上げる力が土砂崩れを塞いでくれる。 水たまりができている。 小川が流れている。 それができなくなったらどうなる? 大阪のような町に住んでいると自然の中に生きる人間としての存在を忘れていくのではないでしょうか。 『鍼灸医学における実践から理論へ 「北辰会」は何をアピールするのか パート1  藤本蓮風著』 子どもの頃、都会に出るといつも発熱して、目や音や匂いに酔い、逃げるように奈良に帰りました。今でも、偶に都会でいいと思います。 五官の感情は情志と外界を連絡する橋であるとして、「耳目が音や色に惑わされれば、五臓は動揺する。 五臓が動揺すれば、血気が騒いで溢れる。 血気が溢れれば精神を平静に保つことができず暴れ出す。 精神暴れ出せばあらゆる状況に対する判断力がなくなる」淮南子 『中医病因病機学 宋鷺冰 主編』 感覚を刺激すると魂は混乱する(中略)刺激によって人は、本当の問題から目を背け、目を背けるという事実からも、目を背ける 『老子の教え あるがままに生きる 安冨歩著』 ホースで水を撒きながら水を出したりあえてホースを踏んで詰まらせて脈はこんなんかな。 ゴロゴロしてコンロの火を消し忘れて煮詰まった鍋を見ながら瘀血や湿はこんなふうにしてできるんやろうか? ベーコンを仕込みながら次第に肉がこんなふうになるんやなと。 ハンバーグを焼きながら舌を思い浮かべました。干からびた苗木を見て、気血が巡らないと肌肉とはこういうことを言うのか。 初めて手にした鍼灸の本は「鍼灸真髄」だったのですが、澤田健氏が教えを請いに来た代田文誌氏に「ただこの表見といたらだんだんわかるようになってくる!」 と五行色体表を示したと書かれていたのですが、自分で検証してみると面白いです。   2年生になりこの違和感は何なのか、3年になりより一層違和感を覚え、言葉に出来ずにいました。 自然と人間が一体であって、自然の中に調和しながら自然と共に生きている人間こそ人間として見るという思想が働きているからなんです。 もしこういう思想を度外視して東洋医学をやるならばいびつなものになっていく。 『鍼灸医学における実践から理論へ 「北辰会」は何をアピールするのか パート1  藤本蓮風著』 そうやな、「人間を人間として見ない」からや。ようやく気持ちの整理がつきました。 私はそうありたくないです。 内経は、情志を「恬淡虚無」の状態に保つことによって精神異常を予防するよう提案した。 『中医病因病機学 宋鷺冰 主編』   世界を見る態度から、余計な考えをすべて取り除き、ただ虚心担懐に受け入れる。 その態度を極限にまで徹底させた状態を、「冷静さをどこまでも保つ」という。 『老子の教え あるがままに生きる 安冨歩著』 老師の教えを読み、一鍼堂に身を置いて見て感じて東洋医学の世界に染まり、益々面白くなってきました。 「川の水は凍らへんけど池は凍る」 一鍼堂で交わされる何気ない会話にふと気付かされることが喜びで、この環境に身を置けたことが幸いです。

舌診(06)

舌形について整理する 【舌形】 老 粗糙(そそう) :舌面の紋理のきめが粗い。 堅斂(けんれん):舌体が堅くしまった感じ。 蒼老(そうろう):色が濃い。 嫰 細膩(さいじ):舌面の紋理がきめ細やかで潤いがある。 浮胖嬌嫰(ふはんきょうどん):舌体がはれぼったくて柔らかい感じ。 胖大 舌体が正常よりはれぼったくて大きく、舌を伸出した時に口の幅いっぱいになる。 腫脹 舌体が堅く腫脹し、甚しければ口腔内を満たしたり、 口外に出たままで回縮・閉口ができない。 歯痕 舌体の辺縁に見られる歯による圧迫痕。 痩薄 舌体がやせて小さくなったり薄くなったもの。 裂紋 陰血が不足して舌面を栄潤できなかったり、陰津の散布を阻滞したりして発生する。 苔のみの裂紋と混同に注意が必要。 光滑 舌面に苔が無く乳頭が消失し、光ったように見える。 点刺 点は紅・白・黒色を呈し舌面の点状隆起であり、熱入営血や心肝火旺などを示す。 刺は舌面に立ち上がった軟刺や顆粒のことで、気分熱盛や胃腸熱盛などを示す。 瘀点、瘀斑 舌面より隆起しない斑点で、点状のものを「瘀点」、斑状のものを「瘀斑」という。 紫舌と同意であったり、熱入営血での斑疹出現の前兆であったり、血瘀であったりする。 舌下脈絡 舌下静脈の怒張・蛇行があれば気滞血瘀の可能性。 重舌、舌衄、舌癰、舌疔、舌瘡、舌菌 ・重舌 腫脹などにより小舌が生じたように見えるもの。 小児などにみられ、心経化熱の上衝によったりする。 ・舌衄 舌面からの出血で、血熱妄行や脾の不統血。 ・舌癰 舌面の化膿症で大きく腫脹するのが”癰” ・舌疔 舌面の化膿症で紫色であったり小豆大であったりするのが”疔” ・舌瘡 舌面に生じるアフタ。 ・舌菌 舌面から隆起する新生物。 【参考文献】 『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版社 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

