暑邪
6月も後半、梅雨の時期真っ只中で、これから暑さも増してだんだん蒸し暑い季節になってきます。
テレビで、今年は3年間のコロナ生活明けなので、今まで屋内での閉じこもりがちな生活をしていたせいで、暑さに慣れていないため、熱中症になる人が激増するであろうと注意を呼びかけていました。
確かにそうかもしれないと思いました。
それにこのところの地球温暖化での猛暑化が追い討ち。
蒸し暑い日は、湿度が高いせいで、普段より汗が乾きにくく、乾くことで体を冷やすことがしにくくなるので、内熱がこもりやすくなります。
また湿度が高いと、喉の渇きも感じにくく、口渇を感じた時にはかなりの脱水状態になっているとも言われます。
健康な人は、暑い日が続くと身体は次第に暑さに慣れて、暑さに強くなっていきます。でもこれは一昔前の時代の話かもしれません。
現代人は近代的で便利な生活をしている上に、昨今の異常気象の影響も大いに受けています。
不規則な生活や、寝不足、暴飲暴食、七情過多などなど、ちょっとしたことで自律神経は乱れます。
自律神経がうまく働かない人は、汗をかくことや、心拍数の上昇、皮膚血管拡張によって身体の表面から空気中に熱を逃す熱放散がうまく働かなく、体温調整が難しくなります。
熱中症までにも行かなくても、暑熱が体内にこもってしまって体調を崩すきっかけになる人も増えるでしょう。院にもそんな患者さんが増えるのではと思っています。
暑邪によるリスクを回避するためにも、普段の生活を振りかえってみなくてはなりません。
身体重心位置
先日、診療の合間の時間に刺鍼の仕方を教わる機会がありました。
直接、丁寧に刺鍼時のポイントをご指導いただいてとてもありたく、貴重な経験でした。
しかし実際、その場で教わったことをそっくり模倣してみようとしてもなかなか同じようには出来ませんでした。
何事においても、技術というものは奥深く難しいものなのだといつも思い知らされます。
私の場合は先ず姿勢からして不自然なようで、切経や脈診のときにも指摘されていたのですが、体の重心がズレているとのことです。
なので治療を行う上での一連の流れで行う型が不自然に映るみたいです。
院長にも腰に重心をもってくるように度々指摘されます。
私の場合は重心が上の方にずれていて背中の方に上がっているようなのです。
そのせいで身体を上手く使うことができず、無駄に力が入ったり、身体が硬くなっているせいで動作が不自然に映る原因になっているようです。
ネットで調べてみると、運動学において立っている時の重心の位置は一般的に骨盤内(仙骨のやや前方)のようです。
どうやらキーポイントは骨盤の歪み?
もう少し身体の重心を正常位値に持っていくための改善法を調べてみようと思います。
院長の治療を受けて(平成30年12月)
院長の治療を受けております。
【主訴】
背中の痛み(肩甲骨内側と下部周辺の張痛)と
慢性腰痛(痛みは軽微で動作開始時痛)。
出来るだけ、些細な変化も記憶に留めておきたいと思い、身体の全体を観察します。
治療に関しての全てが”学び”です。
問診での着目するポイント、
舌など望診における情報をキャッチする速さ、
繊細でありながら落ち着いている切診の感覚。
そして、治療。
背中の痛み関しては即座に無くなります。
腰部の痛みについては、
朝の起きる際やソファーに長時間座った後などのスターティングペインなので、
この時には変化は分らなかったですが、効果は翌朝に十分感じ取れました。
伝えはしたものの、後回しでも良いと考えていた膝の痛みも同時に無くなります。
結果、
嘘のように無くなっています。
鍼を受けて寝ている際に、身体に集中すると
手指の末端がピクピクし、腹部も微妙に内部が動くのを感じます。
刺鍼と、この感覚。結果を思うと、
身体を巡る気血や臓腑からの学術と臨床の関係を感じるに十分です。
