学生・研究生によるブログ

学生・研究生による学びと発見のブログです。

京都薬用植物園の呉茱萸(ごしゅゆ)

武田薬品工業(株)の京都薬用植物園で、年に4回行われている研修会があります。 今回は『晩秋の研修会』との事。 一般向けの研修会で、特に専門的な講義が行われるというものでは無いのですが、実体験もさせて貰えるのを楽しみに参加しています。 私は2回目の参加となります。 今回は漢方処方園、樹木園、温室を回りました。 「味見してみますか?」のコーナーでは呉茱萸(ごしゅゆ)を頂きます。 物凄く辛いのをご存知でしょうか?・・辛いです! 呉茱萸 [効能] ◦ 暖肝・散寒止痛 ◦ 下気止嘔  など この辛さを感じると”効能”になんとなく納得が・・ 前回の研修会でも味見をさせて頂きましたが、体験する度に植物のもっている”力”を強く感じます。 漢方薬においては、個々の植物を適切な配分でコーディネートする事で、服用の効果を最大にしているのだろうと考えさせられます。 逆に、個々の主張が強いので、調和をとる材料、飲み易くする材料を共に配合する必要があるのかとも思います。 鍼の調和は切経や刺鍼をする”その時”に、人間の手によって加減できるところなのでしょうか。 薬との違いであったりするように思うのですが、いかがなものでしょう? 薬草のあまりの刺激の強さに色んな事を考えてしまう『晩秋の研修会』でした。 【参考文献】 ・中医臨床のための中薬学(東洋学術出版社)

症状の記録

記録/9月22日午前 食後数分で胃のあたりがキュウと縮こまるように詰まる感じが苦しい。程度は強め。 座っているより楽なので横になっていると、 足の裏が熱くて気持ちが落ち着かず、やたら口渇感を覚えた。 昨夜はまるで嵐のようだったと思い返しながら軽めに済ませた朝食、 そのすぐ後で同じような胃脘部の苦しさに見舞われてまたかと驚く。 舌体紅、白膩苔、舌先に点刺、舌辺に歯痕あり。 脈は弦、やや数(普段との違いが感じ取れていないだけの可能性が高い) 20日の夕食にめずらしく焼肉を腹一杯頂いた。 からだは対応に追われているのかとも知れない。 食滞胃脘。ベースに脾腎の虚があり? 足底の熱感と同時に表れた口渇がかなり顕著だったこと 自分の舌であまり見ない紅色の舌を観察したこと

こんにちは高山です。 頭痛や、食欲不振も、不眠も、疲れも、風邪も、 全てが五臓の弱りや、働き過ぎ、 そして、切診や望診、ツボの反応はその五臓の失調を表しているのだと感じます。 しかし、ツボに至っては特殊で、そこに針を刺すと その五臓の失調が改善されたり、体の熱を取り除けたり、 外邪を撃退することができるようです。 これに関しては、なかなかの不思議です。 お腹の中に全て収まっている五臓が、なぜ手や足、背中、 体中のある特定の部位で反応が出るのか。 五臓と経絡は繋がっているからというかのもありますが、 それだけでじゃないような気もします。 そして、一鍼堂の先生たちは、そこに小さい鍼で刺して 大きい五臓を動かす。小さい力で大きなものを動かす。 それだけツボには大きな力があると言うことでしょうか。 「ツボにはこんな効果があって、こういう症状の時に使うといいよ」って学校では単純に教えられていますが、 実際そういうものでもない感じがします。 そこが、西洋医学との大きな違いかもしれませんね。 いくらツボの部位を見たって自分には目では見えませし、よくわかりません。 わからないことがありすぎます。笑 でも今は、目でも見える、頭でも考えられる弁証ををしっかり学びます。

先々週の施術で

水分穴の少し右だったように思う。(今も反応あり) 刺入深度は1ミリか2ミリか。 置鍼開始して少しして、 息がうまく吸えていないことに気づく。 吐くことはできている。 入ってこない、がそのことに特に不安はない。 数分して抜鍼の後、それまでの状態をはずみに 誘いこまれるようにからだにもたらされた深い呼吸と何か。 横隔膜の動きが抑制されていたのか。 これも穴性のひとつにあたるのか。 他の方においても似た作用をもたらすのか。

