学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

閃めく経絡

以前から気になっていた本を読んでます。図書館で借りれました。 「閃めく経絡」ダニエル・キーオン著 私は今まで東洋医学について記した本で、西洋人が書いた本を読んだことがありませんでした。振り返れば、ほぼ日本人か中国人で、韓国人は1人か2人くらいでしょうか。なのでとても珍しく感じました。ちなみにこの本はアマゾンでも好評価です。 著者はどんな人なのかと見てみたところ、救急診療専門医のイギリス人で、中国に留学して鍼灸を学ばれていたようです。 なので、もともと現代医学に明るく、特に発生学が得意なのか、その知識の上で鍼灸を学ばれて感じたことを掘り下げ、分析して想像した内容になっているのかなぁという印象を受けました。 著者は、「発生学からの知識に数学を取り入れて、鍼灸がどのように作用するか理解するようになる方程式を作り上げる。それは無限に複雑で美しい形であると同時に洗練された単純性を表したものになる。」ということを記しています。 今まで東洋的な言い回しに慣れてきた私には、いかにも西洋的な文面だなと感じざるおえませんが、このような考え方で西洋医学はここまで発展してきたのだろうとも思います。 まだ、この本を半分くらいしか読んでいませんが、著者は「気」とは何か、なぜ「経絡」がこのような配置になっているのかを、人体がどのように発生し、どのように作用しているのかを理解すれば明らかになると考え、発生学の見地から答えを見出そうとしています。 この後の展開が楽しみです。   近年、西洋圏でも東洋医学が盛んに学ばれ、人気があると聞いています。そうなることで、この著者のような人も増えてきて、今までになかったいろんな切り口で考えられるようになり、東洋医学もより発展していくかもしれません。そしてそうなればいいなとも思います。

