学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

舌診(02)

舌象について整理する 【舌神】 有神 生き生きとして生気があり、運動性も十分なもの。 疾病に罹患しても有神であればよい兆候。 無神 乾枯して硬く光沢もなく、生気がなく、運動性も悪い。 危急の可能性。 【舌色】 淡白舌 陽虚の為に営血不足により舌体を充養できず淡い色調となる。 紅舌 舌体の脈絡が充盈している。 絳舌 紅絳舌 営血が熱の煎熬を受け、濃縮されている為に絳舌となる。 紫舌 熱盛傷津や陰虚で気血の壅滞、陰寒での凝滞により紫色となる。 青舌 陰寒の邪により陽気凝滞し血行の瘀滞による。 【参考文献】 『中医臨床のための 舌診と脈診』医歯薬出版社 『新版 東洋医学概論』医道の日本社

思うこと

先日、院長のお宅にお邪魔して寺子屋生の勉強会を行いました。 雨の止んだ敷地内の森は芳しく、藪椿が点々と地に落ち、小川のせせらぎと鳥の声だけが聴こえる。 自然の中に身を置き学びを得ることに喜びを感じました。 薪は程よく乾いているから火が着く。 木の水を吸い上げる力が土砂崩れを塞いでくれる。 水たまりができている。 小川が流れている。 それができなくなったらどうなる? 大阪のような町に住んでいると自然の中に生きる人間としての存在を忘れていくのではないでしょうか。 『鍼灸医学における実践から理論へ 「北辰会」は何をアピールするのか パート1  藤本蓮風著』 子どもの頃、都会に出るといつも発熱して、目や音や匂いに酔い、逃げるように奈良に帰りました。今でも、偶に都会でいいと思います。 五官の感情は情志と外界を連絡する橋であるとして、「耳目が音や色に惑わされれば、五臓は動揺する。 五臓が動揺すれば、血気が騒いで溢れる。 血気が溢れれば精神を平静に保つことができず暴れ出す。 精神暴れ出せばあらゆる状況に対する判断力がなくなる」淮南子 『中医病因病機学 宋鷺冰 主編』 感覚を刺激すると魂は混乱する(中略)刺激によって人は、本当の問題から目を背け、目を背けるという事実からも、目を背ける 『老子の教え あるがままに生きる 安冨歩著』 ホースで水を撒きながら水を出したりあえてホースを踏んで詰まらせて脈はこんなんかな。 ゴロゴロしてコンロの火を消し忘れて煮詰まった鍋を見ながら瘀血や湿はこんなふうにしてできるんやろうか? ベーコンを仕込みながら次第に肉がこんなふうになるんやなと。 ハンバーグを焼きながら舌を思い浮かべました。干からびた苗木を見て、気血が巡らないと肌肉とはこういうことを言うのか。 初めて手にした鍼灸の本は「鍼灸真髄」だったのですが、澤田健氏が教えを請いに来た代田文誌氏に「ただこの表見といたらだんだんわかるようになってくる!」 と五行色体表を示したと書かれていたのですが、自分で検証してみると面白いです。   2年生になりこの違和感は何なのか、3年になりより一層違和感を覚え、言葉に出来ずにいました。 自然と人間が一体であって、自然の中に調和しながら自然と共に生きている人間こそ人間として見るという思想が働きているからなんです。 もしこういう思想を度外視して東洋医学をやるならばいびつなものになっていく。 『鍼灸医学における実践から理論へ 「北辰会」は何をアピールするのか パート1  藤本蓮風著』 そうやな、「人間を人間として見ない」からや。ようやく気持ちの整理がつきました。 私はそうありたくないです。 内経は、情志を「恬淡虚無」の状態に保つことによって精神異常を予防するよう提案した。 『中医病因病機学 宋鷺冰 主編』   世界を見る態度から、余計な考えをすべて取り除き、ただ虚心担懐に受け入れる。 その態度を極限にまで徹底させた状態を、「冷静さをどこまでも保つ」という。 『老子の教え あるがままに生きる 安冨歩著』 老師の教えを読み、一鍼堂に身を置いて見て感じて東洋医学の世界に染まり、益々面白くなってきました。 「川の水は凍らへんけど池は凍る」 一鍼堂で交わされる何気ない会話にふと気付かされることが喜びで、この環境に身を置けたことが幸いです。
根っこは