日頃学ぶ東洋医学の論理を目の当たりに体感できた素晴らしい時間です。
『開業以来、鍼一本。』
この”鍼一本”の可能性の楽しさを見せて頂いたように思います。
補瀉
補寫に関して気になったので調べていきます。
《現代語訳 黄帝内経霊枢上巻》P 14 九鍼十二原篇
「針の技術の要は、刺鍼の部位が適当であることと徐疾の手法の正確な運用にあります。」
「気の働きの虚実変化を理解すれば、補瀉の手法を正確に運用でき、毛筋ほどの間違いも起きる様なことがありません。」
「気の往来の時期を理解してはじめて刺鍼の正確な時間を理解できるのです。」
「気が去るとき経脈が空疎になるのを『逆』、気が来るとき経脈が充実するのを『順』といいます。」
《現代語訳 黄帝内経霊枢上巻》P 18、19 九鍼十二原篇
「瀉法を用いるときは、かならず鍼を素早く刺入して気を得たのちゆっくり抜き去り、大いに鍼孔を揺らして、表用を開けば、邪気を外に洩らすことが出来ます」
「補法を用いるときは、経脈の巡行方向にしたがって鍼を向け、ゆっくりと散漫な様子でそっと刺します。鍼をめぐらして気を導き、経穴を按じて鍼を刺すとき、あたかも蚊が皮膚の上を刺しているようなあるかなきかの感覚があります。鍼を抜き去るのは速く、矢が弦から放たれたかのように、右手で鍼を抜き、急ぎ左手で鍼穴を按ずれば、経気は留まり、外は発散せず、中は充実し、留血の弊害もありません。」
「鍼を刺すときは経気の到来を候わなくてはなりません。」
《現代語訳 黄帝内経素問》P272 鍼解篇
「虚証を鍼治療する際には、鍼下に熱感がなくてはなりません。なぜなら正気が充実すると熱感が生まれるからです。
実証を治療するときには、鍼下に涼感を感じなくてはなりません。なぜなら邪気が衰えてはじめて涼感が起こるからです。」
→補寫どちらにおいても気が至ったり去ったり、熱感・涼感を感じる感覚が重要。
手技としては、どういった速度で刺し抜きするか・どの様な角度で刺すか・揺らすか・案じるか。
《鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇》P344
「臨床的には、かつては太い鍼をゆっくり入れて気を温め集めて、スッと抜いていた。抜くときにゆっくり抜くと、鍼穴が余計に広がって、気が漏れやすく散りやすくなるためである。現在の鍼は細くなっているのでその必要がない。ゆっくり入れてゆっくり抜けば良いのである。」
→古代と現代の違いを感じました。昔と全く同じ条件ではないので、形ではなくそれが何を意味するのかきちんと理解していないとこれからズレた認識が生まれてきそうです。
また、ここから補瀉の際にどんな鍼を選ぶかなどのヒントにもなっていそうな気がします。
読んでいて、昔の人はどんな方法で鍼を作って保管していたのか。
現在は鍼をどの様にして作っているのか。
現在の鍼になった分岐点などはいつなのか。
なども気になってきました。
参考資料
《現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻》 東洋学術出版社 南京中医学院編著
《現代語訳 黄帝内経素問 中巻》 東洋学術出版社 南京中医学院編著
《鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇》 緑書房 一般社団法人 北辰会学術部編著
三国志(01)
少年の頃にはマンガの『三国志』(著:横山光輝)を
数年に一回はマイブームが起きて夢中に読んでおりました。
私と同様に三国志ファンの友人が中国に観光に行った時の話ですが、
長江の武漢で色々と観て歩いて、今度は赤壁を見に行こうと観光船に乗ったとの事。
遊覧を楽しみ、そろそろ赤壁に到着かと思っていたら、