胃・小腸・大腸

  霊枢を読み進めていって勉強している事を書いていきます。   《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》 P104 邪気蔵府病形篇「黄帝がいう。「私は五臓六腑の気が、みな井穴から出て、滎穴と輸穴を経て合穴に入ると聞いたことがある。 その気血はどの道を通って注ぎ、進入した後どの蔵府および経脈と連結しているのだろうか。その道理を聞きたいものだ。 岐伯が答える。「これは手足の陽経が別絡から内部に進入して、六府に連続しているのです。」 黄帝がいう。「滎穴・輸穴と合穴には、治療の上で一定の作用があるのか」。 岐伯が答える。「滎穴・合穴の脈気は深いところにあるので、内府の病気を治療できます」。 黄帝がいう。「人体内部の府の病は、どうやって治療するのか」。 岐伯がいう。「陽経の合穴を取ります」。」 黄帝がいう。「合穴には各おの名称があるのか」。 岐伯が答える。「足の陽明胃経の合穴は三里にあります。手の陽明大腸経の脈気は足の陽明胃経を循り巨虚上廉で合します。手の太陽小腸経の脈気は足の陽明胃経を循り巨虚下廉で合します。手の少陽三焦経は足の太陽膀胱経で合します。足の太陽膀胱経は委中で合し、足の少陽胆経は陽陵泉で合します」。」   →下合穴の説明が書かれていました。 腑病にはこれらを使いなさいと提示されています。 ここでは特に、足陽明胃経の上廉(上巨虚)・下廉(下巨虚)が大腸・小腸の合穴に設定されている点が気になりました。   《中医薬大学全国共通教材 腧穴学》 P 64 「中医理論によると大腸小腸は全て、広義の胃に属すので大腸小腸の下合穴は胃経上にあるのである。」 《中医薬大学全国共通教材 全訳中医基礎理論》 P130 「胃の通降作用とは、小腸が食物残渣を大腸に送ったり、大腸が糞便を排泄したりする機能も含んでいる。」   →答えなのでしょうが黄帝内経における根拠が書かれていません。 いや、普通に考えて胃から大腸まで繋がっているじゃないか!とよぎりますが、それは西洋医学の解剖学的所見なので東洋医学を考える上では参考にできません。 極力黄帝内経に理由を求めていきます。 胃〜大腸は、水穀の受納〜糟粕の排出までのラインのはずなので、まずは水穀が糟粕になるまでの流れを追っていきます。   <現代語訳 黄帝内経素問 上巻> P210 五臓別論篇「六腑には、常に水穀が充実しているものですが、反対に精気は充実していません。 この道理は、水穀が口から入ったあと、胃は実するが腸は空虚であり、食物が下へ送られる段階になると、腸は実するが胃は空虚になると理由にもとづいています。」   《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》 P479 腸胃篇 「「黄帝が伯高に問う。「わたしは六腑の消化器官がどのようになっているか、腸胃の大小・長短、水穀を容れる容量の多少などを知りたいと思う」。 伯高言う。「すべてをお話しいたしましょう。 穀物が口から入って体外に出るまでの消化器官の深浅・遠近・長短の数値は次のとおりです。 唇から歯までは長さ九分、口の端から端までは幅二寸半。歯から会厭までは深さ三寸半、水穀五合を容れることができます。 舌は重さ十両、長さ七寸、幅二寸半。咽門は重さ十両、幅一寸半、咽門から胃までは長さ一尺六寸。 胃の形は曲がりくねっており、それを伸ばすと長さ二尺六寸、周囲一尺五寸、水穀三斗五升を容れることができます。 小腸は腹腔の中にあり、後は脊柱に付き、左から右へ向かって周り廻り、腹腔内で幾重にも折り重なって廻り、下口は廻腸に注ぎ、外側は臍の上に付き、廻り折れ曲がり、湾曲すること全部で十六回、周囲二寸半、直径八分と三分の一、長さ三丈二尺。 廻腸は臍の所に位置し、左に向かって廻り、下向きに重なって、折れ曲がり湾曲すること、同じく十六回、周囲四寸、直径一寸と三分の一、全長二丈一尺。 広腸は脊椎に付き、廻腸が送る糟粕を受け取り、左に向かって廻って脊椎の前に重なり、上から下へ行く程太くなり、最も太い所で周囲八寸、直径二寸と三分の二、長さ二尺八寸。 腸胃の水穀を運輸消化する過程は、口唇から肛門まで総長六丈四寸四分、全部で三十二回の湾曲があります」。」   《臓腑経絡学》 P 63 「大腸は、廻腸、広腸、直腸、肛門(魄門)から成る。」   《中医学ってなんだろう》 P 241 「「大腸の伝導」は、広い意味での「胃の降濁」の一部と言えるものです。 胃気が下降していることは、大腸の伝導の前提となります。」   →飲食物が胃に入って糟粕を排出するまでの過程が示されており、それは胃を起点に一連の流れで繋がっているので古人はこのラインを胃の代表する一つのグループとして考えた。 腸の伝導機能とは胃の降濁機能の一部とも言える。 関連が深いからこそ、わざわざ「腸胃篇」という一つの篇にまとめたのかもしれない。   ↓「胃の通降(降濁)機能」 ①胃◯→小腸→大腸 ②胃→小腸◯→大腸 ③胃→小腸→大腸◯ ④胃→小腸→大腸→◯(糟粕)   続いて「胃経上にある下合穴を刺し腑病を治す」とはどの様な事なのか考えてみたいと思います。   参考資料 <現代語訳 黄帝内経 霊枢 上巻> 東洋学術出版社 南京中医薬大学編著 <現代語訳 黄帝内経 素問 上巻> 東洋学術出版社 南京中医薬大学編著 <中医薬大学全国共通教材 腧穴学> たにぐち書店 主編 楊甲三 <中医薬大学全国共通教材 全訳中医基礎理論> たにぐち書店 主編 印会河 <中医学ってなんだろう> 東洋学術出版社 小金井信宏著