鍼治療を受けて④

浮力が働いている様な感じと表現できるかもしれない いつもの様に 置鍼中に一瞬眠った様な状態になったあと ふと自分の体の感覚に戻るともうすっかり動いている動き回っている 体は動かしていないけど体が動いている 水のない風呂 今日そう感じたのは足の輪郭がぼわぼわと波たっており暖かく 温かい湯船に浸かっている時と似ているからかも知れない ゆっくり静かに観じていられる体はベッドのうえで浮力が働いている様にやさしい こうして完全に身を預ける時間を通して 反対に普段一体どれだけ抵抗を抱えて過ごしているのかについて思わされる (忘備録として)

切経と艾

原穴診を学び始めました。 お腹や背中と違って凸凹だらけで場所も狭く、 上肢や身体の使い方ももっと工夫しなくちゃいけません。 ついつい手が硬くなります。 寺子屋先で練習しているときも、 指がピッタリはまった時は、 何と表現すれば良いのかわからないけど、 穴にも奥行きや方向のようなものがあり、 立体的に捉えることができました。 この景色が何を意味するのか? この方向に鍼をしたらどうなるんやろ? 疑問が生まれ、発見がある度に好奇心が湧きます。   先日、学校で失眠穴にお灸をしていた時に、 患者さんの踵に対面する状態で艾炷を据えると とてもやりにくいのです。 手の背屈位で可動域が狭く力が入ります。 どう頑張っても踵に艾炷を垂直に据えられません。 「場所変えて据えてみたらどうや」 と先生からアドバイスをいただき、 患者さんの左側に立って据えると良いとわかりました。 切経でも手や腕の可動域を考慮し、流れるように優雅に、疲れないやり方を見つけることも課題です。 どんな面に対しても艾炷を垂直に立てられるようになることは切経にも繋がりそうです。   さて、昨日は豊中院に行き、原穴診をさせていただきました。 太衝を触るとくすぐったいと患者さんが仰りました。 お腹はくすぐったいことがあっても、 足の甲は初めて聞きました。 「手が重たいのかもしれませんね」と新川先生。 姿勢や力加減、色々と課題を見つけることができました。 腹診、背候診、脈診、原穴診も別々のものとしてしか捉えることができませんが、 「積み重ねていくことで、別々だったものも一連の流れが診えてくるようになりますよ!」 と新川先生が仰りました。 今はあれもこれもと情報が錯綜し、 楽しいけれど時たま不安になります。 様々な先生の治療を見学させてもらい、 お話しを聞くことができる環境、 寺子屋で皆で学び共有できる環境は 本当に恵まれていると思います。 切経の勉強と共に、今までとは違った視点で艾を捻り艾炷を立てながら臨床に向けて積み重ねていこうと思います。

処置後のからだで

切経で、腰部の経穴に 置鍼後にはその穴の部位を中心に 揺らぐように広がるものがあった。 (処置の前にそこに特に拾えるものが無かった) 処置後の患者は体の力が程よく抜けて 安心しているように見えた。 穴性について考察する起点にしたい。