急に引き返して帰ってしまった!と嘆いていたのを思い出しました。
まだ中国といえば、”自転車と人民服”をイメージする時代の話ですが、
観光がビジネス化されていなかった時代では、
現地の人たちにとって自分たちの歴史であって、観光資源という概念が遠かったのかもしれません。
三国志の軌跡を観光したいと思い続けて数年が過ぎましたが、
観てみたい場所は様々あります。
”赤壁”もそうですが、”五丈原”も訪れたい場所の一つです。
孔明最期の地であり、「死せる孔明生ける仲達を走らす」の場所。
それでは
「桃園の誓い」より物語を楽しみたいと思います。
【参考文献】
『三國志』(株)六興出版社
異名同穴④
腧穴(しゅけつ)とは、いわゆる「つぼ」と呼ばれるものの総称である。
腧穴には、十四経脉上(正経十二經脉・督脈・任脈)にある「經穴(正穴)」、経脉に所属せず治療効果から発生し名称と部位が定まっている「奇穴」、奇穴の中でも1901年以降になってから定められた「新穴」、押すと心地がよかったり、圧痛を感じたりするが、名称も部位も定まっていない「阿是穴(天応穴、圧痛点)」などが含まれる。
經穴(正穴) : 十四經脉上にあり名称、部位が定まっている。
奇穴 : 十四經脉上になく名称、部位、主治症が定まっている。
(新穴 : 1901年以降に定められた奇穴)
阿是穴(天応穴、圧痛点): 名称や部位は定められていないが、病態と深く関わって出現したり、治療点となる部位がある。
④4つの異名のあるもの
穴名 異名
陰交穴 : 少関穴、横戸穴、丹田穴、小関穴
陰都穴 : 食呂穴、食宮穴、石宮穴、通関穴
横骨穴 : 下極穴、屈骨穴、曲骨穴、下横穴
客主人穴 : 上関穴、客主人穴、客王穴、太陽穴
曲地穴 : 鬼臣穴、陽沢穴、鬼臣穴、鬼腿穴
頬車穴 : 機関穴、鬼牀穴、曲牙穴、鬼林穴
曲骨穴 : 尿胞穴、屈骨穴、曲骨端穴、回骨穴
三陰交穴 : 承命穴、太陰穴、下三里穴、女三里穴
心兪穴 : 背竅穴、俉焦の間穴、心の兪穴、背兪穴
上脘穴 : 上管穴、上紀穴、胃脘穴、胃管穴
衝陽穴 : 会原穴、趺陽穴、会湧穴、会骨穴
神門穴 : 兌衝穴、中郄穴、鋭中穴、兌骨穴
身柱穴 : 知利気穴、散気穴、塵気穴、知利毛穴
臑会穴 : 顴髎穴、臑交穴、臑輸穴、臑兪穴
太谿穴 : 昌細穴、照海穴、陰蹻穴、大系穴
中府穴 : 膺中兪穴、肺募穴、府中兪穴、膺兪穴
中極穴 : 気原穴、玉泉穴、膀胱募穴、気魚穴
瞳子髎穴 : 太陽穴、前関穴、後曲穴、童子髎穴
命門穴 : 属累穴、竹杖穴、石門穴、精宮穴
腹結結 : 腹屈穴、腸結穴、腸屈穴、陽屈穴
陽関穴 : 関陽穴、寒府穴、陽陵穴、関陵穴
湧泉穴 : 地衢穴、地衝穴、蹶心蹶、涌泉穴
労宮穴 : 五里穴、鬼路穴、掌中穴、鬼窟穴
【参考文献】
『新版 経絡経穴概論』医道の日本社
『鍼灸医学事典』医道の日本社
八綱弁証
学校で中医学の基礎として教わり、
それからは、考察を立てるうえでの
基礎においてきた。
ただしこれまで、そこに
何故その方法を用いているのか、
そうした視点がまったく抜け落ちていたことを
気付かされた。-蝶番-
一緒に学ぶ者が、
同じポイントで先生の言葉にうなづいている、
そんな空間が無性に嬉しく感じられた。
これもひとつの小さな発見だと思った。
硬さ 柔らかさ
診察で
各所の情報が、そもそも検討するのに足る量を拾うことができていない 尺度がない
その中で観察した情報をすぐに解釈しようとして、できない(できるはずがない)
切診において相手のからだのいづれか部位に接している時に
触れているその部分だけを見て
情報を取りにいく意識が自分の体も思考も硬くしていることに
先輩のされる様子を見て気付かされる
鍼治療を受ける中で気付かされた
自分が力んでいたことを本当に知るのは体の力が抜けたときだった
能動的に取り組むことと硬さはイコールでないのに