呼吸について

呼吸について勉強しました。

反応するタイミングなど

反応するタイミング 先日人に鍼の練習をさせて頂いた。 その時、どの段階から相手が反応しているかという事が勉強になった。 お腹が「グル〜」という音が鳴るタイミングが面白かった。 それが確認できたなら、もっと早い段階で処置を切り上げても勉強になったかもしれないなと思った出来事でした。 どの程度で切り上げるか、感覚を掴みたいものです。     心身一如 素問 陰陽応象大論編 「肝気虚則恐、実則怒。」   恐という漢字を調べる。 原典にもとづく五臓六腑の生理 P19 「両手を以て穴をあけていることを意味するもので、それに心を添えた恐とは、心中に穴が空いてがらんどうなったこと」 で空虚な心を意味する。 怒という漢字を調べる。 同書籍 P20 「<荘子=逍遥遊>に、「怒而飛、其翼若垂天之雲」という句があるが、この場合の怒も決して「おこる」ことではない。「ジワジワと満身の力をこめる」ことである。」   怒りとは、肉体に限った話ではなかった。 そう考えると肉体と五情を分けて考える必要もない気もします。 実際、肝鬱の人は体が硬い人が多い気がします。   参考書籍 原典にもとづく五臓六腑の生理 柴崎保三講述  学校法人呉竹学園 東京高等鍼灸学校研究部編

舌の考察 2023/11/1

ポッテリしていて、歯根があるが、張りがあり、少しの気虚と気滞水滞を感じる。 舌苔 白 厚 舌質 淡紅 舌裏 まだら 白いところと赤いところがまだらになっている。精血の枯れはないが、気血の充実度が足りない感じがする。 歯痕あり 舌体が浮腫んでいるが、痩せ感も感じる。気血の枯れなのか。 舌質 どちらかと言うと淡白傾向 充実度が低い。 小さい点刺が舌尖から舌辺などわりと見られる、赤味はキツくない。 うつ熱的なものが気血を消耗しているのか。 舌苔 きめ細かいが、べっとりしている。中央から奥は黄膩苔。長年の湿邪の停滞を思わせる。

脈診(04)

瀕湖脉学七言訣(二十、弱脉) 弱来無力按之柔、 柔細而沈不見浮。 陽陥入陰精血弱、 白頭猶可少年愁。 弱脉は力無く来て、按じても柔、 柔は沈にして細、浮では見られず。 陽は陥入し、陰精血は弱、 白頭(老人)は考えられるが、少年なら愁う。 脉が骨周辺まで沈む理由が何なのか.. 自問自答してみる。 年老いて骨が弱くなり営気を必要としているから、 骨への栄養補給の為に沈下する? いや、肌肉の中空を維持出来ない為に沈む? 衛気が衰えて、エマージェンシー発生の為に 脉が皮毛に栄養補給にやってくるのが浮脈? 現象に対しての理由は多々ありそう。 【参考文献】 『中医脉学と瀕湖脉学』(株)谷口書店

肺と皮毛の関係

前回につづいて呼吸に関してまとめてみます。 蔵象として、肺は皮毛との関係が深いとされます。 (皮毛とは体表部のことをいい、 皮膚、および皮膚に付着する豪毛/ほそい毛 などを指す) 『肺は皮毛を主る』 皮毛が潤沢であるかどうかは肺気の機能で決まります。 肺はその宣発の働きを通して、 体の表面に気や栄養を行き渡らすことをしています。 なので正常な状態では、皮膚のキメが細かくて色艶もよく 体には抵抗力があって簡単に風邪を引いたりしません。 そして『肺は体に在っては皮毛に合す』ともいわれます。 この文について “肺は皮毛とリンクしている“ 参考にした書籍では、このようにあらわされていました。 とても分かりやすい表し方だと思いました。 リンクしているー つまり 皮膚もまた肺と共同で(衛気の働きの元で)呼吸ををしている、 ということ。 「呼吸は、宣発・粛降という気の流れを生み出しますが、  宣発という流れは、皮膚の呼吸がなければ完成しない」 考えてみると、とても当たり前のことにも思えるのですが、 そこから、皮膚(つまり体のいちばん外側)の状態という情報のもと、 肺気の働き方をみていく考え方が導かれることに改めて 面白さを感じました。   ____________________________________________ 【参考文献】 『図説東洋医学‹基礎編›』学研 『中医学ってなんだろう』東洋学術出版社 『中医基本用語辞典』東洋学術出版社

