学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

舌の考察 2023/12/20

先日、職場の薬局での出来事。 窓口でのやり取りの際、「処方箋に頼んでたお薬が記載されていない。先生が書き忘れている」と、患者様が言われました。 そのお薬の名前を尋ねると、「レイボー」だと言われるが、全く初めて聞く名前だったので、なかなか聴き取れませんでした。 当然薬局の在庫にはないお薬なので、処方医に問い合わせて追加処方してもらい取り寄せという形になりましたが、後で調べたところレイボーなるお薬は偏頭痛のお薬でした。2022年6月8日発売されたばかりの新しいタイプのようです。 今までのトリプタン系の偏頭痛薬とは異なった作用機序で、セロトニン1F受容体に結合して脳の神経に働き痛みを起こす物質の放出を抑えるとありました。 果たしてこの患者さんに効果があるのか。 もうすでに飲んでおられる様で、1錠では効かなかったとのこと。今回からは1回に2錠に増量してみるようです。 結局のところ、偏頭痛の原因や作用機序はまだはっきりわかっていないのが現状なので、あくまでもセロトニン仮説もその一つの考えであるため、その患者さんにフィットするかは未知数なのは必至でしょう。 偏頭痛もなかなか難しい症状です。それでいて結構多くの人が悩まされている頭痛の一つです。 そんな偏頭痛に対して鍼灸はかなり効果があることで知られていますが、実際受ける人はまだまだ少ないのかもしれません。 今週の舌です。 今週もお疲れの様子です。 色味も薄くて気血が足りてない感じです。気の不足により停滞感が見られ、むくんでいます。 脈は浮大滑 やや中空   苔はしっかりついていますが、通常に比べてば、まだまだ薄い方です。写真の写り方にもよりますが、色味はいつもより淡い様に見えます。生理後でやや淡白なのか。 そういえば最近は目が乾燥して疲れやすいです。スマホを見ると悪化します。

閃めく経絡

以前から気になっていた本を読んでます。図書館で借りれました。 「閃めく経絡」ダニエル・キーオン著 私は今まで東洋医学について記した本で、西洋人が書いた本を読んだことがありませんでした。振り返れば、ほぼ日本人か中国人で、韓国人は1人か2人くらいでしょうか。なのでとても珍しく感じました。ちなみにこの本はアマゾンでも好評価です。 著者はどんな人なのかと見てみたところ、救急診療専門医のイギリス人で、中国に留学して鍼灸を学ばれていたようです。 なので、もともと現代医学に明るく、特に発生学が得意なのか、その知識の上で鍼灸を学ばれて感じたことを掘り下げ、分析して想像した内容になっているのかなぁという印象を受けました。 著者は、「発生学からの知識に数学を取り入れて、鍼灸がどのように作用するか理解するようになる方程式を作り上げる。それは無限に複雑で美しい形であると同時に洗練された単純性を表したものになる。」ということを記しています。 今まで東洋的な言い回しに慣れてきた私には、いかにも西洋的な文面だなと感じざるおえませんが、このような考え方で西洋医学はここまで発展してきたのだろうとも思います。 まだ、この本を半分くらいしか読んでいませんが、著者は「気」とは何か、なぜ「経絡」がこのような配置になっているのかを、人体がどのように発生し、どのように作用しているのかを理解すれば明らかになると考え、発生学の見地から答えを見出そうとしています。 この後の展開が楽しみです。   近年、西洋圏でも東洋医学が盛んに学ばれ、人気があると聞いています。そうなることで、この著者のような人も増えてきて、今までになかったいろんな切り口で考えられるようになり、東洋医学もより発展していくかもしれません。そしてそうなればいいなとも思います。

  院長に保全林にお招き頂いた時のことを思い返す。 上流の石は大きい事を教えて頂いた。 川底の石も大きく、何故こうなるのか考えてみた。 これは川の掃流力でも流されなかった石。 そこに居座るだけの質量がある。   これが人体でも起きればどうなるのか。 それをどかす為には掃流力を増やすしかない。 しかし、瀉法の様に水を無理やり引っ張ってくると水が枯渇して川が干上がるかもしれない。 水源にも気を配る必要があると思う。   黄帝内経を読む時も水に関連する内容が頻繁に出てくるので、しっかりイメージして読んでみたいと思う。