ミート、霊道、名前

  ミート 体の使い方の件で、なぜそうするかのイメージが繋がって発見がありました。   要領はサッカーのキックと共通する部分も多いにあると感じて発見がありました。   ただ、その前段階で患者との信頼関係が出来上がっていないと相手も反応してくれないと思うので 色々感じ取りながら、向き合いながら相手を主体にやっていこうと思います。     霊道 患者さんの状態を観察させて頂いきました。 成因についても教えていただき、またそれがなぜ起こるか。 穴から背景が見える現象が勉強になりました。 その時の患者さんの様子も覚えておこうと思います。   名前 その場所にいる時はどういった自分でありたいのか。 自分のスタンスを表す名前にしたい。 一つは「貞」を盛り込みたいと思います。   意味は二つの意味で一つは自分のためで、もう一つは医療人としての意味を込めました。   自分のための意味としては   貞には「定」という意味があり、精神が安定して惑わされないという意味もある。 頑固になる訳ではなく、一つ自分の核を持って物事に向き合いたいと思います。 堅物になりたい訳ではありませんが、奥底にはいるべきものを納めて浮つかないようにしたい。   医療人としての意味は易学の乾元亨利貞から取りました。   この意味を表す前置きとして、 「尚書」の「天一生水、地二生火」 の言葉があり、 万物発生論としてまず水が生まれたとの考え方が私は好きだからです。   菅子でも 「人は水である。男女の精気が合し、形となったものである」とあり、水に人間を例えています。   水は坎水なので、坎を探ると陰の画象、陽の画象、陰の画象で出来上がっている様に中に陽を宿す。   その水が生まれる前段階として 乾(純陽)と坤(純陰)が交わりがあり、 坤(陰)の中に陽(陽)が入ることで水が生まれた。   昔、大変自分に影響を与えた本で火神派ではなく火神派的な医案解説集という本があり、そこには 生命現象とは「無形の陽気」が「有形の陰気(肉体)に宿っている状態」といった内容が書かれていました。   ここで患者さんの生命現象の本質を水の中に宿る陽で見てみた時、 乾の特性である「元亨利貞」は 訓読みで 「元まり亨り利しく貞し(はじまりとおりよろしくただし)」   易経講話 「天の大元気の働きによって、万物は始まり生まれるのである。それが元であり、始まるのである。 それが始まり生まれると、だんだん盛んになり、十分に伸びていくのである。 それが亨であり、通るのである。 盛んになり十分に伸びていくと、それぞれの物が各々そのよろしきを得、その便利とするところを得るのである。 大きくなるべきものは大きくなり、小さくあるべき物は小さくできあがり、太いものは太く、細いものは細く、各々そのよろしきところを得、各々その利とするところを得るのである。 それが利であり、よろしきである。 各々そのよろしきところを得ると、その正しきところを堅固に守って完全に出来上がるのである。 それが貞であり、正しきである。」   これが私には良い状態の人間の一生の様にも感じられ、貞は完成形なので、患者さんの最大限のパフォーマンスを最大限発揮できる貞の状態に持っていきたい。 との意味から貞を選びました。   一文字でいくか、他の文字も入れるか考えてみます。   参考資料 易経講話(1) 公田連太郎 明徳出版社 P141〜146 火神派ではなく火神派的な医案解説集 小金井信宏著 星雲社P26〜35、P108 中国の水の思想 法蔵館 蜂屋邦夫 P148、149  

合谷の穴性「生血」を考える

合谷の穴性について調べてみます。 穴性学ハンドブックでは補で生血の効果があるとの事です。 しかし「補血」ではなく「生血」である事に違和感を覚えます。 血を生み出す効果がある様なので、中医鍼灸臨床経穴学を中心に調べていきます。   P 65 <効能> ③補法:補気固表・益気固脱・益気摂血・行血・生血 湯液における黄耆、人参、党参、白朮、炙甘草、百合、黄精などの効に類似   P 79 「合谷を補すと補気の作用があり、瀉すと行気散滞の作用がある。したがって、気虚のために統血が悪くなっておこる失血証、「有形の血は自ずとは生じず、無形の気により生じる」という道理によって起こる血虚証、気虚による血行障害の病証に対しては、本穴を補して補気をはかると、摂血、生血、行血の作用をもたらすことができる。」   →つまり 「気血両虚の状態で補血だけ行っても自身の血を作る力は回復しない。 合谷による補気を行う事で血を生じさせる力を付けましょう。」 これが合谷の生血なのだと思いました。 実際どの様な使われ方をしているか見てみます。   P 69 「膿は気血が変化して生じる。久瘡には、膿が外溢して気血両傷となるものが多い。または瘡が長期にわたって治癒せず食欲も低下し、さらに膿が外溢することにより気血大傷、正気虚衰となり久瘡がおこる場合もある。 1.瘡面の肉芽の生成が遅い場合 合谷、三陰交(補)…気血の補益」   P229 三陰交 「本穴には、統血、凉血、全身の血分の虚損を補益する、全身の血液の運行をよくするなどの作用がある。」   中医臨床のための方剤学 P260 当帰補血湯 「皮膚化膿証が潰破したのち瘡口が癒合しにくいのは、気血が不足して肌肉の産生が悪いためである。」   医学三蔵弁解 P133 「気血は互いに根ざしていますので、これを気虚とするときにはすなわち血虚しているものであり、血虚するときには気もまた虚しているものです。 治法には標本の区別があります。 気虚によって血虚となっているものは、気虚を本として血虚を標とします。 血虚によって気虚となっているものは、血虚を本として気虚を標とします。」   →生血で血を生むと言っても血虚していれば、三陰交の様な補血の効果を持つ経穴との配穴が必要なのだと分かりました。 他に合谷・血海(補)などの配穴も見られたので、状況に応じた「補血」の効果を持つ配穴を行う必要があるのだと思います。   今のところは 生血=気の血を作る力をつける事で血を補う 補血=血を直接的に増やす事で補う との認識になったのですが、間違っている可能性もあるので一穴一穴を確認しながら調べていきたいと思います。   参考資料 中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 穴性学ハンドブック たにぐち書店 中医臨床のための方剤学 東洋学術出版社 医学三蔵弁解 たにぐち書店