奇経八脈

「臨床に役立つ 奇経八脈の使い方」高野耕造ー著 メインで奇経八脈について書かれた本を読んだのは初めてでしたが、私にとっては知らないことが多く、とても興味深くためになりました。 所属経穴や循行順序などは、鍼灸甲乙経 難経 十四経発揮 奇経八脈考などの書籍によって違いがあることも知ることができました。 小ムズカしい古典から読むよりも、私にとっては良かったと思います。 その上で著者が考える奇経八脈がその後展開されていくのですが、その説明にも抵抗なく感心を持って読むことができましたし、その理論に基づいた著者オリジナルの臨床への応用も、私のようなレベルの者でも納得できました。 いつかその一部でも活用できる日が来たらいいなと思います。

舌の考察 2023/11/8

胖嫩舌 舌体が浮腫んでいて力がない感じで、弱々しい雰囲気。 前回よりも舌が膨れて、全体的に苔に覆われ湿潤してテカリも見られる。津液の巡りが悪く停滞している。 この時期は、サンドイッチや揚げものが多く野菜不足で、食生活が偏っていたせいかもしれません。口の周りにも吹き出物が出て肌荒れが目立っています。顔の皮脂も多めです。   舌質は胖大、あせた紅。 舌辺に歯痕がみられる。どちらかと言うと胖嫩気味。 舌中は無苔でやや乾燥気味に見える。舌尖は赤く無苔です。 舌根は膩で、舌辺はうっすらではあるが黄苔が見られる。 風邪の後の空咳がしばらく続いていたのが、反映されているのかもしれません。 ちなみに脈は 中位で細微弦 沈位で滑 でした。

合谷の穴性「生血」を考える

合谷の穴性について調べてみます。 穴性学ハンドブックでは補で生血の効果があるとの事です。 しかし「補血」ではなく「生血」である事に違和感を覚えます。 血を生み出す効果がある様なので、中医鍼灸臨床経穴学を中心に調べていきます。   P 65 <効能> ③補法:補気固表・益気固脱・益気摂血・行血・生血 湯液における黄耆、人参、党参、白朮、炙甘草、百合、黄精などの効に類似   P 79 「合谷を補すと補気の作用があり、瀉すと行気散滞の作用がある。したがって、気虚のために統血が悪くなっておこる失血証、「有形の血は自ずとは生じず、無形の気により生じる」という道理によって起こる血虚証、気虚による血行障害の病証に対しては、本穴を補して補気をはかると、摂血、生血、行血の作用をもたらすことができる。」   →つまり 「気血両虚の状態で補血だけ行っても自身の血を作る力は回復しない。 合谷による補気を行う事で血を生じさせる力を付けましょう。」 これが合谷の生血なのだと思いました。 実際どの様な使われ方をしているか見てみます。   P 69 「膿は気血が変化して生じる。久瘡には、膿が外溢して気血両傷となるものが多い。または瘡が長期にわたって治癒せず食欲も低下し、さらに膿が外溢することにより気血大傷、正気虚衰となり久瘡がおこる場合もある。 1.瘡面の肉芽の生成が遅い場合 合谷、三陰交(補)…気血の補益」   P229 三陰交 「本穴には、統血、凉血、全身の血分の虚損を補益する、全身の血液の運行をよくするなどの作用がある。」   中医臨床のための方剤学 P260 当帰補血湯 「皮膚化膿証が潰破したのち瘡口が癒合しにくいのは、気血が不足して肌肉の産生が悪いためである。」   医学三蔵弁解 P133 「気血は互いに根ざしていますので、これを気虚とするときにはすなわち血虚しているものであり、血虚するときには気もまた虚しているものです。 治法には標本の区別があります。 気虚によって血虚となっているものは、気虚を本として血虚を標とします。 血虚によって気虚となっているものは、血虚を本として気虚を標とします。」   →生血で血を生むと言っても血虚していれば、三陰交の様な補血の効果を持つ経穴との配穴が必要なのだと分かりました。 他に合谷・血海(補)などの配穴も見られたので、状況に応じた「補血」の効果を持つ配穴を行う必要があるのだと思います。   今のところは 生血=気の血を作る力をつける事で血を補う 補血=血を直接的に増やす事で補う との認識になったのですが、間違っている可能性もあるので一穴一穴を確認しながら調べていきたいと思います。   参考資料 中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 穴性学ハンドブック たにぐち書店 中医臨床のための方剤学 東洋学術出版社 医学三蔵弁解 たにぐち書店