気づかない

自宅にて。 大きな雷が鳴った。 何か考えている時、ここにきちんと注意を向けれていただろうか。 換気扇の音、記事を書くときのパソコンの冷たさ、椅子の座り心地、耳鳴り。 見落としていたものばかりです。

患者さんの立場

「患者さんの立場になったらどうするか」 一時、寺子屋で先生がお話しされていた言葉です。 夏の疲れからか、家族が体調を崩し、病院を探していました。 1日でも早い処置が必要だから、徒歩圏内のA病院に行ってきたら? と伝えてその日は仕事に出ましたが、帰宅すると病院に行かなかった様子。 更に症状は悪化していました。 理由を聞いてみると、8年前に同じ症状でA病院にかかったが、先生の態度が酷かったから行かなかったとのこと。 A病院に行けば今頃楽になっていただろうに、先生のある一言がずっと忘れられず痛みを我慢していました。 痛みがある時は焦りや不安もあります。 不安な気持ちを更に煽るような先生の放った一言を聞いたら確かに腹が立つのもわかる気がします。 結果的に治りましたが、二度と敷居を跨ぎたくないのだそうです。   翌日から三連休。急な事で時間もないし、悪化の一途を辿るばかりで縋る思いで2.3件病院に電話をしました。 こういった緊急時、質問に対してスムーズに応対してくれる病院はありがたいものです。 「それは大変ですね。」といった同情の言葉は求めていなかったし、淡々と必要なことを教えてくれます。 受付に立つ時は、特に治療を終えた患者さんにはスムーズに院を後にして頂きたいと感じます。 「サービスではない」 と寺子屋やモデル患者さんを診させて頂いた後、私の口調を聞いて先生が仰りました。 色んな癖や弱点をご指摘いただきますが、一つ一つ克服していきます。   患者さんに対して、凛とした態度を取りながらも  

寺子屋で

3月23日(水) 患者さんの舌の観察をしました。 患者さんにお会いする前に、先生の許可を得てカルテを見せていただき、主訴から舌の状態を想像しました。 歩くと息が切れて疲れやすいということから、見た目は弱々しく舌色は淡白舌で舌体は痩せて小さい、 気虚のイメージで考えていました。 実際は、 全体的に絳紫色を帯びた地図舌、ところどころ凸凹と丘のような形状がみられ、舌下静脈の怒張あり。 細身ではありますが弱々しい感じは全くなく、はきはきしたキャリアウーマンという印象でした。 息切れして疲れやすい⇒気血が不足している⇒淡い舌色と思いこんでいましたが、 実際の色は紅が強く熱を帯びていた。 舌下静脈の怒張から瘀血があるため気血のめぐりが悪くなり、 それが息切れや疲れやすさの原因になっているのか。その瘀血はどこからきているのか? 地図舌や凸凹な形状は何を表しているのか? 次回、経過がわかればまた考察します。

一年経過

一鍼堂の寺子屋でお世話になり始めて、今月で1年が経過しました。 この一年の時の流れが早かったのか遅かったのかどちらか改めて振り返ってみて、どちらなんだろうと考えてみましたが、正直即答できる感じではなく、ハッキリわかりませんでした。 早かったように感じますし、遅かったようにも感じます。 ただ充実した1年であったのは間違いないです。 1年を通して、こんなに鍼灸の勉強に向き合ったことは今までになかったと思います。 これもひとえに、一鍼堂という学びの場に参加できたことに尽きると思います。 何かを学ぶ際には周りの環境がとても大事だと思いますし、特に私の場合は自分の意思や決意が軟弱なので、すぐに自分の甘い心に負けてしまいがちです。 でも一鍼堂での院長や各先生方、スタッフの方々の鍼灸に対する向き合い方にプロ意識を強く感じますし、そんな空間に自然と触れていると自分も精進して行きたいという強い気持ちが生まれてきます。 それに他のワクワク感を抱いた優秀な寺子屋生の皆さんと交流することで鍼灸に対する勇気や希望など、とてもよい影響を受けることができます。 只々、今の心境は、この場に居させていただくだけで大変ありがたい気持ちでいっぱいです。  