そうさせているものは何か
(覚え書きとして)
風寒邪の咳嗽から穴性を学ぶ③
前回の続きです。
中医鍼灸 臨床経穴学 P25
「風寒外束、肺失宣降(風寒の邪による宣降失調)
症状:喉が痒い、咳嗽、痰は稀薄である。鼻閉、鼻水。声が重い。または発熱、悪寒、頭痛。無汗。舌苔薄白、脈浮など。
処方:中府、風門、大椎(瀉)…疏風散寒、宣肺止咳。」
まずは中府について考えてみます。
中医鍼灸 臨床経穴学 P 24
「肺臓の病証では多くの場合、この募穴に圧痛または異常な反応が現れる。本穴は胸部、とりわけ肺部疾患を治療する常用穴とされている」
同書籍 P 25
「本穴には、清肺宣肺、肺気を調節する作用がある。また咳による胸痛があるもの、本穴の所属部位に圧痛のあるものなどを治療することができる」
穴性学ハンドブックp 31・152
中府(瀉)…宣肺理気
「肺は全身の気を主る。もし寒邪が外束したり 内熱が上を侵すと肺気は その宣降作用を失い 咳嗽し 喘息し 胸満して 脹痛する。
中府は 肺の募穴であり 手足の太陰の会で 穴は胸膺にあり よく上焦を宣発し 肺気を疏調する。 肺気が郁遏される毎に これを鍼し 気を行らし 血調えれば 痛み止まり 胸満感を消すことができる」
つまり、
中府が治すものは「肺が宣降失調を起こして起こす咳嗽」であり、
中府単独で用いても一時的に咳は楽になるかもしれませんが、風寒邪を取り払う事はできないと思いました。
中医鍼灸学の治法と処方 P132 を見ても
発表散寒法
「配穴処方:大椎・風門・風池・合谷・復溜
随症加減:咳嗽ー肺兪・膻中を追加。」
とありました。
肺兪と中府は腧穴・募穴の関係にあり、共通点も非常に多い経穴で、共に肺失宣降に用いられる様です。
この随症加減と同じで、風寒外束の表寒証であっても、肺失宣降が起きていなければ決して使う必要がないのではないかとも思いました。
また、風寒外束で肺失宣降が起きていれば
「中府を触ると痛い、もしくは異常な反応」
が起こりやすい事も分かりました。
鍼灸学 P230では
陽性反応穴「陽性穴は兪募原穴の部位に現れることが多い…陽性反応穴は、臓腑の経絡体表における反応である。この陽性の経穴を刺激すると、臓腑の機能を調整することができる」
との事なので同じ意味かなと感じました。
参考文献:
中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 李世珍著
穴性学ハンドブック たにぐち書店 佐藤弘監修 伴尚志編著
中医鍼灸学の治法と処方 東洋学術出版社
鍼灸学 東洋学術出版社
胖嫰舌の表裏から考察します。
舌質・舌苔
淡白舌・嫰・胖大・歯痕・点刺
薄白苔が全体的にありますが、
舌根には白膩があるようにみえます。
舌裏
舌下静脈に怒張・蛇行はみられずに
ぼんやりとしています。
外側には暗いところがみられます。
舌面の中央が凹んでいるのが特徴的と思いました。
胖嫰舌のうえに、舌を出すのに力がない為に
凹んでいるのだろうと考えています。
口の開け方にも力強さを感じません。
舌に赤みが少なく、
全身に栄養が行き届いているのか?と心配されます。
舌裏に暗いところがあり、滞りも感じます。
全体的にのっぺりしておりしているのが印象的で
気・血ともに、か細く感じております。
仮説として
裏に虚があり血の停滞がおこり、その表現として舌裏に
血の滞りがあらわれているように思います。
そこが原因となって水分が均等に末端まで届かずに
舌全体に溢れているのでは?と考えます。
原因は同じくして気の停滞もおこり、
力強さを得ることが出来ていないと考えます。
この湿が下焦に累積されていかないかと危惧されます。
舌のみで、想定を考えてみました。
今後も考察を深めたいと思います。
