俯瞰

俯瞰 以前も先生からアドバイス頂き、出来ていなかったので院長に更に教えて頂いた。 ありがたい反面、申し訳ない。 言葉にしていただく以前に気づかないといけなかった。   今は動くといった形を使ってカバーしましたが、もっと俯瞰して遠くからでもわかる様にならないと。   先生方を見ると、会話しながらも周りの異変にすぐ気づく。   これもそういう事なんだろうなと思う。   ボランチの様になれる様に、その為にも冷静であるようにします。   舌の考察     先週と比べて舌の表面につく水分が減った。 そのまま湿が減ったと見るべきか。 ただ依然として胖大はあるので傾向としては同じか。 舌鑑弁正 P50 「微白滑苔舌。 図のように、中央が白っぽく光滑で、辺縁は淡紅色で津液がある。これは、脾胃に寒があり、心肝胆が虚しているのである。」 心胆気虚といったところか。 しかし胆虚だと物音にも敏感になるがどうなんだろう。 この感じだと違うかもしれないけど、こんな感じの事が書いていたとの事で記録として残す。   治療後の舌。 翌日の状態を考えると熱を溜め込んでいたのか。 それにしてもいつもに比べて色が薄めだ。 施術前の舌はどうだったんだろう。 このいつもと比べて色が薄い点が治療によって薄くなったか、治療前から薄かったかでも意味が変わってきそう。   参考資料 舌鑑弁正 訳釈                たにぐち書店 杉本雅子監訳 藤本蓮風訳釈  

学ぶ事

  耳障りの良い言葉、その時自分に合うと思っているものが自分の為になる訳ではなく、辛い経験も絶対に必要。   どんな状況でもそこから学ばなければいけない。   自分の周りに現れた現象には全て意味があると思う。   鍼灸師として生きようと考えているのなら出される答えは普通のものとは違うと思う。   それを学べたのは誰のお陰か。   ちゃんと考えれば分かる。   この経験を無駄にしないことが唯一できる恩返しだと思う。   とても価値のある大きいものを与えて頂いた気がします。

夢魇

知人が金縛りになったきっかけで昨年から金縛りについて調べています。 不眠の類と考えましたが、病因病機が見つけられず、ようやく金縛りについて書かれた書籍を見つけました。 「夢魇」とは、悪夢のこと。 例えば何かに押し潰されるなどして、驚いて目が醒めることが多い。 いわゆる金縛り状態になることもある。 心火熾盛を原因とすることが多い。 (針灸二穴の効能 呂景山著) 心火熾盛とは、心神が内擾すると心神不寧となる。 心は舌に開竅し心火上炎だと口舌に瘡が生じる。 (中医針灸学の治法と処方 : 弁証と論治をつなぐ邱茂良, 孔昭遐, 邱仙霊 編著 p.225)   「夢魇」というキーワードを見つけたものの、書籍を見つけられずネット検索してみました。 中医认为梦魇发生是患者体质虚弱、贫血,疲劳过度、及抑郁、生气、发怒等情志因素导致气血不和,神明失调所致。 (中医では、夢魇は患者の虚弱体質、貧血、過度な疲労、抑鬱、怒り、怒りなどの情緒的な要因が、気血不和、神明失調によるものだと考えている。) 【弁証】 肝胆鬱熱、肝胆上亢、心肝血虚、心虚胆怯、痰熱内擾、気血凝滞 (鬼压床的中医辨证及临床验方より 李士懋氏による臨床験治から抜粋) ちなみに、「夢魇」は中国の俗語では「鬼圧床」ともいうそうです。   先日、知人を診せていただきました。 【現病歴】 長年不眠。2年前にインフルエンザに罹患して以来、間欠的に金縛りの症状が出現した。 強いストレスや過労の後は頻繁に起こる。 睡眠薬を服用しないと眠れない。 【問診】 考えて思い悩むことが多い、情志抑鬱、繰り返す悪夢、入眠困難、眠りが浅い、心悸、耳鳴、頭痛、咽頭痛、のぼせ、頸部の脹痛、倦怠無力、手汗、勝手に手を握る、歯を食い縛る、視力減退 【切経】 褪紅舌 歯痕舌 黄膩苔 舌裏は細脈が多く舌下静脈怒張  脈 細 数? 心窩部の詰まり 太渓穴の左右差、左霊道穴上方1寸に虚、合谷穴と太衝穴の圧痛、神道穴の詰まり、膈兪穴の隆起 顔色不華、頬紅潮、上肢の熱感、掌は汗をかくが冷たい、爪甲不栄、仰臥位で下肢の外転が強く小指がつく   収集がつかなくなってきたので、書籍から幾つかのヒントを得ました。   不寐証は病であるが一様ではない。ただ邪生の二字で知りつくすことができる。(中略)不寐の病は主として気血や臓腑失調のものである。(中略)気血を調和させ臓腑の機能を正常にさせることが主な原則となる。 長期に渡って鎮静安眠薬を服用している患者は、薬の関係で精神不振、倦怠、無力感(中略)といった虚に類似した証候が出現する場合がある。弁証を行う場合には、こういった証候を弁証ほ根拠とすべきではない。 (中医鍼灸臨床発揮 李世珍...