想像し考えること

先日の勉強会で症例検討をしました。 患者さんの主訴、特徴、生活スタイルを聞いて私ならどう考えるか、この訴えなら舌、脈はこんな感じかな? まだまだ知識がつたなすぎて、みんなの前で意見をいうのも正直物怖じしてしまう状態なのですが、 受け身の授業とは違い、勉強会の2時間があっという間でした。 今まで私の中の勉強は受験勉強のことで、塾でテクニックを教わり効率よくいい点をとって合格することがメインで、 わからなかったらすぐ問題集の答えをみて覚える。じっくり考えない。 それでなんとか乗り越えられたのですが、東洋医学というものはそう簡単にはいかなくて 今までの概念をひっくり返して取り組まないといけないのできっとわからずにもがき苦しむんだろうなと 自分から飛び込んだくせに楽しむことを忘れ、どう勉強したらいいかわからないツライ!というマイナス感情に陥っていました。 ですが、症例検討で患者さんの状態を想像して考えて全然正解はわからないけどこうかな?って思うことがワクワクして あ、私勉強を楽しんでいるやん!もっと知りたい。そう思えたから一歩前進!と勉強会の帰り道密かに喜びを噛み締めてました。 まだ1回しか勉強会してないのになんて大げさなと我ながら思いますが、次の勉強会も楽しみです。 たくさんの意見に触れたいので勉強仲間が増えたら嬉しいです。

方剤学(03)

呉鞠通「・・胃陰を救えば、なお胃腑本来の下降の気を承るに系る、・・故に湯は承氣と名づく」 承気湯 方剤学に於いては「瀉下剤」に含まれます。 『中医臨床のための方剤学』によれば、「瀉下薬を主体として大便を通導し、腸胃積滞の排除・実熱の蕩滌(とうでき)・ 水飲寒積の攻逐などを行い、裏実を解消する方剤」とあります。 「瀉下剤」も種類に「寒下剤」「温下剤」「潤下剤」「逐水剤」「攻捕兼施」がありますが、 承気湯類は「寒下剤」に含まれます。 《寒下剤の一覧》 ・大承気湯 ・小承気湯 ・腸胃承気湯 ・複方大承気湯 ・大陥胸湯 ・宣白承気湯 ・陥胸承気湯   【大承気湯】 〈効能〉 峻下熱結 〈主治〉 熱血腸胃(陽明病腑実証) 発熱・悪熱・日晡潮熱・意識障害・うわごと・汗が出る・口渇・尿が濃く少ない・便秘あるいは悪臭のある水様下痢・ 腹満・腹痛・圧痛がつよく触れさせない・舌苔は黄厚で乾燥し甚だしいと焦黒色や芒刺すを呈する・脉は沈実あるいは沈遅で有力など。 手足の冷え・ひきつり・狂躁状態などがみられることがある。 《胃の生理と特性》 胃が飲食物を一時的に納める機能を受納、飲食物を消化する機能を腐熟という。 胃は飲食物がおさまるところなので、水穀の海と称される。 消化物を下降させる役割を担っている。この消化物を小腸・大腸に降ろす特性を降濁という。 胃は陽明に属し、六腑の中でも熱が旺盛であるため熱化しやすい。 そのため、胃が正常な機能するためには十分な潤いが必要であり、 水湿を好み、乾燥を嫌う特性を喜湿悪燥とよばれる。 (´ー`) 大承気湯とは少々荒っぽくはあるけれど、腑に対して一気にダウンバーストを起こし、 熱を吐き出すといったイメージでしょうか。 症状を取り除くというのは傷寒論によるとして、気になるところは「意識障害」「うわごと」「狂躁状態」。 修行中に稀な舌を拝見できる機会を頂きましたが、 上がるものは上がり(昇清・脾)、下がるものは下がる(降濁・胃)、 中焦の重要性を思います。 なんとなくですが、”臓” と ”腑” の問題からくる症状に、違いがあるように感じられます。 【参考文献】 『中医臨床のための方剤学』東洋学術出版社 『傷寒雑病論』東洋学術出版社 『中医病因病機学』東洋学術出版社 『新版 東洋医学概論』医道の日本社