気海と元気

気海を考察していきます。 生気の海と呼ばれる経穴で、 穴性学ハンドブックでは補で「諸虚に」「培補元気」などとあります。   この意味を中医鍼灸臨床経穴学を中心に調べていきます。 P661 「下焦の気会穴、元気の要穴であり、臓気虚、真気不足、下焦の気機の失調によりおこる病証を主治する。」 「<治療範囲> 1・元気不足の病証 元気は、先天の精気が化して生じるものであり、その源は腎にある。先天の精気は「後天の源」によりたえず充足、滋養されており、三焦の通路を通じて全身に到達して、臓腑などのすべての組織器官の機能活動を推動している。 元気は、人体の生命活動の原動力となっているのである。 この元気が不足すると臓気は虚し(衰え)、また臓気が虚すと元気も虚す。 心、肺、脾、腎などの臓気が虚しておこる機能減退(病証)は、気海穴の治療範囲に入る。」   これを知るには、まずそもそも元気とは何なのか?と知る必要があると思いました。 調べると、どうやらこの概念の出発点は難経の様で、後世では「命門元気三焦系統理論」と呼ばれています。   中医学ってなんだろう P279 「「難経」の元気観 ・元気の由来 元気の源は父母の精なので、人は先天的に元気をもって生まれてくる。 そして人が生まれた後は、元気はさらに後天の精の滋養を受けて命門から生まれる。 ・元気の働き(様々な面から生命を支える) ①臓腑や経絡の働きを活発にし、さらに臓腑や経絡の働きを維持する ②外から吸い込んだ気を納め、呼吸を支える。 ③三焦は様々な気化(気の運動による変化)の舞台となるが、それを支えているのは元気。 ④外界の邪気から、人間を守る。」 P278 「命門元気三焦系統理論は、蔵象学説ほど細かい理論ではありません。独自の視点でシステムを捉えているという意義はあっても、理論体系としては大雑把なものです。そこでいまの時点では、「蔵象学説の不足を補うことができるもの」と捉えるのがよいと思います。」   →つまり穴性学ハンドブックで「諸虚に」と書かれていたのは、 「元気が虚したら臓に影響しやすいのですが、その際は色々な現れ方をします。 状況に応じて気海と適切な配穴を行って対処してください。」 と言っている様に感じました。   参考資料 中医学ってなんだろう 東洋学術出版社 中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 穴性学ハンドブック たにぐち書店

風寒邪の咳嗽から穴性を学ぶ④

前回の続きです。 中医鍼灸 臨床経穴学 P25 「風寒外束、肺失宣降(風寒の邪による宣降失調) 症状:喉が痒い、咳嗽、痰は稀薄である。鼻閉、鼻水。声が重い。または発熱、悪寒、頭痛。無汗。舌苔薄白、脈浮など。 処方:中府、風門、大椎(瀉)…疏風散寒、宣肺止咳。」 残りは風門・大椎の意味を考えてみます。 この組み合わせは風寒外束時によくセットで使われている様です。 差別化してみると、 同書籍 P335 「効能鑑別 風門、大椎、列欠、外関、合谷 この5穴には、ともに解表の効があるが、格穴それぞれに固有の特徴がある。 ①風門:去風疏衛解表、宣肺の効がある ②大椎:宣陽退熱解表、項背部の表邪を解表する効がある ③列欠:疏衛解表、宣肺、止咳、平喘の効がある ④外関:清熱解表、上焦の熱を清熱する効がある ⑤合谷:去風疏衛、清熱解表、宣肺、清肺の効がある」   穴性学ハンドブック 風門は風類腧穴に分類され、効能では瀉で疏衛宣肺(+灸で祛風散寒) 大椎は寒類腧穴に分類され、効能では瀉で宣陽解表(+灸or焼山火or吸角で解表散寒)   →ともに解表作用ではありますが、風門は去風、大椎は散寒解表に重きを置いている印象を受けました。もう少し掘り下げてみます。   中医鍼灸学の治法と処方 P259 宣肺止咳法「風門:風門は熱府といい、足太陽膀胱経と督脈の会であり、風寒邪が侵入する門戸である。同穴と大椎を合用すると、疏風散寒・発汗解表が可能となる。」 →逆に言えば、風門は大椎と合わせないと疏風散寒・発汗解表が可能でない状態なのだと思いました。   一方、大椎から考えてみると、 中医鍼灸臨床経穴学 P751 「列欠(瀉)を配穴すると、発汗解表、宣肺平喘の作用が生じる。同作用は湯液における麻黄湯(「傷寒論」方)の効に類似している。」 →つまり風門の代用が列欠でも務まるのだと感じました。   もう一度P 25に戻ると ①風門:去風疏衛解表、宣肺の効がある ②大椎:宣陽退熱解表、項背部の表邪を解表する効がある ③列欠:疏衛解表、宣肺、止咳、平喘の効がある ④外関:清熱解表、上焦の熱を清熱する効がある ⑤合谷:去風疏衛、清熱解表、宣肺、清肺の効がある   →つまり大椎+疏衛解表、宣肺の作用があれば、大椎+風門と同じことが再現できるのではないか?と思いました。   大椎はこう言った状況で変えの効かないものなのか、 また探してみて見つかればなと思います。   参考文献: 中医鍼灸臨床経穴学 東洋学術出版社 穴性学ハンドブック たにぐち書店 P131、182 中医鍼灸学の治法と処方 東洋学術出版社