中国の思想(01)

老子 一章 真理は固定したものではない 道可道、非常道。 名可名、非常名。 無名天地之始、有名万物之母。 故常無欲以観其妙、常有欲以観其徼。 此両者同出而異名。 同謂之玄。 玄之又玄、衆妙之門。 道を可とする道は、常なる道に非ず。 名を可とする名は、常なる名に非ず。 無は天地の始まりの名、有は万物の母の名。 故に常なる無は其の妙を観さんと欲し、常なる有はその徼を観さんと欲す。 この両者は同じ出にして名を異とする。 同じく、これを玄と謂う。 玄のまた玄を、衆妙の門とす。 【参考文献】 『中国の思想[Ⅵ]老子・列子』徳間書店

変えてみること

  ここ一週間、歩く際に使う筋肉、重心の乗せ方を変えてみています。   続けてみるとふくらはぎ、内転筋の筋肉のつき方が変わって面白いです。   日常的には以前仰って頂いた様に電車でのバランス感覚も違うなと感じました。   また、私の課題である手が重いという問題ですが、色々原因を考えてみると肘がうまく使えていないことも要因の一つにあるかもしれない思いました。   ひじが上手く使えていないとツッパリ棒を相手に押し付ける様な形になり、余分な力が加わって重さに繋がるのかもしれないと感じました。   ですので、そこを意識しつつ、相手の呼吸などに合わせて背候診を行なっていこうと思います。        
根っこは

鍼治療を受けて④

浮力が働いている様な感じと表現できるかもしれない いつもの様に 置鍼中に一瞬眠った様な状態になったあと ふと自分の体の感覚に戻るともうすっかり動いている動き回っている 体は動かしていないけど体が動いている 水のない風呂 今日そう感じたのは足の輪郭がぼわぼわと波たっており暖かく 温かい湯船に浸かっている時と似ているからかも知れない ゆっくり静かに観じていられる体はベッドのうえで浮力が働いている様にやさしい こうして完全に身を預ける時間を通して 反対に普段一体どれだけ抵抗を抱えて過ごしているのかについて思わされる (忘備録として)

舌診考察

[ケース①] 舌色 表 淡紅 裏 褪せた紅 気の虚損がありながらも、裏に熱をはらむのか。 舌形 胖大 歯痕 陽気を損ない気虚になって、津液の停滞を招き痰湿を生ずる。 脾の運化作用の低下か。 腫れたようにも見えて、湿熱をはらむのか? (腫れた舌は発熱やその後の舌にも見ることができると思う。) 舌裏 表より濃い色を呈し、気虚がありながらも内熱の存在が伺える。 推動作用が落ちているので怒張により瘀血も。 或いは、虚熱による瘀血とも考えられる。 舌苔 薄苔〜やや厚苔、潤苔 中焦にかけて苔が緻密で濃くなり脾胃虚による痰湿か。   [ケース②] 舌色 表・裏共に褪せた紅 所々まだらに舌辺に紫色があり瘀血。 舌尖紅く心火も伺える。 舌形 脾腎共に弱り水邪の停滞がある。歯痕から気虚。 舌裏 表と色差なく、怒張により瘀血も。 舌苔 微黄苔。厚苔。 中焦〜下焦にかけて苔が厚なる。 気虚による痰飲。 中焦には微黄苔。痰飲が裏に入り化熱したか。