想像

先日不調だという友人の舌の写真を送ってもらいました。 絳舌、舌尖は鮮紅色で細かな裂紋を認め心火が旺盛。胖大、舌痕があり、舌面はやや乾燥し、津液の損傷も考えられました。 脈を直接みることができませんでしたが、 「脈を予想してみることも大切」だと下野先生に教えていただきました。 普段、友人の脈は細く針金のような輪郭の脈で速く、不調になると輪郭がはっきりせず弛緩して沈取りで消えそうになります。 後日舌と脈を見させてもらいました。 舌はあまり変化がありませんでした。 脈は右は前述したようでしたが、左は細く上焦で指腹を弾くような感触でした。 上焦は実し、下焦は虚しているのでは?と考えました。 脈の左右差をどう捉えるかはこれから勉強が必要です。 舌も脈も時々で変化していくものなので、定期的に診させてもらおうと思います。 今回の経験を機に舌を診て脈を想像する、またその逆も日頃から実戦してきます。

外邪の侵入経路

2022/02/01 外邪の侵襲に関する説明で、経絡より進入というところがピンとこないのは自分の体験が伴わないことが大きいからか。四肢にとるツボは同じ経絡上の痛みを緩和したり動かしたりすることから導かれた考えにあたるのか。そうならば他覚的に捉えられた事柄とそうでないものとが並列で列挙されていることが余計に捉えにくくしているように感じる。 2022/02/05 ある患者さんの所見からー腹壁が全体に気滞がきつかった印象の初診から3日、そのときとはガラリと印象とが違っていた。臍下の一部を除く他は適度な張りが見られる、その程度になっていた。自汗と各所に反応が見られた下腿もまるきり違っていた。状態の違いの裏にあるものが何か、結論は出ないが次回の経過を追う。 2022/02/06 丁寧に説明する、丁寧にやる、そんなことばかりに注力するのはもうやめだ。
緑地公園

症状の記録として

2021/03/13 現在の症状:不眠 夜間に覚醒する 12時前までには就寝、すぐに入眠するが2時〜3時に起きてしまう(連日) 国試まで2週間を残す時期になったあたりの時期に発現 (思い返すとその少し前のタイミングで右顎関節辺りから 側頭部周辺に強烈な頭痛に見舞われたこともあった) 当初、夜中に目覚めた時にはいつも煩熱を伴っていた それは今は落ち着いていて精神的な影響は比較的少なくなった ストレスによる一過性のもので国試が終われば消えていくだろうと 想定していたが、徐々に緩やかになりながら 試験が終わり2週間経過し未だ継続中 ーーーーーーーーーーーーーーーー 昨日、学校の実技の授業でペアになったクラスメイトから 私とよく似た不眠の症状を抱えていると聞く 気が付くと国試の勉強について次は何をしようかと 考えている自分がいる、とそう話す彼の言葉に 自分の精神状態との共通点を見る (彼の所見) 舌色は薄白、舌根から舌中にかけて黄苔 目にはやや充血あり 夜間覚醒時に汗はなし ただし、そう話す彼の額には粒状の汗が見られる お腹に自汗あり(その為か腹全体が冷たい) 顔や手足、お腹は一様に白く力の無い感じ 一方で、仰向けで休んでいる体勢においても、 本来休まるべき体が休まらない、脱力しきれない印象を受ける 内熱が亢進して抑えのきかない状態が継続している裏に 体の中に硬く結んで解けなくなった結び目の様なものがあるよう   不眠に限局して見ると、双方似通った症状として現れるものも 体の示すその他の兆候、 症状を引き起こす機序 には大きな違いがあること ごく当然のことだと思うが、体験的に改めて確認できたことが良かった